清原果耶、初の日台合作への挑戦「怖がる必要なんて全くない」
2015年、13歳でNHK連続テレビ小説『あさが来た』にて女優デビューし、その後も話題作に立て続けに出演。2023年には初舞台『ジャンヌ・ダルク』で読売演劇大賞で優秀女優賞・杉村春子賞を受賞するなど、今もっとも注目されている俳優の清原果耶。今回は新たな挑戦として、日台合作の最新作『青春18×2 君へと続く道』で、台湾のスター俳優・シュー・グァンハンとW主演をつとめた。
メガホンをとったのは、『デイアンドナイト』、清原の初主演作『宇宙でいちばんあかるい屋根』に続き、3度目のタッグとなる藤井道人監督。バックパッカーの日本人女性・アミと台湾の高校生・ジミーとのひと夏の恋、そして18年後の日本での旅で明らかになる本当の想いとは──。初号試写を見た際には「涙が止まらなかった」と明かす彼女に、話を訊いた。
取材・文/華崎陽子 写真/南平泰秀
ヘアメイク/窪田健吾(aiutare) スタイリスト/井阪恵(dynamic)
■ 今回の役で「また新しいスタートラインに」
──藤井道人監督と3度目のタッグとなる本作。大阪での舞台挨拶でも、藤井監督が清原さんのことを「戦友」と表現されていましたが、清原さんにとってはどのような存在なのでしょうか。
私のなかでも「戦友」という言葉がぴったりです。同じ場所で、同じ目線で戦える同志というか。実際、現場でそんなに戦っているというわけではないですが、1つの作品に向かう意識や姿勢が似てると感じます。いつも学びが多い現場ですし、またご一緒できるように俳優業を頑張ろうと思えます。
──今作は、藤井監督が脚本を書いてる段階で、アミ役を清原さんにオファーもされたとお聞きしました。
私も「アミ役は果耶ちゃんのつもりで書いている」と監督から聞かせてもらっていて。今までの2作と役の印象が全く違ったので、今回、藤井さんはこういう役を私に任せてくださり、挑戦してほしいと思ってくれていると感じてすごくうれしかったです。また新しいスタートラインに立たせてもらえた気がしました。
──しかも今回は、日本と台湾の合作で、藤井監督にとっても新たなステージへの挑戦となる作品だったと思います。
この映画の宣伝をするなかで藤井さんの台湾への思いやルーツを聞く機会があって。海を渡って作品を作るからこそ、自分が信頼できるキャスティングをしたと言ってくださったのがすごくうれしくて。
──それはうれしいですね。
もちろん、脚本を初めて読んだ時もこんな役を任せていただけて光栄だと感じていましたが、作品が出来上がって、作品を深めていくなかでそういう言葉を言ってくださったので。藤井さんにとって特別な作品になったらと思いましたし、そのために、私は自分のできることを全うしようと思っていました。
■ 「本質は何も変わらないことを実感できた」
──清原さんにとっても合作は初めての経験だったと思いますが、新たな発見はありましたか。
初めは、どんな風に台湾で現場が回るんだろう、どうやってコミュニケーションを取るんだろうと思ってましたが、通訳の方がいらっしゃって、本質は何も変わらないことを実感できたので、変に想像して怖がる必要なんてまったくないんだと思いました。
どうなるんだろうと想像して、やめちゃったり諦めたりすることは、生きていたらあると思いますが、それよりも好奇心をもって挑戦して、仲間がいるところに飛び込むような貴重な経験を選んだ方が楽しいということを今回の映画で学んで、すごく勇気をもらいました。
──合作だからと大きく変わることはなかったんですね。
3度目となる藤井監督のもとで、脚本をいただいて、役を任せてもらって、できることをやったということには何の変わりもないので、そこが良かったと思います。意識してつくろうことなく、緊張しすぎずに、自分のやるべきことだけやっていいよという現場を藤井監督が作ってくださっていたので、そこに甘えたり寄り添ったりしながら撮影できました。
──監督からアミを演じる上で、何かお話はあったのでしょうか。
悩んだときは聞きに行って、細かいすり合わせは毎日していましたが、基本的には信じてくださっていて・・・見守ってますというのが監督のスタンスでした。俳優として信頼されているのは本当にありがたいことなのでうれしかったですし、やりがいにも繋がりました。
──今回も絵を描くのが好きな役でしたが、よくよく考えると、藤井監督との初めてのタッグとなった『デイアンドナイト』も絵がすごく上手な役でした。その後の『宇宙でいちばんあかるい屋根』でやっていた水墨画が、映画『線は僕を描く』(2022年:小泉徳宏監督)に繋がってますよね。
そうなんです。みんな私のこと文学少女だと思ってる!?ってぐらい、多いです(笑)。
──大阪での舞台挨拶で清原さんがおっしゃっていたように、それも一期一会なのかなと。
難しい、できないって思うことは少なくないですが、ちゃんと続けてたらそうやって繋がるんだと思いました。今回も、せっかく中国語を覚えたんだから、忘れないでいてほしい自分!って思っています(笑)。現場では毎日一緒にいる人と喋りたいのですごいスピードで覚えようとしてましたけど、日本に帰ってきたらもう・・・ね。
──使う機会がないですもんね。シュー・グァンハンさんとはどんな風にコミュニケーションをとってらっしゃったのでしょうか。
日本のパートを先に撮影して、その後が台湾だったので、グァンハンさんは台湾パートの時点で相当日本語が喋れていたんです。だから、日本語をいっぱい覚えてくださっているグァンハンさんが、やさしく、寄り添ったコミュニケーションをとってくださってました。
──そうだったんですね。シュー・グァンハンさんとの共演はいかがでしたか。
日本でのクランクインの日だけ、ちょっとだけ現場に顔を出しに行ったんです。そのとき見たグァンハンさんと、台湾で再会したときの、身にまとってるイメージが全然違って。台湾のパートを撮影する前に、髪の毛を切っていたこともあって、もう少年という感じでした。
──18歳のジミーを演じていても全く違和感がなかったですよね。
私が、グァンハンさんぐらいの年齢で10代を演じろと言われたらできる!?と思いましたし、俳優として尊敬しています。役に対してもそうですが、作品全体を見て、現場のスタッフさんとの距離感の取り方やコミュニケーションがすごく誠実で、愛があって、素敵な方だと思いました。
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