朝ドラ・エールで痺れた、説得力あるケレンの効いた演出とは

2020.5.28 20:15

第30回より、ずぶ濡れでハーモニカを弾く裕一(窪田正孝)(C)NHK

(写真19枚)

「なんとテンポの速い1時間か」

いずれにしろ裕一=裕而がいっときの絶望に追い込まれたのは間違いなかろう。しかし離別の手紙を受け取った関内音&光子の母娘は黙っちゃいない。川俣の教会に逃げ込んだ裕一を探りだし追いかけていった音は、そこではじめて幼少期に出会っていたことを知り「運命の愛」を悟るのである。

史実ではないにしろ、ドラマとしては強度炸裂。「私、絶対あきらめんから!」の宣言どおり、音は裕一の実績を元手に大手コロンブスレコード(ま、クレジットにもしっかり「資料提供」と書いている通りコロムビアレコードですね)に裕一を売り込む。

ディレクターの廿日市誉(はつかいちほまれ/古田新太)と作曲家・小山田耕三(志村けん)(C)NHK
第28回より、ディレクターの廿日市誉(はつかいちほまれ/古田新太)と作曲家・小山田耕三(志村けん)(C)NHK

そのディレクター/プロデューサーが廿日市誉。古田新太が演じてることからも「あまちゃん」の太巻さんを誰もが思い浮かべるはずのキャラで、それはそれですこぶる楽しい。最初に音に応じる部下のメガネ美女・加弥乃は元AKBらしいが、なんとなくハワード・ホークス映画における必要以上に美形な端役を思わせる。

まあ、それであっさりと契約を勝ち取るわけもないのだが、東京にやってきた光子がむちゃくちゃ硬い雷おこしに例えて言うとおり、「割れなきゃ何べんでも噛むの!諦めちゃいかん!」(やっぱ薬師丸ひろ子、かわいくて最高)に後押しされて再売り込み。折しも御大・小山田に直々「君んとこで契約してほしいんだ」と言われたばかりの廿日市は慌てて駆けつけ、裕一との契約を保証する。

ここまでで月~木曜の4回、1時間。なんとテンポの速いことか!でも性急な感はさほどない。しかしこの週の白眉は次の金曜に訪れる。

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