遠藤憲一「極道極道してると受けなかった」

2018.11.17 07:00
(写真9枚)

「俺が手のなかに乗っけられてる」(遠藤憲一)

──よほど七歳児の栞ちゃんのほうがしっかりしてるという。それにしても演じる白鳥玉季ちゃんが素晴らしいんですが、あの子役さんとは初めてですか?

初めてですね。でも難しい役だったと思うんですよ。玉季ちゃんにも俺にも言われたことなんですが、「近づきすぎない」ということを監督から注文されて。血が繋がっていないというのもあるけど、「関係性がべったりしない」って常に言われてましたね。俺に関してはこれまで、子役に対しては『いい人』を前面に出す芝居ばかりやってきたので、うっかりそういう芝居をしたら「そうじゃないです。距離を置いてください」って。玉季ちゃんは玉季ちゃんで「(遠藤に)近づきすぎない、ストレートに感情を表さない」と懇々と目の前で。

──子役に対しても大人と同じ演技指導なんですね、きうち監督は。

子役に言うようには喋らないんですよ。もう大人に喋るように、「こうでしょ? この部分はこうでしょ。だからここはこうでしょ? 解るね? じゃ行こう、テイク用意」みたいな。クールというかストレートな。ふつう急に言われると、わーっといっぱいいっぱいになっちゃうと思うんですけど、玉季ちゃんは思いっきりのいい子で、自分のなかで掴んだものをポンッと吐き出してくるところがねぇ・・・すごいなぁと思いましたね。

──ずっと丁寧語で。父親に対するでもなく、でもまったくの他人に対するでもなく、あるときは妻のように甲斐甲斐しくというのがねぇ・・・。一定の距離は保ってるのに、ちょっと危うい関係に見えるくらいの親密さがほとばしるシーンもあって。「私がどれだけ心配してたと思ってるのよ」って抱きつくシーンがありますが、本当に心が通い合ってるようで、ちょっとほろっときますよね。

日常は全然違いますよ、日常は。撮影のとき以外はすごく大人の子なんで、俺が手のなかに乗っけられてるような感じなんで。

映画『アウト&アウト』のワンシーン ©2017「アウト&アウト」製作委員会
映画『アウト&アウト』のワンシーン ©2017「アウト&アウト」製作委員会

──あまり子ども子どもしていない?

子ども子どもしてんですけど、なんか気遣いがね。やることは子どもなんですよ、アメ玉くれたり。「サンキュー」って言って舐めてたら、ほかのところにも笑顔で挨拶しながら配りに行って。そしたら俺の前に来て急に真顔になって「見られた?あなただけじゃないのよ」みたいな顔で見るんだよね(笑)。そんなこと思ってないのに、「へ〜、こんなことに気を遣うんだ」って。大丈夫だよ、俺だけがもらえるなんて思ってないよ(爆笑)。

──いやあ、かなり「女」してますね~(笑)。それはともかく物語のなかで、前任の探偵と栞ちゃんの親との関係、そして矢能との関係とか、「婆さん」と呼ばれる高畑淳子さんとの関係とか、あまりよく分らないですよね?

よく分らないというか、まったく触れてないですよね。栞の親はどういう親で、どういういきさつがあって預かっているのかとか。お婆ちゃんに関しては、どうして家に銃なんてものを保管してるのか、彼女はそれを知っているのか知らないのかも。時間経ってから思うことがいっぱいあるんですけど、そこを描かないところがきうちさんならでは、というか。見せちゃうとただのストーリーになってつまんなくなっちゃうんで、「おそらくこういうことがあったんだろうな」ってお客さんに好きに想像させてくれるところが上手な気がしますね。

映画『アウト&アウト』

2018年11月16日(金)公開
監督:きうちかずひろ
出演:遠藤憲一、白鳥玉季、竹中直人、高畑淳子、ほか
配給:ショウゲート

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