日本一豪華!?なスーパーが宝塚に…名ホテルの跡地がまるで「お城」、なぜ?

6時間前

2棟からなるタワーマンション「ジオタワー宝塚 グランレジス」の足元にはスーパーマーケット「阪急オアシス宝塚南口店」が(阪急・宝塚南口駅前)

(写真24枚)

94年に渡り愛された「宝塚ホテル」が、阪急今津線の宝塚南口駅前での営業を終了したのは6年前(現在は、宝塚大劇場西隣に移転し営業中)。跡地を訪れてみると、そこには“スーパーマーケット”が。

しかし、その外観を見て思わず目を疑った。

そこにあったのは、かつての宝塚ホテルのモダニズム建築で、大正ロマン香る高貴な空間・・・まるで“お城”のようだ。そして、それは、2棟からなるタワーマンション「ジオタワー宝塚 グランレジス」の商業棟であることに気づく。

阪急・宝塚南口駅前にあるジオタワー宝塚グランレジスの商業棟外観(兵庫県宝塚市)
阪急・宝塚南口駅前にあるジオタワー宝塚グランレジスの商業棟外観(兵庫県宝塚市)

1階にあるのはスーパーマーケットという事実に驚きながらも、SNSをのぞいてみると「宝塚すぎる!」「日本一豪華な店構え」「スーパーとは思えないオシャレさ」「やはり高貴なお方でないといけないのでは」などのコメントを発見。

なぜ、このような姿になったのか?スーパー「阪急オアシス宝塚南口店」を建てた阪急阪神不動産(本社:大阪市北区)の担当者に、経緯を訊いた。

■ 旧宝塚ホテルの記憶を残したい

──宝塚ホテルが、現代的に建て変わると思っていたら・・・驚きました!

老朽化と耐震性の問題で、取り壊しは避けられず、とても心苦しいものでした。現在は、宝塚南口駅エリアから一駅隣の宝塚駅エリアに移転開業しております。新しさと大正期から紡がれてきた歴史の融合を楽しんで頂けたら幸いです。

──跡地に建てられたスーパーは、なぜこのような姿に?

旧宝塚ホテルは地域の方々にとって、交流の場や人生の節目の思い出の場であり、非常に愛着を持って親しまれた建物でした。そのため、旧宝塚ホテルのデザインや、ホテルで実際に使用されていた家具などの一部を残す構想に至りました。

旧宝塚ホテル開業時の外観(提供:阪急阪神ホテルズ)
旧宝塚ホテル開業時の外観(提供:阪急阪神ホテルズ)

■ どこまで残せるか…樹齢100年の木の移植も

──なるほど。具体的にはどのような取り組みを?

解体前は、何度も現地調査を行い、どのように旧宝塚ホテルの記憶を継承していくのかを検討しました。また、ホテルの面影を残すために、入手することができた資料(設計図・写真等)を参考にして、可能な限り、当時に近しいデザインでの再現を試みました。

──すごい熱意ですね。大変だったことも多かったのでは・・・

そうですね。例えば、外壁の色味や風合いの再現には苦労しました。解体時に部分保管した旧建物の外壁を見本に、特注色で何度も試作を繰り返しました。再現できたときは、本当に嬉しかったです。

──壁の色合いにもこだわったとは。ちなみに、周辺の大きなクスノキは?

ジオタワー宝塚グランレジスにそびえ立つ樹齢100年のクスノキ(兵庫県宝塚市)
ジオタワー宝塚グランレジスにそびえ立つ樹齢100年のクスノキ(兵庫県宝塚市)

これは、旧宝塚ホテルのシンボルツリーで樹齢約100年にもなるんです。敷地内には8本のクスノキが植えられていました。地域住民からの愛着も大きく、何としてでもこのクスノキを残したいという想いは、当初からありましたね。

──全てが残されたのですか。

4本はそのままの位置で残し、1本は移植というかたちで残すことにしました。移植については、未知数なことが多く、工事を担当していただいた、竹中工務店の現場所長様が毎日水やりをしてくださるなど、多大なご配慮をいただきました。現在は、根も定着し安堵しております。

移植されたクスノキ(ジオタワー宝塚グランレジスにて)
移植されたクスノキ(ジオタワー宝塚グランレジスにて)

残念ながら、伐採を余儀なくされたクスノキは、家具やアートとして再利用し、マンション内に設置しております(※一般公開はされていない)。

伐採したクスノキは、家具やアートとして再利用した(ジオタワー宝塚グランレジス内/提供:阪急阪神不動産)
クスノキから作られたテーブル(ジオタワー宝塚グランレジス内/提供:阪急阪神不動産)

──再利用もされたとは驚きです。それにしても、ステンドグラスや噴水は、ノスタルジックな気分にさせてくれますね。

阪急オアシスのある商業棟1階には、旧宝塚ホテルで使用されていた什器を随所に配置しております。例えば、テラス席周辺には、当時のホテルの面影をより多くの方に感じていただけるよう、照明やチャペルのベル、ステンドグラス等も併せて設置しております。是非、ご覧下さい。

テラス席のようす(兵庫県宝塚市・ジオタワー宝塚グランレジスにて)
テラス席のようす(兵庫県宝塚市・ジオタワー宝塚グランレジスにて)

このほか、宝塚ホテル跡地に開発されたマンション内にも旧宝塚ホテルのシャンデリアや家具をレイアウトしております。そのなかでも、椅子は、フレームをそのまま活用し、張地を新しくしております。ホテルを利用されたことのある方が当時の風景を感じることができるよう、張地を選定する際も、当時の色味や風合いを損なうことのないよう選びました(※一般公開はされていない)。

旧宝塚ホテルの家具は、フレームをそのまま活用し、張地を新しくしてマンション内に設置されている(ジオタワー宝塚グランレジス内/提供:阪急阪神不動産)
旧宝塚ホテルの家具は、フレームをそのまま活用し、張地を新しくしてマンション内に設置されている(ジオタワー宝塚グランレジス内/提供:阪急阪神不動産)

── 当時の面影を感じられる、新たなランドマークになりそうですね。

旧宝塚ホテルの記憶を継承しながら、宝塚南口エリアに新たな風景を創ることができたのではないかと自負しております。そして、これからも地域の皆様から愛され、この地域のシンボルとなることを心より願っております。当時の風景をご存じの方もそうでない方も、ぜひ一度足を運んでいただけますと幸いです。



「ジオタワー宝塚 グランレジス」の商業棟には、阪急オアシス宝塚南口店のほか、クリニックモールもあり、小児科や皮膚科、薬局などが営業している。

【宝塚ホテルについて】
宝塚ホテルは、旧宝塚ホテルのクラシカルなデザインを継承し、2020年に「宝塚大劇場」(宝塚市栄町)の西側に移転開業した。ホテル内には、旧ホテルから引き継がれたシャンデリアや芸術品、アンティーク時計などが点在し、当時の面影を感じることができる。また、5月〜7月までの3ヶ月間は、開業100周年を記念しさまざまなイベントが開催されている。

※注意:マンション内(入居者専用エリア)に設置されたものは、一般公開はされていない。

取材・文・写真(一部)/緑川翠

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