大阪撮影の新グルメドラマ、橋本さとし「オリジナル精神を誇りに」

2023.4.15 11:15

現在放送中の『なにわの晩さん!』で主演を務める俳優・橋本さとし

(写真5枚)

大阪グルメに詳しいタクシー運転手が、乗客の悩みに合わせていろんな名店を紹介する、現在放送中のドラマ『なにわの晩さん! 美味しい美味しい走り飯』(ABCテレビ)。強面だけど情に厚い主人公・晩さんを演じるのは、大河ドラマ『どうする家康』(NHK)に出演中の、大阪・枚方市出身の俳優・橋本さとしだ。

■ スタッフ全員、幸せな時間を共有する現場だった(橋本)

──『なにわの晩さん!』は、お店の紹介はもちろんですが、晩さんのおすすめを食べた人たちがポジティブに変化するという、意外と珍しいタイプのグルメドラマです。

そうなんです。グルメドラマっていろんなパターンがありますけど、このドラマは晩さんといろんな人との出会いや絡みを見せつつ、実在する大阪のお店を紹介するという、フィクションとノンフィクションの部分が両方描かれたドラマで。結局人間の基本になるのって、「食」やと思うんですよ。体を作るのはもちろん、マインドも変えられるんやで!っていうのが、晩さんの考え方です。

──確かに、今まで知らなかった美味しいものを不意打ちで出されたら、つらい現実がそのときだけでも吹き飛んだりしますし。

「恋愛しんどいなあ、仕事で疲れたなあ・・・ウマッ!」って(笑)。あと、人に自分がすすめたものを食べてもらって「めっちゃおいしい!」って言ってもらえると、こっちも幸せな気持ちになるじゃないですか。要は晩さんとお客さんとで、幸せを与えあってるんです。

──ウィンウィンなわけですね。また晩さんというキャラクターも、海外のあちこちで変わった仕事に付いていたとか、かせいだお金を誰に貢いでるんだろうとか、いろんな謎を匂わせているところがおもしろいです。

四川省でパンダの繁殖を手伝ってた、とかね(笑)。多分彼は、なにか心に大きな傷を負って、世界中で自分探しの旅をしてたんだと思うんです。そこでいろんな出会いに感謝するようになったのが、今の晩さんの優しさのベースになっている気がします。基本的に、人間が大好きな人なんでしょうね。

──それでも見た目が怖くて損をしてるというのも、失礼ながら橋本さんにも通じるものがありそうな気が・・・。

それはまあ、そうなんです(笑)。でも晩さんの内面には、やさしさ以外にも陰と陽があったりするし、それは僕のなかにもあるもの。だから本当に等身大で演じられたし、自分の内面のいろんなものを見せることができました。晩さんという役に出会えたのは、僕にとって幸運だったし、財産だと思います。

──たまにグルメ系の取材をすると、一日中食べ続けて胃が疲れた・・・なんてことも結構あります。ドラマの撮影も同様ではないかと思うんですが、大丈夫でしたか?

ちょっと話それますけど、今僕が出てる大河ドラマで、松重豊さんとにらみ合うシーンがあって。そのときに松重さんがアドリブで、小道具の食べ物を僕の顔を見ながらムシャムシャ食べたんですよ。『孤独のグルメ』を、目の前で見せてもらったんです(笑)。

──『孤独のグルメ』の井之頭五郎が降臨していたんですね。

その撮影が終わってから、松重さんに「実は僕も、関西でグルメドラマを始めるんです」と伝えたんです。そうしたら「本当に? 大変だよ。無理していっぱい食べないようにね」ってアドバイスをいただきました。

『なにわの晩さん! 美味しい美味しい走り飯』作中カットより

──ドラマの橋本さんのリアクション見たら、ちゃんと「あ、おいしいんだろうなあ」というのが伝わります。

食べて「ウマッ!」って言ってるのは、もう(晩さんではなく)僕です。ドキュメンタリーです、あそこは(笑)。(3話に出る)難波の「一芳亭」のシュウマイは「食べても食べてもお腹いっぱいにならない」ってドラマのなかで言いましたけど、本当にいくらでも食べれちゃうんです。僕、リハーサルと本番合わせて20個以上は食べました。

──松重さんのアドバイスの意味が・・・。

しかも撮影終わってから、一人でオムライス食べに行ったりしてるし。鉄の胃袋なんです(笑)。今回訪れたお店は、どこもパイオニア精神とか、食のこだわりをしっかり持っている所ばかりで。1話の「天麩ら そば切り なか川」(大阪市北区)なんか、撮影が進むうちにソバの水分が蒸発して、照りがなくなるたびに「ちょっと待ってください」って、打ち立てのソバを用意してくれたりして。

──めちゃくちゃ丁寧ですね。

「もったいない!」って内心思ったんですけど、やっぱり許せないんでしょうね。みなさんの協力の仕方は、半端じゃなかったです。お店を使う時間は限られてて、すごくタイトで過酷な撮影だったんですけど、スタッフはみんな「めっちゃウマそう!」ってずっと言ってるし、1つシーンが終わるたびに出されたものをつまんで(笑)。なんでこんなに幸せな時間を共有してるんやろう?って、そんな現場でしたね。

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