『Meets』編集部の余談。

今週末、飲みたいワイン。第4回

2020.5.22 17:00

カテゴリ:お酒

家飲みの日々が続くなか、偶然立ち寄った天満橋のワインショップ[salvis wine & records]で、お薦めのヴァンナチュール(自然派ワイン)の複雑な味わいに開眼。カタカナや専門用語が苦手な人でも楽しめる! 週末に飲みたい、小さな作り手による物語のあるワインを紹介します。


第4回

6種ものブドウを使った、苗木業ならではの試み。

『MELI MELO Domaine Vendange』

今回はフランスの東端、スイス・イタリアと接するサヴォワ地方のワインをご紹介します。

こちらのワインを造っているのは、氷河に削られ運ばれてきた、氷河期のモレーン土壌の畑でブドウを栽培する「ドメーヌ・ヴァンダンジュ」。ドメーヌとは、栽培から醸造・熟成まで行うワイン生産者のことです。ヴァンダンジュ家は、実はもともと四世代続く名門の苗木屋で、フランス全土の有名なワイナリーを顧客に持つほど名の知れた存在。ちなみに、ヴァンダンジュは「収穫」という意味で、職業に相応しいお名前ですね。

出荷前の若いブドウ苗木。生産者の元に届くまで、赤い蝋を被せて木の成長を抑える。背景は、アルプス山脈ボージュ自然公園。

2015年、ベンジャミンさんが四代目を継承したのを機に、ワイン醸造を始めました。

苗木屋の彼らがブドウ栽培について熟知しているのは当然のこと、最高級シャンパンを製造するフランスの「ルイ・ロデレール」グループで醸造の経験を積んだベンジャミンさんと、エノローグ(国家資格の醸造技師)である奥様のダイアンさんがタッグを組んで、ふたりが本当に飲みたいワインを追求しています。現在は、ほぼビオロジック(有機栽培)と言えるほどの厳格なリュット・レゾネ栽培(減農薬栽培)で、化学肥料、除草剤、防腐剤は一切使用していないそうです。

カラフルな四角でメリメロ感を表現? 赤地に白十字はサヴォワ地方の旗。

このワイン名の『メリメロ』とは、フランス語でごちゃまぜという意味です。同じ畑にいろんな品種のブドウを植えることを「混植」、同時に収穫して醸造することを「混醸」と言いますが、このワインは6品種ものブドウを混植・混醸した珍しいワイン。よく知られたシャルドネやソーヴィニヨンの他、サヴァニャン、ルーサンヌ、ヴィオニエ、アリゴテと、すべてフランス由来のブドウ品種を豪快にミックスし、複雑な味わいを創り出しています。まさに苗木屋ならではのメリメロなワインと言えますね。

どんな味ですか?

ステンレスタンクで醸造することで、酸化を防いでより摘み立てのフレッシュ感を楽しめる味に仕上がっています。雑味がなくクリーンで、万人がおいしいと思える味。定番のシャルドネ40%の割にはありきたりな味にならず、時間が経つに連れていろんな個性が出てきます。後半には山椒っぽいスパイシーさも。和食とも相性が良いと思います。

飲んでみました。

前回、前々回と柑橘感のやや個性的な味でしたが、それに比べるとこちらはマイルドであっさり、そしてフルーティーな飲み口。とはいえ、少し温度が上がると複雑な味わいが広がり、鼻に抜ける感じや余韻が楽しくて、今回も結局、ずっと飲んでいられる感じの味わいです。何よりボトルが明るくてかわいいので、手みやげにも喜ばれそう。

冷やした白ワインは、さわやかな初夏の昼飲みにぴったり。
キーカラーのオレンジに、透明なボトルがポップで軽やか。

今週のワイン

メリ・メロ 2018 ドメーヌ・ヴァンダンジュ

産地:フランス・サヴォワ地方

2,200円(税抜)


salvis wine & records
[天満橋]
大阪市北区天満3-3-18 順源ビル1F
TEL 06-6356-7072
12:00〜20:00 水曜休
Instagram(@salvis_wine

店主・野口一知さんがセレクトする小さな作り手のワインと、好きな音楽のレコードを扱う専門店。ワインはヨーロッパを中心に約200種を扱い、その約8割がナチュールワイン。知識ゼロでも、味の好みや飲む相手などを伝えれば、ぴったりのワインを教えてくれる。奥には隠し部屋的なバー空間があるのでぜひお尋ねを。全国発送可。

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MeetsRegional編集室 1989年創刊以来(今年で31年目突入!)、関西の街をフォーカスし続けるリージョナル・マガジン。編集部員をはじめ、誌面に携わるさまざまなスタッフが自分の足で探してきた店や人、モノやコトを、私感たっぷりにご紹介。街や酒場の“ゴキゲン”を言い訳に、どうにも飲める(飲み過ぎる)スタッフ多め。現在、「WE♥酒場」をキャッチフレーズに、酒場にまつわるエトセトラを12カ月連続で特集中。毎月1日発売。

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