神戸・塩屋浜の石もモチーフ!画家と来場者で一緒に描くアート

画材をひとつひとつ解説しながら、制作過程を実演してくれた画家の野原万里絵さん。この時は海で拾った石と相性の良い海綿が大活躍(11月17日・神戸市)
絵画の描き方や鑑賞の方法に焦点を当て、日常と創作の繋がりに触れてみる「野原万里絵展『絵画になるまで』」が「新開地アートひろば」(神戸市兵庫区)のB1・ギャラリーで開催中だ。今回の展示は、作品を鑑賞できるだけでなく、参加者を募り、展示期間中に大阪府出身のアーティスト・野原万里絵さんとともに、大きなひとつの絵画を協働制作するという、ユニークな企画が並走している。
今回の協働制作「海の石から大きな絵ができるまで」の参加対象は「どなたでも」とされており、子どもから大人まで誰でも参加可能(5歳以下は保護者の同伴必須)、さらに参加費は無料。これはアートの本質に触れる大チャンスではないか?

展示スペースに足を踏み入れると、中央には大きなテーブルが鎮座。作品の展示の中心にあるアトリエに見立てた空間には、膨大な量の絵具、インク、筆、ヘラ、ナイフなどの画材が並べられ、なかには一瞬何に使うか想像もつかないような素材も。そんな画材に囲まれたテーブルで、初回の参加者との協働制作を終えたばかりの野原さんに、どのような「協働制作」をしているのか話を聞いた。

「私が日本各地で収集した石の中から好きなものを選んでもらい、アクリル絵の具やメディウム等使って来場者と共にパネルに描きます。似た石でも、それぞれが描く絵は全く違って、この部分をフィーチャーして描いたんだ!とかそんな驚きもあります。完成したパネルに、私がドローイングを描き加えて、作品として会場に展示していく予定です」(※展示構成の都合により、すべての作品が展示されるわけではありません)。
取材日の参加者は、大人から3歳のお子さんが保護者の方と一緒に参加されているなど年齢は幅広く、制作の経験などはさまざまだったようだ。


そして、制作のモチーフとなっている野原さんが日本各地で集めた「石」たち。野原さんが青森や神戸市垂水区の塩屋浜で収集した石が、会場にも展示されている。青森の石と、塩屋の石、並べると印象が全く違う。


石の採取については「4年前にアートインレジデンスで青森に滞在した際に、きれいな石を見つけ、それ以降青森はじめ日本各地で石を収集し、モチーフにしてきました。今回は、展示の前に塩屋浜にも3回採集しています。そのうち1回は『石探しピクニック』としてワークショップ形式で石探しとスケッチを一般の参加者と行いましたが、その日は台風一過で、天気が良く海もキラキラしていて。私も参加者もテンションが上がって、みんな夢中で石を拾い、とても盛り上がりました」とのこと。

野原さんの作品は、初めて見てもどこか懐かしいような、不思議な感覚を受けるのはなぜだろう。今回展示されているような作品を制作するきっかけは、インドの世界遺産『クトゥブ・ミナール遺跡』(赤砂岩や大理石の美しい石造の塔が有名なイスラム遺跡群)だという。
「2018年に約3週間インドに滞在しました。制作に有害なものではなく、安全な顔料使いたいと考えていて、ほうれんそうやなすびの粉などを探したり、伝統工芸・ブロックプリントの技法を学ぶため工房を訪れたり。それまで木炭などでモノクロの作品が主でしたが、この遺跡に出会ったことで現在のように色彩豊かなものを描くようになりました」作品を前にして感じる懐かしさは、石という身近なモチーフはもちろん、古く美しい遺跡からのインスピレーションが影響しているのに納得した。

野原さんは「制作において、純粋にテンションのあがる絵具や道具を使って描いていくのは結構大事ですね。ただ絵具や画材って揃えるには結構お金がかかる。絵を描いてみたくても、経済状況などによって、なかなか機会が持てない子どももいると思うんです。今回の協働制作に気軽に参加してもらえたら」と話す。協働制作を通じ、画家の野原さんの考えや描き方といった制作過程に触れ、絵を描くことの面白さを実感できるに違いない。

「野原万里絵展『絵画になるまで』」は「新開地アートひろば」B1・ギャラリーで12月22日まで開催。火曜休館。時間は朝10時~夜6時まで。観覧無料。
会期中の協働制作「海の石から大きな絵ができるまで」は、11月30日、12月1日、7日、8日、21日、22日に開催。各日開催時間は、朝11時~昼1時、昼2時~昼4時の1日2 回、各回6名まで。同じく「新開地アートひろば 」B1・ギャラリーにて。参加費は無料。予約優先。また、12月22日夕方5時からはアーティストトーク「石と人と絵」を開催予定。詳細は公式サイトで確認を。
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