山下達郎配信ライブ、それは音楽界の未来を見据えた革命だった

2020.8.2 20:15

『氣志團万博』での山下達郎(写真/菊地英二)

(写真4枚)

達郎氏も「別の配信の可能性」を公言

20時から始まり、配信は事前に予告されていた70分を遥かに超える約90分の大盤振る舞いとなった。

エンドロールでは、『THAT’S MY DESIRE』をバックに「拾得」、『氣志團万博』でのバックステージの映像とスタッフのクレジットが流れる。映像を通して視聴者は、「拾得」のステージの後ろに飾られていた楽屋のれんが、『氣志團万博』で贈られたものだったと気づく。

京都「拾得」でのライブの様子(写真/濵田志野)

最良の音と映像と貴重過ぎるパフォーマンスとそこに込められたメッセージ。その余韻と興奮は配信が終わった後も長く収まらなかった。大半の視聴者がそうだったのだろう。配信が始まった瞬間からツイッターのトレンドに輝いた「#山下達郎」は、配信終了後も日付が変わる頃までずっとその状態だった。

今回配信された映像と音源は、達郎氏自身がデータを確認し、「MUSIC/SLASH」の音質に最適なミックスをおこなったという特別なもの。「MUSIC/SLASH」はそれを業界史上最高レベルの音質(AACーLC 384kbps)で提供。おかげで1986年の映像が流れた瞬間、「なんで34年前なのにこんなに音がいいんだ?!」という嬉しい悲鳴がSNS上に飛び交った。

また、音質以外で今回達郎氏が重視したのが配信のセキュリティーだ。実際、配信された動画はコピーなどの制限がかけられていたそうだが、コロナ禍のなかで窮地に立たされているエンターテインメント界。その苦肉の策のひとつとして一気に増えた配信ライブのセキュリティ問題が少しずつクリアになっていけば、「配信ライブ」という可能性は今後急速に広がるはずだ。

達郎氏も自身のラジオ番組を通して、「近いうちに別の配信の可能性や生のライブにも挑戦したい」と公言。今回「MUSIC/SLASH」が構築したセキュリティやハイクオリティな音質での配信を可能にしたシステムも含め、オンラインで映像を解禁した山下達郎の初の試みは間違いなく、エンタメ界の未来を見据えた革命となるだろう。

取材・文/早川加奈子

『TATSURO YAMASHITA SUPER STREAMING』

日時:2020年7⽉30⽇(⽊)・20:00〜21:10
料金:4500円

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