トット「ツッコミもボケも僕、多田は『多田』で」

2020.4.1 08:00

写真左から、多田智佑、桑原雅人。トレードマークは、おそろいの緑のスーツ

(写真9枚)

「最初は、多田ちゃんの天然キャラは嫌だったんですよ」(桑原)

──ハハハ(笑)。でも昨今、多田さんの天然キャラのイメージが確かに付いてきました。

多田「実はすごく恥ずかしいんです。でも僕のエピソードをしゃべるために、みなさんが時間を取ってくれるので、『ありがとうございます』という気持ち。だって桑原もそうだけど、ボケ担当の人って自分のボケをやりたいものですよね。それなのに僕のエピソードのために時間をつかってくれるから」

桑原「出会った頃の高校時代はこんな感じじゃなかったんですよ。もっとちゃんとしていた気がした。だけど芸人になってから、変なものがいろいろ出てきました。周りの芸人仲間が『多田はちょっとおかしいぞ』となって、僕も気づき始めたんです」

多田「地元の友だちにも、『お前のあの天然キャラって何? そんなやつじゃなかったやん』と言われて。でも、仲がいい友だちもみんなおバカな人ばかりなんですよ。当時は同じような天然が集まっていたから、自分のキャラが埋もれていただけだったんです」

桑原「だって一回、タバコを吸いながら缶コーヒーをひと口だけ飲んで、その吸殻をコーヒーのなかに入れたことがあって。僕は『えっ?』と驚いたら、多田ちゃんはそのままコーヒーを飲んで『ブーッ!』と吐き出して。『タバコが入ってる!』って僕の方を見て、『お前がやったんか』と怒り出したんですよ。もうね、『この人はひとりで何やってるの?』という感じですよ」

「東京へは年齢的にも行くなら早いほうがいいし、一生に一回のことだし、一度は東京のお笑いの景色を見てみたかった。それで今年のタイミングがギリギリかなって」と多田

──すごいですね、それ。でも桑原さんとしては、多田さんのそういう天然キャラに救われることもあるんじゃないですか。

桑原「かなりありますね。多田ちゃんのエピソードにツッコミをいれながら、自分もボケに持っていけたりするんで。でも最初は、多田ちゃんの天然キャラは嫌だったんですよ」

──それはなぜですか。

桑原「僕がボケて、こいつがツッコミをいれるのがトットの漫才のスタイルなのに、そのイメージが変わってしまうから。マネージャーとも『多田さんの天然を推すのはやめませんか。そもそも多田はツッコミ。その場の笑いは起きるけど、長い目で見たとき、天然キャラが定着すると漫才に支障をきたすかもしれない』と話し合いをしたことがありました。

僕もその意見に納得したんですけど、多田ちゃんは僕らのそういう考えも跳ね除けるくらいミスをしまくるんで、『ああ、こいつを押さえつけるのは無理や』とあきらめました。都会に解き放たれたゴリラみたいなものなので」

多田「なんやねん、その例えは・・・」

桑原「こちらが制御しようとすると無理が生じる。だから、それも生かしながら漫才をやっていくことにしました。そうしたら良いところが出てくるようになって。多田ちゃんがすごく楽しそうにしゃべるようになった」

多田「俺はお前の甥っ子か。楽しそうにしゃべるって、どういう意味やねん」

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