子どもと楽しめる奈良「正倉院展」の魅力

2019.11.6 08:00
(写真10枚)

「奈良国立博物館」(奈良市)で毎年秋に開催される『正倉院展』。実は、子ども向けコンテンツが充実しており、専門的なことを知らなくても楽しめるのをご存じですか?

9年前から読売新聞社と協力し、『子どもが楽しめるように』とさまざまな工夫を凝らしている同展。それは、親子鑑賞会、子ども向け音声ガイド、「KODOMO(子ども)新聞」、といった企画で実現されている。

「親子鑑賞会、日常生活から想像しやすいガイダンス」

ファミリーに人気なのが、2010年から毎年1回だけおこなわれる『親子鑑賞会』。「奈良国立博物館」の学芸員が30分かけて展示内容を解説してくれ、その後、親子で自由鑑賞できるというもの(小中学生向けの「正倉院展キッズサイト」から要申し込み)。

2019年度の『親子鑑賞会』で解説する学芸員。親子連れ約140人が参加した(10月27日・奈良国立博物館)
2019年度の『親子鑑賞会』で解説する学芸員。親子連れ約140人が参加した(10月27日・奈良国立博物館)

今年の鑑賞会は、10月27日に開催。担当した清水健学芸員は、「普段の生活に縁があるもの、日常生活から想像しやすいものを意識して、宝物と宝物のつながりが分かるように説明しています」と、子ども向けに解説する際のポイントを話す。

「難しい名称の宝物を子ども向けに解説すると・・・?」

親子鑑賞会で「赤漆文欟木御厨子」を聖武天皇が大事なものをしまった戸棚と説明する清水学芸員
親子鑑賞会で「赤漆文欟木御厨子」を聖武天皇が大事なものをしまった戸棚と説明する清水学芸員

例えば、今年セットで近くに展示されている宝物「赤漆文欟木御厨子(せきしつぶんかんぼくのおんずし)」「紅牙撥鏤尺(こうげばちるのしゃく)」「緑牙撥鏤尺(りょくげばちるのしゃく)」。文字だけで見ると何のことが分からないが、当日の解説に耳を傾けると・・・。

まず「赤〜」は、「聖武天皇の曾おじいさんである天武天皇の子孫に6代続いて伝わった戸棚。聖武天皇は自分の大事なものを入れていました」と説明。

「何を入れていたかと言うと、カラフルな物差し(紅〜尺、緑〜尺)です。学校で使う(30センチ)物差しと基本的に同じもの」と、子どもでもイメージしやすく、大人も分かりやすい。

さらに、「1寸(3センチ)ごとに花の文様や鳥、鹿などの絵が表されています。角が花みたいになっている鹿は花鹿と呼ばれ、おめでたい鹿。今回、花鹿が物差し以外にも展示されていますので、会場で探してみて下さい」と、子どもらの興味をふくらませる。

学芸員解説のあとの親子自由鑑賞で熱心に宝物を見入る小学4年生の岡田未来さん
学芸員解説のあとの親子自由鑑賞で熱心に宝物を見入る小学4年生の岡田未来さん(10月27日・奈良国立博物館)

展示会場で実際に見つけた子どもからは、「あ、花鹿いた!」との声も。生駒市から参加した岡田未来さん(小学4年生)は、「(清水先生の話は)とても面白かった。(鳥毛立女屏風の)天平美人は今の美人と違うなと思ったし、落書きをする(続修正倉院古文書別集にある大大論戯画)のは、今の子も同じだなと思ったので見てみたい」と、熱心に宝物を鑑賞していた。

『御即位記念 第71回 正倉院展』

日程:2019年10月26日(土)〜11月14日(木)
会場:奈良国立博物館(奈良市登大路町50)
料金:一般1100円、高・大学生700円、小・中学生400円
電話:050-5542-8600

『御即位記念 第71回 正倉院展』

「正倉院展キッズサイト」

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