朝ドラ・エールで痺れた、説得力あるケレンの効いた演出とは

第30回より、ずぶ濡れでハーモニカを弾く裕一(窪田正孝)(C)NHK
数々の映画メディアで活躍し、本サイトLmaga.jpの映画ブレーンでもある評論家・ミルクマン斉藤。映画の枠に収まらず多方面に広く精通する彼は、NHK連続テレビ小説(朝ドラ)も注意深くチェックするという。この春スタートした『エール』について、第6週(5月4日〜8日放送)を観て思うところを訊いた。
第6週「ふたりの決意」
案の定、兄弟の関係は最悪の局面に。
海外コンクールの入選と演奏会の成功(金は持ち逃げされたが)で意気揚々と実家に帰る主人公の裕一だが、家そのものが傾いているんだから彼に対する目は冷ややかそのものである。使用人の及川(映画『アイスと雨音』の田中偉登)まで「長男なのに勝手すぎる」とあからさまに造反の意気を示し、弟の浩二は公然と兄を「あいつ」呼ばわりする始末である。
前回でも書いたが、浩二は浩二で家を再建しようと必死で頑張っている。しかし本質的にディレッタント(編集注:変わったものに興味を持つ物好き)で、明らかに裕一びいきの父は、浩二の新提案を頭ごなしに打ち砕く。
裕一の才能が認められたことも「あれ努力なの? 好きなことして」と芸術的な煩悶についてまったく理解できないが、父は「過程なんてどうでもいい。結果がすべてだ」と一蹴する。

まあ、仕方ない。経済と芸術の乖離である(その後裕一はイヤというほど思い知らされるだろう)。しかも受賞した曲というのは一度も演奏されたことがなく、楽譜を解せぬ者にはワケの判らないただのおたまじゃくしの羅列にしか過ぎないのだ。楽曲に感じる感じない以前の問題である。
浩二は「兄さんが嫌いだ」とはっきり表明したうえで、「周りの愛を当たり前だと思うなよ。もっと感謝しろよ。俺にも関心持てよ!」と吐きつける。そして「家族の幸せを第一に考えてください」と、家の経済的基盤を支えてくれることになるであろう権藤家への養子縁組を念頭に説きつける。
それにしてもこのあたり、いわば悪役的なものになることを承知でネガティブなパワーをここぞとばかりに爆発させてみせる俳優・佐久本宝の存在感は大したものだ。
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