閉店続いた「ドムドムバーガー」、V字回復した4つの理由……なぜ、今人気に?

「ドムドムハンバーガー 千船駅店」(大阪市西淀川区)外観
かつて全国に約350店舗あるほど人気だった、日本最古のハンバーガーチェーン「ドムドムハンバーガー」(代表:藤﨑忍)。その後、相次ぐ閉店で2010年代には「絶滅危惧種」と呼ばれるほどに・・・。しかし、現在では41カ月連続で増収、人気がV字回復している。
“弱小”と思われたドムドムがなぜ今、注目を集めているのかを取材。そこには、4つの理由があった。
■ 閉店ラッシュで、350店舗から激減…

「ドムドムハンバーガー」は、スーパー「ダイエー」のハンバーガーショップとして、1970年に誕生。「マクドナルド」が日本1号店を出店した1971年よりも早い、日本初のハンバーガーチェーン店だった。
1990年代には全国に約350店舗を展開したものの、「ダイエー」の経営不振により閉店ラッシュに・・・。2017年にホテルチェーン「レンブラントホールディングス」が事業譲受して店舗を整理、20数店舗まで減少した。
ここからどうやって復活を遂げたのだろうか? きっかけは“コロナ禍”だった。
■ 理由1:チェーン店なのに「推し活」的人気
飲食店が休業を余儀なくされた“コロナ禍”に、思わぬ転機が訪れた。2020年5月、象がモチーフの公式キャラクター「どむぞうくん」のマスクを店頭販売したところ、完売する店舗が続出。SNSでは「マスクを知ってドムドムに食べに行きたくなった」という声が寄せられた。
急遽、公式オンラインショップを立ち上げ、マスクを販売。以降も、ぬいぐるみなどの「どむぞうくん」グッズを販売し、現在では、ポップアップショップや100円ショップ「セリア」、カプセルトイにも販路を広げる。
まるで「推し活」のように、グッズを購入する新旧ファンたち。おかげで、グッズを販売する期間限定ショップは、常に全国どこかで開催。キャラクターグッズの売上は、全体の7%まで増加している。

グッズ人気によってもたらされた「ドムドムファンの創出」という意外な効果。SNSでグッズを見かけたことで、1980〜1990年代に子どもだった世代が「ドムドムハンバーガー」の存在を思い出したのだ。
また、ドムドムでアルバイト中の10代に話を聞いたところ「ドムドムには行ったことがないけど、どむぞうくんは知っていました」と、どむぞうくんをきっかけに知るという逆パターンも。

奈良県内に0店舗だったところに、3月5日オープンした「じゃんぼスクエア香芝店」(奈良県香芝市)でも、その現象が垣間見えた。郊外の住宅街にある店舗ながら、開店初日に約40人の行列が発生。地元住民のほかに、ドムドムグッズを身につけた人が多数訪れていた。
たくさんの「どむぞうくん」グッズを持っていた20代男性は、約100km離れた三重県志摩市から来店。「桑名のお店に連れて行ってもらったのが最初。期間限定のバーガーが話題になるが、レギュラーメニューの完成度も高い。月に4・5回ぐらい他のエリアのお店に行ってるけど、ここがうちから一番近くなるのでありがたい。通う頻度が上がると思います」。
■ 理由2:“朝ドラ主人公”のような藤崎社長

ファンたちの愛はグッズに留まらず、新店オープンや閉店、藤﨑社長の書籍イベントにファンが駆けつけるようになった。
「じゃんぼスクエア香芝店」オープンの際、並んでハンバーガーを食べたファンたちは、応援に来ていた藤﨑社長と次々に記念撮影。飲食チェーン店の新店オープンとは思えない“熱狂”に驚いてしまった。

2018年、52歳で代表取締役社長に就任した藤﨑忍氏は、39歳まで専業主婦だった。アパレルショップ、居酒屋の経営を経て、ドムドムにスカウトされた“異色の経歴”を持ち、『激レアさんを連れてきた。』(テレビ朝日)で紹介され、『ドムドムの逆襲』(ダイヤモンド社)として本にもなっている。
「朝ドラになるんじゃないか」とSNSで言われるほど、波瀾万丈な藤﨑社長の生き様に、勇気をもらう人が多数。ドムドムだけでなく、藤﨑社長のファンになる人もいる。
ドムドムを取り巻くファンダムについて、藤﨑社長は「ファンの方が一緒にドムドムを盛り上げていく“体験型”というか、絶滅危惧種を一緒に盛り上げよう、みたいなお客様が多くてありがたいです。ファンの方のおかげさまというか・・・。飲食チェーン店で“ファン”っていう表現が正しいのかどうかわからないのですが(笑)」と考察する。
■ 理由3:SNSで何度もバズる、期間限定メニュー

グッズだけでなく、もちろん本業のハンバーガー店も好調。2022年3月期以降、4年連続で約110%の売上の伸びを達成している。
ドムドムの大きな強みとして「期間限定メニュー」の存在がある。カニの唐揚げを挟んだ「丸ごと!!カニバーガー」や、“ほぼ春菊”でできた「春菊かき揚げバーガー」、具が見えない「ほぼレタスバーガー」など・・・。思わず二度見してしまうビジュアルのハンバーガーは、SNSで1万件以上いいねされるほど“バズって”いる。

「とんでもない」「笑ってしまう」「やけくそ!」とメニューを称賛(!?)しながら、怖いもの見たさで食べに行く人や、InstagramやTikTokで投稿するために訪れる人も多い。
広報担当・青木さんは「SNSでの反響は、売上増に貢献しています」と話し、毎年定番の商品になるなどその影響は大きい。
その結果、店舗数は、増減がありながらも関西で8店舗、日本国内で27店舗を展開(4月23日現在)。「日本マクドナルド」が約3000店舗あることを考えると、100分の1以下とは思えない存在感をSNSで発揮している。
■ 理由4:都会ではなく“ツウ”な場所に出店

グッズや期間限定メニューによって、SNSが顧客を連れてきてくれるドムドム。一般的にハンバーガーチェーンといえば、駅前や繁華街など、利便性が高い場所にあるイメージだが、ドムドムには独自の出店戦略がある。
直近の関西の新店を見ても、「千船駅店」(大阪市西淀川区)や「じゃんぼスクエア香芝店」(奈良県香芝市)など、繁華街ではない“ツウ”な場所に出店している。
広報担当・青木さんは「東京都内でも浅草や赤羽など、中心部にはあえて出店していないんです。期間限定の商品がSNSでバズって、それを求めて遠方から来ていただくこともあるので、少しはずれた郊外でも十分商売ができるんです。地域密着型、生活圏内の一部にドムドムがあるのを目指しています」と、その理由を話す。

その際に生きてくるのが「自分の街に唯一あるチェーン店=ドムドム」という思い出だ。「じゃんぼスクエア香芝店」は、37年前と同じ場所に再出店を果たしたことで、当時を知る人が、新店なのにすでに愛着を感じてしまっている。
藤﨑社長は「千船駅店も再出店だったんですよね。奈良では、幼稚園の時にドムドムでお誕生日会をしていたので、再オープンが嬉しいですって話も教えてもらいました。まわりまわって、歴史を紡いでこられていることも喜びの一つです。ダイエーさんの歴史を紡いでいけたらなと思っています」と話す。
さらに、今後の出店についても「会社としての形が整ってきたので、愛されるお店を着実にちょっとずつ増やしていきたい。4月以降の来期の計画にも、現在ゼロ店舗の都道府県で、復活オープンを予定しています」。現在、0店舗の「ドム無し県」は34道府県。はたして、どこが選ばれる?
◇
過去最高・1兆300億円に達する、ハンバーガー店市場(※)。チェーン店だけでなく、個人店の高級ハンバーガーも登場し、群雄割拠の戦いを繰り広げている。そのなかで、一時は人びとから忘れ去られていた「ドムドム」。消えかけたからこそ、昭和・平成世代の愛着や、幼少期の光景を思い起こさせているのではないだろうか。
そして、さらなる追い風となった、令和の“推し活”文化や、SNSでの“バズ”。まさに今の時代だからこそ、成し得た復活劇を遂げているのだ。
※「帝国データバンク」ハンバーガー店 業界動向調査(2025年度見通し)
取材・文・写真/Lmaga.jp編集部
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