子どもと楽しめる奈良「正倉院展」の魅力

2019.11.6 08:00
(写真10枚)

「コミカルな会話で理解する、子ども向け音声ガイド」

次に、音声ガイドの活用。同館では大人用とは別に、2013年から「東大寺博士のまるわかりガイド」(550円)という子ども向けの音声ガイドを用意している。

子ども向け音声ガイドの「東大寺博士のまるわかりガイド」(550円)。幼稚園年長や小学校低学年でも簡単に操作できる
子ども向け音声ガイドの「東大寺博士のまるわかりガイド」(550円)。幼稚園年長や小学校低学年でも簡単に操作できる

内容は、東大寺博士と男女の子ども3人のコミカルな会話を聞きながら、各宝物の歴史やどのように作られたかなどを学べるというもの。2019年(御即位記念 第71回正倉院展)では、出陳宝物41件のうち22件のガイドを聴くことができる。

専門的な解説がなされる通常の音声ガイドほどではないが、よりわかりやすく伝えることを意識して作られ初心者向き。もちろん大人が利用してもOKだ。親子鑑賞会では、ほとんどの家族が自由鑑賞時にこれを利用していた。

「ギリギリレベルの簡単さ、でも本格派の子ども新聞」

歴史的な豆知識も盛り込み、小学生から高校生まで楽しめる内容の「読売KODOMO新聞 正倉院展特別版」。写真やイラストをふんだんに使い、平易な言葉で書かれている
歴史的な豆知識も盛り込み、小学生から高校生まで楽しめる内容の新聞。写真やイラストをふんだんに使い、平易な言葉で書かれている

そして、予備知識を得るには充分な「読売KODOMO新聞 正倉院展特別版」。代表的な宝物の解説だけでなく、どうやって宝物を守り伝えてきたか、聖武天皇や光明皇后はどんな人かなど歴史的な豆知識も盛り込み、写真やイラストをふんだんに使って平易な言葉で書かれている。

例えば、「紫檀金鈿柄香炉(したんきんでんのえごうろ)」の説明は、「お坊さんが手に持ち、お香をたくのに使いました。高級な木・紫檀でできており・・・」と、低学年でも理解できる分かりやすさだ。

読売新聞大阪本社の佐藤庸子さんは、「漢字にはすべてルビを振り、宮内庁正倉院事務所や奈良国立博物館の学芸員に確認を取って、かなりギリギリのレベルで簡単な言葉にしていますが、内容は本格的なものです」と自信を持つ。

新聞は、期間中「奈良国立博物館」の入り口で無料配布。誰でも手にすることができるので、入館後一読するのがオススメだ。

「幼児連れでも正倉院展を楽しめる」

『正倉院展』の期間だけ設置される「無料託児室」
『正倉院展』の期間だけ設置される「無料託児室」

このほか、期間中は保育所ドリームハウスの協力で、館内に満1歳からの「無料託児室」が設置(9時半~16時半/3日前までに要予約)。空きがあれば当日利用も可能(14時半まで受付)で、授乳室やオムツ替え対応トイレだけの利用もできる。2時間預けられるので、親御さんも羽を伸ばして、じっくり鑑賞できるはずだ。

「普通の感覚で、先入観なしに楽しんで!」

同館の松本伸之館長は、「ほかの国では土のなかに埋もれて、発掘されて出てくるようなものが、正倉院の宝物は1300年近くずっと守り伝えられてきた。これは本当にすごいことです」と説明。「我々日本人が誇るべきもの。難しいことではなく、1300年前にこんなのあったのか、と普通の感覚で先入観なしに楽しんでもらえれば」と、その楽しみ方を話した。

皇室がまもり伝えてきた天平文化の至宝を見ることができる『正倉院展』。子どもが理解を深めるための工夫を通じて、この貴重な品々を気軽に楽しむ良い機会だ。会期は11月14日まで。

取材・文・写真/いずみゆか

『御即位記念 第71回 正倉院展』

日程:2019年10月26日(土)〜11月14日(木)
会場:奈良国立博物館(奈良市登大路町50)
料金:一般1100円、高・大学生700円、小・中学生400円
電話:050-5542-8600

『御即位記念 第71回 正倉院展』

「正倉院展キッズサイト」

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