映画で「観たことない岡田准一と綾野剛を見せたい」と藤井監督

2023.5.24 18:30

映画『最後まで行く』の脚本・監督を務めた藤井道人監督

(写真5枚)

■絶妙なコミカル、「不謹慎な笑い」が生む面白さ

──試写会でも笑いが出るほどコミカルシーンが絶妙でした。

岡田さんも綾野さんもコメディがうまいんですよね。何故面白いかというと、2人とも「人を笑わせよう」としたり、「これ面白いでしょ」と思って演じてないんですよ。工藤と矢崎が生きて、必死にテンパってくれている。本当に必死に逃げ切ろうとするじゃないですが。小賢しく、愚かに。その2人が滑稽に見えるので、そこでみんなが笑えるんだろうなと。僕が好きな笑いのラインです。

──笑いの間が素晴らしかったです。笑って良いのか分からないけど笑ってしまう。

そうなんですよ。不謹慎な笑いって面白いんですよ。作中にもあるんですが、棺桶に何してんのっていう。

──墓場でも戦いますしね。この壮絶な墓場シーンからラストに向かってのカーチェイスが個人的にお気に入りなんですが、最初からラストシーンは決めていらっしゃったんですか?

原作では金庫のシーンで終わるんです。それはそれでひとつの正解だとは思うんですが、『最後まで行く』というタイトルを考えたときに、その意味って何なんだろうって。やっぱり、行ききった方が面白いなって思って。「初日の出までの話」というのは自分のなかで決めていました。

■藤井組は「日本映画界の希望」

──岡田さんが、藤井さんは「新しい撮り方」をされるともおっしゃっていました。「新しい撮り方」とは?

そうですね、僕はフィルムで映画を撮ったことがない世代なんです。アナログからデジタルに移行した世代なので。自分流プラス昔の良いところを取り入れてハイブリッドされていったというか。岡田さんは伝統のなかでしっかりと大作を作ってきた方なので、僕が珍しく写ったのかもしれません。一方、剛さんは自主映画やインディーズなども経験されているので、意外とやり方が合ったのかも。

──以前、岡田さんが「30代が多く活躍する藤井組は日本映画界の希望」とおっしゃっているのを拝見したんですが、藤井さんの今後の展望は?

インディーズ時代からなんですが、師の教えを受けて、というよりは、自分のなかで戦って映画を公開し、観客から厳しい言葉やうれしい言葉をいただきつつ、頑張ってきた部分があります。昨今、労働環境の話などいろんなものが表に出てきているけど、個人的には「表に出てきたからどうにかしなきゃ」という考えがしっくりきてなくて。自分たちがちゃんと現役でいて、中から変えていける環境づくりをし、議論ができる場にしたいという想いはあります。

──なるほど。次回作なども予定されているんですか。

はい。今後もたくさん映画を作っていきたいですし、岡田さんと綾野さんと作っていきたいという想いもあります。一度だけで終わりではなく、何度もコンビとして作っていくことでより面白い作品ができあがるだろうし、ご縁を大事にしながら作品づくりをしたいです。

──最後に、これから映画を観られる方に一言いただけますか。

観たことない岡田准一さんと綾野剛さんが観られる作品となっています。あまり追い詰められるタイプじゃない2人が追い詰められる様を映画館で存分に味わって欲しいです。全然かっこよくないですが、キュートかつ愛らしいのでそこを楽しみに。

最後まで行く

2023年5月19日(金)
全国東宝系にて公開中

監督: 藤井道人
出演:岡田准一、綾野剛 ほか

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