大阪とコロナ禍の軌跡、危機に直面した府職員がとった行動は

2020.5.31 09:30

今回のコロナ禍で大阪独自の策を講じた健康医療部

(写真15枚)

「最悪の事態を想定した先手の対応が医療崩壊を防ぐことに」

ライブハウスでのクラスターが落ち着いた矢先の3月末、接待を伴う飲食店でもクラスターが発生。店舗側が名前の公表や顧客情報の公開を拒否したことから、このクラスター事案については、リンク(感染源)の追跡を十分におこなうことはできなくなった。このころ連日、都心部を中心に陽性者が確認。

府でも4月に入ると新規陽性者は急増する。1日の34人から始まり、緊急事態宣言が発令された7日の陽性者は53人に。そこから、毎週おこなった自粛要請の効果もあり一度数が減るも、すぐに上昇し9日には92人と最高人数に。その後、21日までは毎日40~80人が確認された。

大阪府が4月2日に配布した資料より、4月1日現在の新型コロナウイルスの発生状況
大阪府が4月2日に配布した資料より、4月1日現在の新型コロナウイルスの発生状況

この間、健康医療部では、3月中ごろから医療崩壊を想定した対策を練っていた。まず、重症者から軽症者、無症状者に応じて入院を選別する「大阪フォローアップセンター」を設置。医療崩壊を防ぐ体制をとった。

そして、今後の感染拡大に応じた対応策を4段階でシミュレーション。感染が拡大されるフェーズ1、医療崩壊寸前となるフェーズ2、医療崩壊に入ったフェーズ3、医療崩壊のフェーズ4に分け、各段階に応じて検査や医療、生活支援、府民生活、物資など、項目毎に解決する課題をリスト化し対応策を練った。

4月はじめをフェーズ1の後半からフェーズ2の移行期と判断した健康医療部。医療崩壊を防ぐためにPCR検査体制の強化、患者の症状に合わせた医療提供など、急ピッチで対応し、空床がある病院に対して交渉し病床の確保などもおこなった。

「大阪府庁」に到着した自衛隊。新型コロナウイルス感染症の軽症者を療養させる宿泊施設の早期運用に向け、調整を進めていく(4月8日・17時頃)
要請を受け「大阪府庁」に到着した自衛隊。新型コロナウイルス感染症の軽症者を療養させる宿泊施設の早期運用に向け、調整を進めていく(4月8日・17時頃)

なかでも無症状・軽症者を隔離するためにホテルを宿泊療養施設とする施策は、4月3日に事業者を募集し、7日には締め切り。翌8日にはダイヤモンド・プリンセス号で経験を持つ自衛隊と打ち合わせをおこない、14日から運用開始という異例の速さとなった。

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