菅田将暉、初登場から振り返る…“薄幸の美少年”キャラで本領発揮【豊臣兄弟】

2時間前

『豊臣兄弟!』第23回より。織田信長に「もっとも面白い戦だった」と語る竹中半兵衛(菅田将暉)(C)NHK

(写真11枚)

豊臣秀吉の名参謀と言われた弟・豊臣秀長(小一郎)のサクセスストーリーを、仲野太賀主演で描く大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK)。

6月14日放送の第23回「さらば半兵衛」では、サブタイ通り今回で退場となった菅田将暉演じる竹中半兵衛のキャラクターについて、改めて振り返ってみた。また、今回キーマンとなっていた「三大梟雄」の1人についても触れておこう。


■ 竹中半兵衛の“最期の戦”…第23回あらすじ

羽柴(豊臣)秀吉(池松壮亮)は、裏切りが疑われる小寺(黒田)官兵衛(倉悠貴)の嫡男・松寿丸(森優理斗)を殺すよう、織田信長(小栗旬)に命じられる。竹中半兵衛(菅田将暉)は、病死した子どもの首を代わりに差し出すことを秀吉に提案し、松寿丸のいる長浜城に向かう。

しかし、半兵衛が、子どもを弔う地蔵に手を合わせていたことを知った小一郎は、松寿丸を殺すつもりであることを察して、急いであとを追いかける。

『豊臣兄弟!』第23回より。(C)NHK
『豊臣兄弟!』第23回より。戦場を見ながら生涯を終える竹中半兵衛(菅田将暉)(C)NHK

小一郎が来る前に、寧々(浜辺美波)や慶(ちか/吉岡里帆)らは松寿丸を隠し通そうとするが、結局見つかってしまう。落胆する小一郎たちだったが、そこで懐妊中だった慶が急に産気づき、娘を出産した。

慶にうながされて娘を抱いた半兵衛は大粒の涙を流し「あの子を抱いた手で子を殺めることなどできぬ」と、松寿丸を生かすことを決意。のちに対面した信長に「最も手強く、最もおもしろき戦でござりました」と報告したのだった・・・。

■ 戦闘ロボット→人間へ…初登場から振り返る

『豊臣兄弟!』第9回より。(C)NHK
『豊臣兄弟!』第9回より。書物を手に持つ斎藤家家臣・竹中半兵衛(菅田将暉)(C)NHK

最初は筆談でしか会話しないとか、会話したらしたで自分語りが止まらないとか、戦争は勝ちそうな方に付くのがセオリー(というか、人間の生存本能)なのに「強そうな方を相手にするのが面白そうだから」という理由で、あえて弱そうな方に味方するとか、とんでもないぶっ飛びキャラとして登場した『豊臣兄弟!』の竹中半兵衛。

『豊臣兄弟!』第9回より。(C)NHK
『豊臣兄弟!』第9回より。城の模型が置かれている竹中半兵衛の庵で、お茶を飲む小一郎たち。写真左から、藤吉郎(池松壮亮)、小一郎(仲野太賀)、竹中半兵衛(菅田将暉)(C)NHK

数々の人間離れした役柄を、見事に自分の個性に乗せて演じてきた菅田将暉の本領が発揮されたキャラだった。

第8回で初めて半兵衛が秀長と対話した回で、多くの視聴者が「こいつオタクだ!」「陰キャだ」と騒いでいたが、菅田自身「ギーク(日本語で言うところのオタク)」をキーワードにして演じていたという。天才軍師ということで、あらゆることに卒がないパーフェクトな人物にもできただろうけど、あえて戦に関すること以外は欠陥だらけという人物像に。

『豊臣兄弟!』第8回より。(C)NHK
『豊臣兄弟!』第8回より。物陰から現れた斎藤家家臣・竹中半兵衛(菅田将暉)(C)NHK

しかし、それによって、最初は戦いに関すること以外は知識ゼロだった戦闘ロボットが、だんだん人の情に触れて人間性に目覚めて、最後に愛した人たちを守って散っていく・・・という、ロボットもののSF漫画の常套のような流れに持っていけた。

そんな人間的情緒に欠けた半兵衛だったから、多分戦争で人を動かすのは、囲碁の石を動かすようなものだったのではないだろうか。囲碁を打つとき、相手に取られる石の気持ちを考える人などまずいない。

『豊臣兄弟!』第22回より。(C)NHK
『豊臣兄弟!』第22回より。囲碁の勝負をする竹中半兵衛(写真左、菅田将暉)と小寺官兵衛(写真右、倉悠貴)(C)NHK

それと同じように、半兵衛も自分の策略によって兵が生きるのも死ぬのも、石にいちいち感情など抱かないのと同じように、無関心だったのではないかと思う。だからこそ、松寿丸に下手な同情など抱かず、「秀吉たちを脅かす石ならどけてしまおう」と判断したのかもしれない。

そう考えると、彼が生まれたばかりの秀長の娘を抱いたときに大粒の涙を流し、松寿丸を殺すことをあきらめたのは、自分がないがしろにしていた「命」というものの正体を、まさにその重さと温もりで感じ取ったからではないだろうか。

『豊臣兄弟!』第23回より。(C)NHK
『豊臣兄弟!』第23回より。生まれたばかりの赤ちゃんを抱き、涙ぐむ竹中半兵衛(菅田将暉)(C)NHK

ちなみに、史実の半兵衛は、この時点で息子が一人いるのだけど、チーム豊臣の愉快な人々に囲まれたことで少しずつ「情」が育ち、秀長の娘を抱いたときにようやく「これが命かー!」と爆発したのだろうかと想像した。ヘレン・ケラーが「水」という言葉を初めて知ったときのように。

ようやく人間として完成に近づいたところで、病気で亡くなってしまうというのは非常に残念だけど、1年近い監禁という試練+子どもの生還という劇的な体験を経た官兵衛が、半兵衛の遺志を引き継いで秀吉の出世を助けていくことになるはずだ。

『豊臣兄弟!』第24回より。(C)NHK
『豊臣兄弟!』第24回より。有岡城の牢に幽閉されていた小寺官兵衛(倉悠貴)(C)NHK

ちなみに菅田、6月19日から公開される映画『黒牢城』では、なんと黒田官兵衛を演じている! ストーリー上、この先の『豊臣兄弟!』のネタバレが満載だけど、併せて観ると楽しさが倍増なのでぜひ。

■ 「戦国時代の三大極悪人」宇喜多直家とは?

『豊臣兄弟!』第23回より。(C)NHK
『豊臣兄弟!』第23回より。備前の戦国大名・宇喜多直家に裏切られた毛利家。写真左から、毛利輝元の叔父・小早川隆景(山本浩司)、毛利輝元(濱正悟)、叔父・吉川元春(こばやし元樹)(C)NHK

半兵衛の劇的な幕引きと、魔改造長浜城(笑)に目を奪われたけど、今回は信長と敵対する毛利家が大ダメージを受けた回でもあった。毛利家の有力な家臣だった宇喜多直家(緋田康人)が、織田家側に寝返ったのだ。

毛利家にとっては、別所長治(下川恭平)や荒木村重が味方について、オセロのコマをひっくり返したかと思ったら、直家が裏切ったことで、逆に角を一つ取られたような状態になってしまったわけだ。

この宇喜多直家が出てきたことで、『豊臣兄弟!』では、斎藤道三(麿赤兒)、松永久秀(竹中直人)と「戦国時代の三大梟雄(悪人)」が全員登場を果たしたことになる。

『豊臣兄弟!』第23回より。(C)NHK
『豊臣兄弟!』より。宇喜多直家と並んで、「戦国時代の三大梟雄(悪人)」と呼ばれる斎藤道三(写真左、麿赤兒)、松永久秀(写真右、竹中直人)(C)NHK

直家が凶悪と言われるのは、あまりにも暗殺とか裏切りが多かったためだ。しかも、婚姻関係を結ぶなどして相手をすっかり油断させてから、隙を見て命を取るというかなり計画性の高いやり方なので、3人のなかでサイコパス度が一番高いのはこの人かもしれない。

ちなみに、日本で初めて銃による暗殺を成功させたのも、直家と言われている。また男色の武将は、美少年を送り込んで恋愛関係に発展させてから暗殺させる・・・という、どこかのBL小説かな? というような殺し方までしているから、一つ一つ調べるとなかなか楽しめると思う(悪趣味な意味で)。

身内すら容赦しない上に、どこで牙を向くのかが読めないから、実の弟が「鎖帷子(くさりかたびら)を付けてないと対面できない」と愚痴ったほどだったそうだ。

『豊臣兄弟!』第23回より。(C)NHK
『豊臣兄弟!』第23回より。宇喜多直家(写真中央左、緋田康人)と今後の織田攻めについて話す毛利輝元(写真中央右、濱正悟)(C)NHK

そんな直家が織田方に着いたのは、実際に毛利輝元(濱正悟)が天下取りに消極的だったことが、理由の一つだったという。ただ、ここまで述べてきたように、久秀以上になにを仕掛けてくるかわからない人物だったため、正式に信長の配下として認められるまで時間がかかっているのが、自業自得というかなんというか。

しかし、改めて冒頭の毛利家たちの会合を見ると、ここにいる全員が「関ヶ原の戦い」で西軍側&途中で西軍を裏切る側にキッパリ分かれているのに気づいた。こんなに強い絆で結ばれているように思えた集団だったのに、本当に未来というのは誰にもわからないものである・・・。

大河ドラマ『豊臣兄弟!』はNHK総合で毎週日曜・20時から、NHKBSは18時から、BSP4Kでは12時15分からスタート。6月21日放送の第24回「軍師官兵衛!」では、荒木村重との戦いが思いがけない結末を迎えるところと、村重に幽閉されていた小寺官兵衛の復活が描かれる。

文/吉永美和子


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