“呪われた女”イセを演じた芋生悠、CP絶賛「ギリギリを攻めてくれる名演」

『ばけばけ』第104回より。難役・イセを絶妙な実在感をともなって演じた芋生悠(C)NHK
第21週「カク、ノ、ヒト。」を放送中の連続テレビ小説『ばけばけ』(NHK総合ほか)。前週の20週から描かれているヘブン(トミー・バストウ)のスランプをなんとかしたいと、トキ(髙石あかり)を筆頭にヘブン邸に住まう面々が総力を上げて、「題材探し」をはじめた。
題材を求め、フミ(池脇千鶴)とともに足を伸ばしたトキは、とある村で、怪しげな雰囲気を纏ったイセ(芋生悠)という女性に出会う。彼女は、村に伝わる「言い伝え」や「呪い」を知っており、トキは「面白い!」と目の色を変えて興味をもつ。しかし、同じ村の人々はイセのことを「呪われた女」だとつまはじきにしていた。

2月26日に放送された第104回では、執筆のヒントになるのではと、トキがイセを家に招き、ヘブンの前で話をしてもらうことに。そこで語られた彼女の来し方は、壮絶なものだった。
両親と兄を一度に喪い、天涯孤独となったイセは、その後自らも大病を患って生死の境を彷徨い、頼りにしていた親戚からもいじめられ……という過酷な人生を送ってきた。しかし、村の人々は彼女に同情するどころか、「言い伝えのとおりにしなかったから呪われた」と謗ったのだ。
トキは、「不幸な人が座っていた場所にそのまま座ると、その人も不幸に見舞われる」という言い伝えを逆手にとって、イセが座っていた畳の上にそのまま座し、「不幸せ、私に乗り移ったけん」と、イセを励ます。この一件に心を動かされたヘブンは、またひとつ執筆のヒントを得たのだった。

■「精神世界」を描く週、芋生悠の存在感に大きく支えられた
第21週のキーパーソンともいえるイセを演じた芋生悠は、現在の『ばけばけ』の舞台である熊本県出身。映画俳優のイメージが強かったが、近年では配信ドラマ『極悪女王』(Netflix)や、『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS)、『ぼくたちん家』(日本テレビ)、『探偵さん、リュック開いてますよ』(テレビ朝日)など、民放の話題のドラマにも多数出演している。
芋生悠をキャスティングした理由と、彼女の俳優としての魅力を、制作統括の橋爪國臣さんに聞いた。
橋爪さんは、「21週は、精神世界の話なので、とても難しい週だったんです。でも、『本当に芋生さんに大きく支えられたよね』と、21週を演出した小島(東洋ディレクター)と話していました」と語り、こう続ける。
「『呪い』をフックに、エキセントリックな筋立てでしたし、わりとトリッキーな作劇になっているこの週に、イセという人物がいてくれたことで説得力が生まれました。芋生さんの演技のおかげで、イセがちゃんと人間として成り立っているし、見ていて思わず好きになってしまう人物になっていると思います」。

■ 一見「ぶっ飛んだ」難役の“奥のほうに走っている感情”を絶妙に表現
イセは小泉八雲の著書『仏陀の国の落穂』に所載された怪奇文学作品「人形の墓」に着想を得たオリジナルキャラクターだといい、「イセの周りのエピソードは『人形の墓』のほかにも、熊本の『地元の言い伝え』なども含ませて作劇しました」と、橋爪さん。芋生の出演はオファーだそうで、その理由も明かした。
「村の人々から『呪われた女』呼ばれているイセ。言葉尻だけを捉えたら、『嫌な女性』にも『実在感の薄い、ぶっ飛んだキャラクター』にもなれてしまうと思うので、かなりの難役です。この役をぜひ芋生さんに演じていただきたいと思ってお願いしました。
実際に演じていただいたら、本当に絶妙な、ギリギリのところを“綱渡り”して、攻めてくれているなと。『普通の人』とは明らかに違うんだけれど、『いや、こんな感じの人、当時いたかもしれない』と思わせてくれる。
初登場のシーンではちょっとギョッとするというか、『なんだこの人は!?』と思わされますよね。でも、話を詳しく聞いていくうちに『ああ、この人なりに大変な人生を歩んできたんだな』『奥のほうにはそういう感情が走ってるんだな』と、『ひとりの女性』としての背景をしっかりと実感させてくれる。
それはひとえに、芋生さんの絶妙な表現のなせる技だと思います。イセによる『呪われてますけ』という台詞の言い方や、憂いを帯びた表情は、まさに芋生さんの真骨頂という印象。実力を見せていただけたな、という思いです」。
明日放送される第105回ではヘブンとトキが、ヘブンの同僚・ロバート(ジョー・トレメイン)の自宅に招待されて、トキのなかに「ある思い」がわき起こる。
取材・文/佐野華英
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