IKKO踊る「そーぺん、そーぺん♪」が頭から離れない…関西ローカルCMに新興勢力!?[PR]
ある日テレビから、不思議なCMソングが流れてきた。軽快でどこか懐かしいメロディと、「そーぺん、そーぺん♪ 創建ペイント♪」と繰り返されるフレーズ、さらに、タレントのIKKOさんがピンクのド派手な衣装を身にまとい披露するダンス。そのときはなんとなく見ていたのに、気づくと頭から離れず、脳内で「そーぺん♪」が止まらない・・・。
このCM、住宅販売などをおこなう会社「創建」(本社:大阪市中央区)が関西エリア限定で流していたものなのだが、関西出身の筆者は「どうりで!」と納得してしまった。この親しみやすさと中毒性、関西ローカルCM以外にありえない。
でも、そもそもなんでIKKOさんが踊ってる? 耳に残る理由は?・・・気になることがありすぎるので、CM作りに関わったメンバーを直撃してきました!
■ なんだか懐かしく感じるが…実は「令和生まれ」
考えてみると、関西には「関西電気保安協会」「ホテルニューアワジ」「タケモトピアノ」など、一度聞いたら耳から離れないCMが多数存在する。どれもCMソングに特徴があるため、関西人はこれらの企業名を普通に読むことができず、つい歌ってしまう・・・なんていうのは「関西人あるある」としてはもはや鉄板ネタといえるだろう。
今回筆者が見かけたのは、同社が2023年9月に始めた外壁塗装の新事業「創建ペイント」のCMで、同月に放送を開始したばかりのいわば「令和生まれ」のCM。にもかかわらず、企業名やサービス内容を歌い上げるところやなぜか始まるダンスに、古き良き「関西ローカルCM感」を感じてしまう。
これらは制作者サイドがあえて意図したものなのだろうか? まずは、CMを手掛けた「ちゅるんカンパニー」(大阪市北区)の社長で、ディレクターをつとめた三好和也さんに話を訊いてみた。
■ 巧みに散りばめられた「関西CM」エッセンス
──このCMを見たとき、初見なのになぜか懐かしさを感じました。やっぱりそのあたりは意識されているんでしょうか?
「古いんだけど新しい」ですね。元々外壁塗装って、家ができてから10年経ってメンテナンスとしてされるものですが、症状が経過してから依頼をする50~60代の方も多いんです。そういう方々が子どもの頃にテレビで親しんだ1960~70年代トーンを出したいというのがありました。
一方で、外壁塗装は「1度劣化したお家をもう一度機能回復させる」という作業でもあります。古いんだけど、新しさも欲しいなと思いまして。なので、曲調も70年代レトロポップにK−POP要素を散りばめた雰囲気を意識しました。IKKOさんがK−POP好きということもありましたし。
──なぜIKKOさん? というのもSNSで話題となっていました。私も気になっていて・・・。
「年を経て外壁をきれいに塗り重ねることにより、また昔の輝きをとり戻す」=家のアンチエイジングということで、美のプロフェッショナルであるIKKOさんがぴったりじゃないかと。
──そういうことだったんですね。そんなIKKOさんが歌って踊るCMソングが印象的ですが、どういう経緯でこのオリジナルソングが完成したんでしょうか? 個人的に、サビ(?)部分で急に会社名を「創ペン」と略しているところは関西風だな~と感じました。
「歌にしよう」という案は初期段階からありました。歌を使ったCMって、変化球でありつつもメジャーな手法なんですね。そしてとにかく「創建ペイント」というサービス名を覚えてもらいたかったので、そのためには何度でも繰り返した方がいいんですが、15秒という限られたCMの時間内で事業内容ついてもちゃんと触れなきゃいけないわけで。
「創建ペイント」とサービス名を言っていたら、3回繰り返しただけでCMが終わってしまうので、「創ペン、創ペン」にしました。この辺はほんとに、「ナニワ感」ですよね。
──そもそも今回のCMって「関西」を意識し制作されたんでしょうか?
創建さんの事業内容って、いい意味で関西ぽいと思うんです。サービス内容がしっかりしてお値段もリーズナブル、大阪の「商人精神」が出ているというか。今後関東にも進出することを考えたら、関西拠点であることは活かしたいなと思ってました。「関西でっせ!」と全面に出したいわけじゃないけど、匂わせたいなと。
──あんまり関西イメージが無いIKKOさんが「塗るだけ〜 ちゃうちゃう!」「壁だけ〜 ちゃうちゃう」と言っているのも「匂わせ」の一つでしょうか?
たしかに「IKKOさんにちゃうちゃうって言わせたいな」っていうのはありました(笑)。関西丸出しにはしたくないけど、関西風調味料かかってんな~みたいな感じにはしたいなっていうのはありましたね。
■ CMの一番最後に「なんだか気になってしまう」秘密が!
CMコンセプトを知ったところで、今度は核となる特徴的なメロディについても知りたいところ。そこで、曲を手掛けた作編曲家の麻吉文さんとプロデューサーの持田和宏さんに話を聞くことに。
『はちみつきんかんのど飴』『サランラップ』など数々のCMソングやサウンドロゴを生み出し、宝塚歌劇団や日本舞踊など、舞台音楽作りも手掛けるオールラウンダーな麻さん。自らを「ほかの人がやらないことを喜んでやってます」と自虐混じりに称す麻さんだが、今回のCMにはどういったこだわりが?
──今回のCMソングはどういったイメージを込めているのでしょうか?
麻さん:曲の狙いについて持田さんと打ち合わせを重ねていくなかで、「昭和のレトロ感と、独特のアクの強さ」を大事にしようということになりました。
関西CMらしくとにかく社名を連呼するくだりもありますし、できることをいろいろと詰め込んだかもしれません。限られた時間のなかでも商品名や社名は外せませんし、できるだけ強い印象を残したいので。それがCMソングを作る時の難しさと面白さですね。
──それでいうと、ラストの「創建ペイント」の余韻がすごく耳に残るんですが、これもこだわりがあったりとか?
麻さん:ラストの部分だけ伴奏を消して声だけにしています。ここもかなり迷った部分なんですが、「創建ペイント」というサービス名をより浮き立たせるために、声だけ残しました。歌手のAnnaさんには、歌い方に関して、初めはもっとクセのない感じでお願いしてたんです。リテイクを重ねるうち、パワフルでパンチの効いた形になりました。
持田さん:CMって、前後に他社さんのCMも流れるじゃないですか。やっぱり一つ一つのこだわりがインパクトを生むので、何が正解なのかは最後まで悩むところですね。
(※ 歌唱を担当したのは、アニメ『アンデッドガール・マーダーファルス』のエンディング・テーマ曲などで知られ、TikTokのフォロワー75万人を誇る歌手・Annaさん!)
──たしかに、あの余韻が「今のなんやったんや・・・」って気になってしまう要因だったのかも。また、曲中に「ちゃうちゃう」が出てきたりどこか関西らしさも感じられますが、麻さんとしては、意識されていますか?
麻さん:僕自身関西人で、今は東京在住ですがもともとは大阪でCMソングを作っていました。先輩方の時代から「コテコテ」「ベタ」が好まれる土壌はあったので、ある意味DNAなんじゃないかなと思います(笑)。僕自身もそうやって狙って作ったり、大阪らしいアクの強さを全面に押し出した音楽作りも好きです。
今回はコンセプトが「ニュートロ(ニュー+レトロ)」ということで、曲を作る時は関西っぽさを狙ったつもりはありませんでした。これまで培ってきた「関西風」を活かそうとしたわけではなかったんですけど、キャッチーさやインパクト、耳残りするフレーズを意識するうち、ああなりましたね。
■ 真面目な企業がインパクト大なCMを作ったワケは?
と、ここまでCMのコンセプトや曲作りへのこだわりを聞いていて気になったのが、そもそもなぜ今回のような楽しげな方向性のCMになったのかということ。「リフォーム」や「外壁塗装」などと聞くと、どうしても職人肌でカタいイメージが思い浮かんでしまうが、今回のCMはその真逆にも感じる。そんな疑問を、広報担当の小林大気さんにぶつけてみることに。
「今回は創建のことも知らない層に案内するということで、まずは『創建ペイント』というサービス名を覚えてもらうことが重要だということになりました。なので、初見の方にも名前を残すにはどうしたらいいか・・・ということを1つの軸としてオーダーをさせてもらいました。そこから、築10年以上の家には、例外なく『お家の10年問題』が発生すること、外壁塗装は単なる『美観の回復』が目的ではなく『メンテナンス』であることを知っていただければと」と、小林さん。
もともと同社では分譲事業を展開しており、その顧客に対して実施していたサービスのひとつが外壁塗装だったという。徐々にそのニーズが高まり、一般ユーザーに向けて新事業「創建ペイント」を展開するにあたって生まれたのが、今回のCMだ。
つまり、とにかく「名前を覚えてほしい」という一心で誕生したのがあのインパクト大なCMだったということ。ちなみに、以前は分譲事業のCMも流していたそうだが、そちらは今回とはまったく雰囲気が異なるいたって真面目な内容だったとか。あまりの変貌ぶりということで周囲の反応が気になるところだが、「IKKOさん出てましたね」「ウチの子がCMを観て踊ってる」などなど、好評なようだ。
◇
「新たに始まったサービス名を覚えてほしい!」という思いから誕生した今回のCM。その狙いが的中したのか、SNSでは「頭から離れない」「ずっとループしている」とさっそくやみつきになっている人もいるようだ。
かくいう筆者も、最近では「創建ペイント」という文字を見るとどうしても脳内で曲が流れてしまうように・・・。このCMがレジェンド関西ローカルCMに仲間入りする日もそう遠くないのかもしれない。
取材・文/つちだ四郎
提供/創建
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