「ものづくりが好き、エンタメのなかのインドア派」上田誠のルーツ

2024.2.24 21:00

脚本家・演出家の上田誠、2023年で結成25周年を迎えたヨーロッパ企画の代表を務める

(写真13枚)

■ 「京都は、切っても切れない関係」

──この取材の話があるまで、私はてっきり上田さんは東京に住んでいると思ってたんですけど、今も京都のこの(取材場所である)「ヨーロッパハウス」を拠点にされてるんですね。京都にいるメリットが、なにかあるんでしょうか?

正直、今も「東京に行こうかなあ」って悩むんですよ。やっぱりシンプルに、交通の便ってありますから(笑)。でも京都で旗揚げして、ここを拠点に活動していくと、やっぱり京都がどんどん好きになって、切っても切れない関係になっていったというのはあります。特にロケをするときには、地縁があったらなにかと便利ですしね。それに僕はメインストリームみたいな流れがあるときに、あるオルタナティブというか、メインとは違う道を作っていこうという気持ちがずっとあって。

26年目を迎える「ヨーロッパ企画」だが、「やりたいことがたくさんいろいろありすぎて追いつかない」と上田はうれしそうにこぼす

なにか見たことがない面白さをエンターテインメントにしようとしたときに、それを端的に表現するのに「京都にいる」というのは、わかりやすい記号にはなるんです。既存のメディアや業界とちょっと距離を置きながら、独立独歩でめずらしいものを作ろうとしたときに、京都という土地、ヨーロッパハウスという場所があったのは、いいことだったんじゃないかなあと思います。

──そうして25年京都でやってきて、今年は26年目に入りますけど、上田さんが今後やってみたいことってなんですか?

ここまで演劇以外の話が多かったですけど、やっぱり一番やりたいのは演劇。昨年25周年記念で「南座」(京都市東山区)で1日だけ公演を打ったんですけど、リアルな場所に集まること自体が、演劇のひとつの醍醐味だし、劇団をやってるおもしろみだなあ・・・という、本公演とは違う手応えを強く感じました。だから今後も演劇活動がメインにはなるけれど、問題なのはやりたいことがたくさんありすぎて追いつかないんです、体と手が(笑)。

──なにを選んでいいかわからない。

そうですね。新作もやりたいけど、今まで作ってきた良い作品も再演したいし、映画も作りたければドラマもやりたい。弾数がめっちゃあるなかで「どれを選んだら、お客さんがおもしろがってくれるかな?」ということを、最終的には一番に考えています。「自分がやりたいこと」っていうのも大事だけど、それだけを突き詰めてお客さんが離れてしまったら、活動を続けられなくなってしまいますからね。僕が本当にやりたいことはすごくマニアックで、広く一般性があるエンタテインメントではないと、自分でもわかっているので(笑)。そのバランスをうまく取りながら、これからもやっていきたいなあと思います。

「お客さんを、どう面白がらせるか?」を念頭にコンテンツを作り続ける上田、まだまだこれからも彼が作る新世界に出会えるだろう

──ぜひこれから、いろんなコンテンツをチェックさせていただきます。最後に、26年目の目標を聞かせてください。

去年の25年目は、はからずもいろんな意味で集大成っぽくなったので、リスタート感があるんです。年末には久しぶりに「ショートショートムービーフェスティバル」(注4)を開催するので、また新しいものが生まれることに期待しています。役者メンバーは昔からあまり変わってないけど、スタッフは新陳代謝が起こっていて、意外と若い人たちが動かしているんですよ。

「ショート・・・」はみんなが熱く競い合うことで、思いがけず新しい関係が生まれたり、僕らの知らないところでつながりができるイベント。そういったことを通して、新しい人たちの躍進に期待して、運営していくというのが、26年目のフェーズになると思います。

直木賞作家・万城目学の小説を舞台化した『鴨川ホルモー、ワンスモア』を、4月の東京公演を経て、5月3・4日に「サンケイホールブリーゼ」(大阪市北区)で上演。8~11月にはヨーロッパ企画本公演として、上田の岸田國士戯曲賞受賞作品『来てけつかるべき新世界』を、大阪の新劇場「SkyシアターMBS」(大阪市北区)をはじめ、全国各地で上演する。

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