岡田准一と3度目のタッグ、原田監督「突出した才能の持ち主」

2022.9.16 22:30

俳優・岡田准一と3度目タッグ、映画『ヘルドッグス』の原田眞人監督

(写真6枚)

「2人の話し声が耳に心地良かった」(原田監督)

──資料によると、潜入捜査員という役柄に、監督ご自身の思い入れがあったようですね。

1960年、僕が小学生だったころテレビで『タイトロープ』という潜入捜査官を主人公にしたアメリカ製ドラマが放送されていて、これがかっこよかった。さらにそのなかに、主人公が潜入した組織で主人公と友情を結ぶ男が登場して、主人公が捜査官とは気づかないまま、主人公を助けるために命を落とす話があったんです。これに感動して、強烈に覚えていたんです。

──男が男のために命をかける、お話をうかがっていてかつての東映任侠映画、高倉健と池部良が殴り込みに行く『昭和残侠伝』シリーズを思い出しました。

あのシリーズでは、マキノ雅弘監督の『血染めの唐獅子』(1967年)が好きでした。主人公の2人に、津川雅彦さん演じる意気がっている若者も登場する。あの世界観は好きだった。ただ、ストレートな任侠ものはあまり好みではなくて、マキノ監督の映画では『次郎長三国志』シリーズが1番好きです。あれは今観ても面白い。

サイコパスなヤクザ・室岡を演じた坂口健太郎 (C)2022「ヘルドッグス」製作委員会

──今回、岡田さんの相棒となるサイコパスなヤクザ・室岡役には、坂口健太郎さんが選ばれています。

そう。新鮮な顔合わせによるインパクトが欲しいと思い、これまで岡田さんとの共演がない人というのが最初の条件で、するといろいろな人から健太郎を推薦されたんです。それで会ってみたら、人柄もいいし、しゃべる声のトーンが良かった。岡田さんとの2人の話し声が耳に心地良かったんです。これも大きかったですね。

──華奢なように見えますが、身体も筋肉質で、岡田さんとのアクションでも引けをとらない印象でした。

実はキャスティングが決まってから、コロナ禍のために撮影が1年延びたのですが、健太郎はその間、懸命にトレーニングしてくれて、撮影再開となったときにはすっかり逆三角形の体になってました。

──人を傷つけるのに良心の呵責を全く感じないというサイコな若者ですが、映画によくいる一目でそうとわかるタイプじゃなくて、一見好青年というのも面白かったです。

彼は学習能力が高いんです。彼の正体を知らない同世代の人たちとトランプをするシーンで、「楽しく遊んでいるんだけど、頭のなかではこいつらをどうやって殺そうかと考えている、そんな風にやってみて」と言ったら、相手役の1人が健太郎に「そんな殺すような目で見ないでよ」ってアドリブで言ったんです。成功したなって思いましたね。

東鞘会の若きトップ・十朱義孝役のMIYAVI (C)2022「ヘルドッグス」製作委員会

──そして、この岡田&坂口の強力コンビにもうひとり、犯罪組織のボス役のMIYAVIさんが加わって、美しい男のトライアングルができていきます。

彼は劇画的にかっこいいですよね。アンジェリーナ・ジョリー監督の『不屈の男 アンブロークン』(2016年)を観て、MIYAVIの演技が気に入っていたので、岡田さん、健太郎と組んでの三角形の一角、それもいわば核となるポジションですからね。これはもう彼しかいないなって。会ってみたら彼も研究熱心でね。打ち合わせのときから、シーンのひとつひとつについて細かく訊いてくるんですよ。すごく真面目な役者ですね。

映画『ヘルドッグス』

2022年9月16日公開
監督:原田眞人
出演:岡田准一、坂口健太郎、松岡茉優、MIYAVI、北村一輝、ほか
配給:東映/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント PG12

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