詐欺師を演じた安藤サクラ「迷いなく演じられる役が稀にある」

2023.10.7 08:00

映画『BAD LANDS バッド・ランズ』の原田眞人監督(左)と主演の安藤サクラ

(写真6枚)

◆「ますます安藤サクラのファンに」(原田監督)

──なるほど。

監督「でも、そうなると彼は東京出身なので、ネリ役はなんとか関西の俳優でっていう意識があったんです。それで、あらゆる関西コネクションを駆使してネリ役を探したけど見つからない。さて、どうしようと改めて周囲を見回したら彼女(安藤サクラ)がいた。彼女なら言葉の問題も含めてやってくれるだろうと」

安藤「多くの場合、出演のお話をいただくときは企画段階でいただくのですが、今回はそういった事情で、もう脚本が完全にできあがっている段階だったんです。それで、まず脚本を読ませてもらったのですが、読むのに8時間くらいかかっちゃって」

「脚本を読むのに8時間くらいかかった」と明かした安藤サクラ

──いつもそれくらいかかるんですか?

安藤「いえいえ、そんなにかかりません。でも、今回の脚本はそれぐらい濃密で、監督の思いもびっしり詰まっていて。それをしっかりと咀嚼しなくちゃという思いで読んでいったので、読み終わったときには自分のなかにネリが生まれていました」

──安藤さんのなかに生まれたネリは、どんなキャラクターでしたか。

安藤「まず、本質的にやさしさをもっているということですね、そこは大切にしようと思いました。傾(かぶ)こうと思えばいくらでも傾ける役だけれど、観終わったときに『あれ、どんな人物だったっけ?』って思いかえす程度の印象なんだけど、でもなんか異物としての存在感が残る、そんな風に演じたいと思いました。ただ、そういった考えを含めて、私が演じていいのかっていう気持ちがあって、そこは監督と話し合いました」

監督「そうそう、1時間半ぐらい話したよね」

──そのとき、監督はどう思われたのですか?

殊詐欺を生業にする姉ネリ(安藤サクラ)と弟ジョー ©2023「BAD LANDS」製作委員会

監督「ますます安藤サクラのファンになりました。そして、安藤サクラの日常をネリという役のなかに取りこめていけたらいいなと。ネリに安藤サクラらしさ、彼女が本来もっているものを取り入れてゆき、どこまでが安藤サクラでどこからがネリなのか、その境界線があやふやになるようにしたいなと思いましたね」

──確かに映画を観ていると、素の安藤さんと役柄であるネリとが自然に重なっているのを感じました。

監督「撮影に入ってから、彼女がこのシナリオを読み込むのに2日かかったというのを聞いて、驚いたけれども、どこか納得できたんです。現場で、彼女の覚悟というか気概を感じることが多々あったので、なるほどな、と思いました。ネリという役名にこめた思いを彼女なら間違いなく表現してくれると確信しました」

映画『BAD LANDS バッド・ランズ』

2023年9月29日公開
監督:原田眞人
出演:安藤サクラ、山田涼介、ほか
配給:東映/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

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