山下達郎配信ライブ、それは音楽界の未来を見据えた革命だった

2020.8.2 20:15

『氣志團万博』での山下達郎(写真/菊地英二)

(写真4枚)

京都「拾得」の木造空間をも感じさせる音質

「めちゃくちゃ音がいいんだけど!」。SNSで誰もが一斉にそうつぶやいた。ライブ当日の「拾得」映像が映し出され、達郎氏のア・カペラ・コーラスに観客の拍手の音が重なったのを合図に『ターナーの汽罐車』の演奏が始まった途端、オンラインとは思えないほどの臨場感が画面から溢れ出した。

京都「拾得」でのライブの様子(写真/濵田志野)

筆者はノートPC&エアポッズで視聴していたが、それでも耳に届く音は驚くほどクリアで迫力満点。なのに、酒蔵を改造した「拾得」の木造空間のなかで実際に聴いているような柔らかさもある。

映像も素晴らしく鮮明で、それはまさに画面を通して体感する「ライブ」だった。音に対して凄まじいこだわりを持つ山下達郎。今回の配信に彼が納得した理由はこれだったのか! 果たして、かつてこんなにいい音と映像で楽しめた配信ライブがあっただろうか。

伊藤広規のベースと難波弘之のキーボードと山下のアコギが『希望という名の光』を奏で始めた。3.11の後、被災者の希望として多くの人に聴かれることとなった曲だが、あまりにも今にフィットして響くからこそ、今日の配信曲として選ばれたのだろう。

ちなみに、ブルース&フォークの殿堂でもある「拾得」は、かつて達郎氏がシュガーベイブとして出演した際、酔客に「帰れ!」とヤジを飛ばされた因縁の場所でもある。リズムループとアコースティック・サウンドによる『WHAT’S GOING ON』のカバーが、40余年の時間を温かく埋めていく。

『TATSURO YAMASHITA SUPER STREAMING』

日時:2020年7⽉30⽇(⽊)・20:00〜21:10
料金:4500円

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