詐欺師を演じた安藤サクラ「迷いなく演じられる役が稀にある」

2023.10.7 08:00

映画『BAD LANDS バッド・ランズ』の原田眞人監督(左)と主演の安藤サクラ

(写真6枚)

安藤サクラと山田涼介が特殊詐欺を生業にする姉弟に扮して、大阪・西成を拠点に裏社会を駆けめぐるクライム・アクション映画『BAD LANDS バッド・ランズ』。原作は、大阪出身の直木賞作家・黒川博行の『勁草』(徳間書店)。最高のキャスティングを擁してメガホンをとったのは、『燃えよ剣』(2021年)や『ヘルドッグス』(2022年)など、充実した仕事が続く原田眞人監督。来阪した監督と安藤サクラに話を訊いた。

取材・文/春岡勇二

◆「関西出身じゃなきゃダメだろうと」(原田監督)

──監督は黒川博行さんの『勁草』が出版されてすぐ読まれたそうですが、そのときはどんな印象だったんですか?

原田眞人監督(以下、監督)「特殊詐欺の裏側が細かく描かれていて、読みながらイメージが湧いてきて、これは映像化できるなと思いました。そのときから、原作では男性の主人公だけど、女性に変えた方が面白いんじゃないかっていう考えはありました」

映画『BAD LANDS バッド・ランズ』本予告

──それは、どういったところからの発想だったのですか?

監督「僕は小説を読むとき、あの映画監督が映像化したらどうなるか考えながら読むのですが、この原作で思い浮かべていたのはイングマール・ベルイマン(註)だったんです。彼がこの原作で犯罪映画を撮るのなら、主人公はきっと女性にするだろうし、登場人物の関係性に近親憎悪とか近親相姦といった要素を入れて、有機的なつながりを構想するのではないか、そう考えたんです」
※註:『第七の封印』『鏡の中にある如く』などで知られるスウェーデン出身の映画監督・演出家

──原田監督らしい映像化の捉え方ですね。主人公を女性にすることで、その役を安藤さんに演じてほしいと考えられたわけですか?

監督「いや、その時点ではまだ、(隣に座る安藤サクラを見ながら)この人のことはまったく考えてなかったですね(笑)」

安藤「私のところに話がきたのは一番最後なんです(笑)」

監督「いや、彼女がどうこうというのではなく、この映画には主人公が2人いて、これだけ大阪という街を舞台としているのだから、2人のうち最低でもひとりは関西出身の俳優さんじゃなきゃダメだろうと、まずその方面から絞っていったんです」

©2023「BAD LANDS」製作委員会

──2人の主人公というのは、安藤さんが演じられた姉のネリと、山田涼介さんが演じられた弟のジョーですね。ジョーに山田さんを起用するのが最初に決まっていたのですか?

監督「漠然とですけどね。まだ彼と『燃えよ剣』をやる前で。彼が出演した『グラスホッパー』(2015年)などを観て、ジョー役にいいかもなって。その後に『燃えよ剣』を一緒にやって、原作を読み返して、ジョー役は涼介だなと」

映画『BAD LANDS バッド・ランズ』

2023年9月29日公開
監督:原田眞人
出演:安藤サクラ、山田涼介、ほか
配給:東映/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

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