故・蜷川幸雄のもと10年…演出家・藤田俊太郎の「ルーツ」とは

2023.7.5 07:00

舞台『ヴィクトリア』で演出を務める藤田俊太郎

(写真8枚)

■ 「蜷川さんのことは毎日のように思い出す」

──蜷川さんから学んだ、一番大きなことってなんでしたか?

すべてですね。生きること、生き続けることのすべて・・・と言いつつも、いまだに学んだことで言語化できないことが多いです、崇高すぎて。ひとつ確かなのは、自分にあれだけ厳しい方に僕は会ったことがないし、自分に厳しくないと、あれだけの場所にはたどり着けない。蜷川さんのことは毎日のように思い出すけど、おっしゃっていたことの意味が、まだ自分はひとつもわかっていないという気もしますし、それを知りたいからがんばっています。

──それもひとつの、演出を続ける理由に。

なっていますね。近づきたいと思います。遠すぎるんですけど(笑)。蜷川さんの言葉は、痛烈なものからやさしいものまで、ちゃんとノートに取ってあるんですが、今それを読み返すと、戯曲の読み方、言葉との向き合い方、世界との対峙の仕方を、蜷川さんは全力で伝えようとしてくれていたんだな、と思います。今回の『ヴィクトリア』でも「ああ、あの言葉はそういうことか」と気づかされることが多かったです。

今回、藤田が演出を手掛ける舞台『ヴィクトリア』(撮影/宮川舞子)

──いろんなジャンルを手掛けていますが、どんな現場でも演出家という船頭として、絶対に外してはいけない核であるとか、共通している方針みたいなものはありますか?

「信じること」ですね。一緒にものを創る俳優、プランナー、スタッフ、カンパニーの皆さんを信じることがすべてです。皆さんの仕事には尊敬しかないです。

──めちゃくちゃ謙虚な理由が。

もちろん意見を言い合えば、軋轢みたいなことも生まれるけど、それすらも「演劇」である、と。それを乗り越えたときにこそ、おもしろいものや、新しい価値観が生まれると思っています。あとは、戯曲を信じ言葉と対峙しながら、演出の新たな切り口を見つけることも、絶対的なものですね。今の時代に上演するのに、どういう風に切り込めば、お客さまのいろんな感情を呼び覚ますことができるのか? というものを、演出家としてきちんと提出する。切り口、演出プランが決まったら、あとはプランを信じて自信を持つということも、大事だと思います。

演出家としての「役割」について話す藤田俊太郎

──それでいうと、今回の『ヴィクトリア』の切り口は?

シンプル、ですね。大竹さんがヴィクトリアとして当たり前に存在して、お客さまに想像力を渡すという、劇場規模の大きな意味での信頼関係を、どうすれば持ちつづけられるか? ということです。これは20世紀を生きた女性の一生を描いていて、(上演時間の)1時間10分のなかに、人生のすべてがあると言っても過言ではない。その可能性を信じたうえで、お客さまに手渡す。大竹さんやプランナー、スタッフ、カンパニーの皆さんとシンプルな世界観を目指して、自分たちが思ったことをなんでも言い合うということを、大事にして作りました。

舞台『ヴィクトリア』

【兵庫公演】
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール(兵庫県西宮市高松町2-22)
期間:2023年7月5日(水)・6日(木)
料金:S席8000円、A席6000円、B席4000円

【京都公演】
会場:京都芸術劇場 春秋座(京都府京都市左京区北白川瓜生山町2-116)
期間:2023年7月8日(土)・9日(日)
料金:S席8000円、A席6000円、学生&ユース2000円(座席範囲指定あり)

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