【あすから】1999年7の月、世界が終わっていたら…約10万人動員のホラー展が大阪へ

『1999展 ―存在しないあの日の記憶―』の「異世界」を感じるエリア
東京で約10万人を動員した「1999年7の月、もし本当に世界が終わっていたら―。」をテーマにしたホラー体験型展覧会『1999展 ―存在しないあの日の記憶―』が、7月11日より大阪の「谷口悦第2ビル」(大阪市中央区)にてスタートする。
前日におこなわれた内覧会には、主催のクリエイターユニット・バミューダ3が登場し、展覧会へのこだわりやホラーブームへの見解を語った(以下、展示のネタバレあり)。

■「1999年」当時の“リアル”と実現しなかった“異界”を体験
20世紀末、世界中の人々を震撼させ、夢中にさせた「1999年7の月、空から恐怖の大王が来て人類が滅亡する」というノストラダムスの大予言。同展ではその予言が現実となった世界をテーマに、1999年当時の不安と期待が入り混じる空気感を味わいつつ、現実と虚構の狭間を行き来できるという内容となっている。
同展を企画したのは、『近畿地方のある場所について』で知られる作家・背筋、ホラーゲーム『SIREN』の制作に携わった佐藤直子、新進気鋭の映画監督・西山将貴の3人からなるクリエイターユニット・バミューダ3。開催前におこなわれた内覧会では主催の佐藤自らがナビゲーターとなり、会場を案内した。

会場には大量の手型が残るドアが待ち構え、エントランスの時点ですでに異様な雰囲気が漂っている。また「展覧会」ということでもっとオープンな場を想像していたものの、入り口は幕で覆われており中をうかがうことはできず、より想像が掻き立てられる造りとなっている。入場時に「終末ゆき」と書かれた切符を渡されるのだが、この切符が後々重要となってくるのでご注意を。

■ 「現実と虚構」を体感、大阪会場からのギミックや演出も
会場は1階・2階と分かれており、参加者は「序章」から「現世」までの8エリアを巡っていく。「序章」では1999年を生きるとある男性の部屋を再現したエリアで、当時流行だったものや生活を生々しく感じられる。そこに男性の呟きが重なり、「ノストラダムスの大予言は1999年当時どう受け止められていたか」という空気感を追体験できるような空間に。
展覧会でも重要な役割を持つ「転化」エリアでは、1999年や2025年に生きる15人の独白とそれぞれの人生に紐づいたアイテムが並ぶ。こちらも「序章」と同じく、実在するVTuberのグッズや寄せ書きの色紙などリアリティを感じるアイテムばかりが揃う。

佐藤が「老若男女いろんなタイプの人たちが存在するように設定しているので、どこかに自分と似てる人を見つけてもらえれば」と語る通り、独白を身近に感じることで、より展覧会の世界に浸ることができる。
1999年当時の生活や空気感を忠実に再現するような展示がある一方、ストレートに恐ろしさを感じるような怪異や異界に触れるようなエリアもあり、まさに「現実と虚構」を体感できるような展覧会だった。また大阪会場ならではのギミックもあるので、すでに東京会場を体験した人も楽しめるはず。

■ 背筋「絶望を描いているけれど、バッドエンドではない」
今回、展覧会の原作ともいえる小説を描き下ろした背筋。小説や同展の内容について、「『全部終わっちゃえばいいのに』みたいな、直接的な死ではなく漠然と続いていく未来に対しての絶望みたいなものは多分世代を超えてみんな持っているものだと思います。
そこの文脈を語り、その上で露悪的に捉えずに、光に繋がるような話にしたいなと思ったので書かせていただきました。なので、バッドエンドではないと思います」と明かした。

またここ数年、「行方不明展」や「恐怖心展」などホラー展覧会が盛り上がりを見せ、数万人規模を動員したりと需要が高いこともうかがえる。
この状況について、「私は今、『第3次ホラーブーム』が起きていると思うんです。今起きてるムーブメントは、やはり背筋が代表するような『モキュメンタリーホラー』やこのような体験型展示と言われるものだったり、すごくホラーっていう解釈が大きくなってるなって」と佐藤。

さらに「『怖い』とか『気持ち悪い』とか狭い文脈で楽しむだけではなく様々な方が背筋の小説を読んだりこういう展覧会に来るようになったのは、ホラーの解釈がアップデートされた結果なのかもしれません。あとはコロナ禍があったり、多くの展覧会で写真撮影が可能になったり…。
そんな背景も合わさり人々の『日常とは違う非日常を味わってみたい』という思いが高まったことで、これまでただ『怖いもの』だったホラーに対して、一種のデトックス的な気持ちを味わいたいという新たな気持ちで来てくれてるんじゃないかなと思ってます」と分析した。
また気になるバミューダ3の今後の展開について、「ネクストプロジェクトを思案中です。ただ、やはり『最近ホラー展覧会が流行っているから』という形ではやりたくないと考えていて。時間をかけ、じっくりいいものを作りたいなと思ってます」とコメントした。

会場では、イラストレーター・米山舞が手がけた「終末の少女」をメインに据えたグッズや懐かしさを感じる「フロッピー」をモチーフにしたオリジナルグッズなどを販売。また前述の背筋描き下ろし小説も同展の最後に配布される。

『1999展 ―存在しないあの日の記憶―』は9月27日まで開催。会場は、大阪メトロ「本町駅」12番出口からすぐの「谷口悦第2ビル」。
取材・文・写真/つちだ四郎
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