今年の伊賀越はスリル系! 家康の大飛躍も【どうする家康】

第29回より、伊賀の忍者に襲われる徳川家康(松本潤)(C)NHK
古沢良太脚本・松本潤主演で、江戸幕府初代将軍・徳川家康の、厳しい選択だらけの人生を描きだす大河ドラマ『どうする家康』(NHK)。7月30日の第29回『伊賀を越えろ!』では、家康を扱うドラマの大きな見せ場といえる「伊賀越」が描かれ、シリアスとコミカルが入り交じる展開に、今回もSNSが湧いた(以下、ネタバレあり)。
■ どうする家康、甲賀忍者を信じられる?
織田信長(岡田准一)を倒した明智光秀(酒向芳)は、京にもっとも近い場所にいる家康の首を取るよう、近隣に触れ回っていた。三河に向けて逃亡を開始した家康と家臣団たちは、途中で甲賀の多羅尾光俊(きたろう)に匿われる。光俊は信楽に向かうよう勧めるが、親切が過ぎることを不審に思った家康たちは、服部半蔵(山田孝之)の進言で伊賀に向かう。
ところがそこで伊賀の頭領・百地丹波(嶋田久作)に生け捕りにされて、首を討たれそうになる家康。しかし逆に「わしに明智を討たせよ。わしに恩を売れ」と丹波に迫り、無事に解放された。家臣団も誰ひとり欠けることなく、奇跡的に三河に帰りつけたが、肝心の光秀は、毛利の戦から引き返してきた羽柴秀吉(ムロツヨシ)によって討たれてしまう・・・。

■ スリリングな回、家康三大危機の「伊賀越」
数々の大河ドラマで描かれてきた、家康三大危機のひとつ「伊賀越」。おそらく本当に命がけの逃避行だったはずだが、そのルートはいまだに諸説入り乱れ、真偽不明の伝承も数多く残っているためか、最近は脚本家たちがここぞとばかりに、おもしろさを競う展開にすることが多い。この第29回も、古沢の代表作『コンフィデンスマンJP』ばりに、ハッタリとどんでん返しの連続で見せる、スリリングな回となった。
今回の伊賀越で鍵を握った人物は数多いが、トップバッターは服部半蔵。伊賀の忍の長なので、これは頼りになる! と思いきや、実は伊賀には一度も行ったことがなかったり、行けば行ったでお家の威光はまったく効果なしだったりと、やっぱり頼りないという結論に。特に最大のミステイクは、多羅尾光俊ら甲賀者の、心からの親切を見抜けなかったことだろう。

SNSでも「甲賀衆、単純にめっちゃいい人たちやったのかw」「至れり尽くせりの脱出行を用意してくれた、多羅尾光俊や甲賀衆のみなさんを忘れる事はないでしょう」「服部半蔵が忍びらしいことを言ったら、裏目に出る。このあたり、仕えだした頃と変わらない」「ここまで服部半蔵が役に立たない伊賀越初めて見た」など、半蔵ディス気味の言葉が並んだ。
■ ハッタリ気味の交渉、家康の成長ぶり
そして踏み込んでみたら正真正銘の修羅の国だった伊賀で、あっさり捕まって斬首待ったなしとなる家康。昔なら多分「どうしよう・・・」と泣いていたところを、華麗に再登場した本多正信(松山ケンイチ)のアシストで丹波にハッタリ気味の交渉を交わし、自分たちを無条件で解放させるという大技を決めた。この殿の大成長ぶりには、初回から見守ってきた視聴者は感動せずにいられなかっただろう。
SNSでも、「白兎ちゃんが狸に化けた」「あの百地を説得した家康の佇まいと言葉は、いずれ天下人になる目だ」「嘘やごまかしで生き延びる方法を考えるんじゃなくて、まっすぐな姿勢で対するのが家康」「本多殿がいた頃より殿も成長されてるんですよ。びっくりした? 助けられてばかりじゃないんだぜっ」という、なぜか誇らしげなコメントが続々と。

■ 『麒麟がくる』とは好対照だった今回の光秀
このとき家康に「首もちゃんと取れない奴が、天下取るなんて無理」と言われてしまった光秀。本当にすぐ秀吉に惨敗し、落ち武者狩りで「わしは明智やないぞ」と言い張ったまま、ひとりで殺された。このシーンは、家康が討たれそうになったときに半蔵ら服部党の面々が「わしが家康だ」と言い張ったのとなかなかエグい対比、との声もあった。
とはいえ、明智光秀が主人公の大河ドラマ『麒麟がくる』(2020年)とは好対照だった今回の光秀にも、「これは麒麟の来なかった光秀」「どの明智よりも最弱の明智だけど、間違いなく一番面白い明智光秀」「最期の最期まで小物感を貫き通した光秀の潔さに、酒向芳さんの怪演もあいまって、感動すら覚えた」など、ねぎらいの言葉があった。
今回もまた、どんなに書いても書きつくせないほどの見どころと、視聴者の熱心な支持や細かい考察が相次いだ「神君伊賀越」。信長の死とこの出来事によって、天下人・家康の完成形が大きく近づいた。そして今回のラストで、視聴者を残らずゾッとさせたムロ秀吉との全面対決も目前に迫っている。草葉の陰で見ているはずの岡田信長とともに、ワクワクしながら見守ろう。
『どうする家康』はNHK総合で日曜・夜8時から、BSプレミアムは夕方6時から、BS4Kは昼12時15分から放送。8月6日の第30回『新たなる覇者』では、羽柴秀吉が着々と織田家の実権を握っていく一方、家康が関東の雄・北条家と対決するところが描かれる。
文/吉永美和子
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