兵庫だけ? 春の風物詩、「レターパックでいかなご送れ」の謎

2023.3.28 07:15

兵庫県の一部地域だけで見かけるのぼり

(写真3枚)

兵庫県の郵便局に設置されている、ある「のぼり」が話題となっている。郵便局のサービス「ゆうパック」を宣伝するための一見何の変哲もないのぼりだが、そこには「いかなごのくぎ煮 送るなら郵便局へ」という文字が・・・。

SNSでは「どういうこと!?」と困惑する声の一方で、「実家からレターパックでいかなごが送られてきた、春ですね」「レターパックでいかなご送れ、は兵庫あるあるです」など地元民が解説する光景が広がっている。

「いかなごのくぎ煮」といえば兵庫県の郷土料理。播磨湾や大阪湾で獲れる「いかなご」の稚魚を醤油や砂糖などで煮込んだもので、ショウガが効いて甘辛く、とにかく白米が進む逸品だ。兵庫県や大阪府ではいかなごの流通時期である3月頃になるとくぎ煮を作る家庭も多いので、春の風物詩として楽しみにしているという人も多いはず。

しかし、なぜ郵便局でこのような呼びかけをしているのだろうか? 日本郵便・近畿支社(大阪市中央区)の広報担当者に話を訊いてみることにした。

兵庫県の郷土料理「いかなごの釘煮」(出典:農林水産省Webサイト)

「いかなご」のぼりは地域活性化を目的にスタート

担当者によると、いかなごのくぎ煮に関する取り組みは「兵庫県イカナゴ謝恩実行委員会」の協力のもと、兵庫県の3エリア「神戸・阪神地域」「播磨地域」「淡路地域」にある計726の郵便局でおこなわれているという。

「レターパック」は、一律料金で全国に荷物が発送できるサービスのこと。4kg以内の重さでパック内に収まるサイズなら370円(対面で配達する場合は520円)で送ることが可能なので、遠方に住む人にも気軽に発送できるという。

今回の取り組みは、そんなレターパックのPRと兵庫県の地域特産品を全国に広める地方創生を目的としており、窓口ではレターパックにくわえ、くぎ煮を入れる収納容器も100円で販売しているほか、今回話題となったのぼりとポスターで宣伝にも力を入れている。

以前から、地域の人々が自宅で作ったいかなごのくぎ煮を、他県に住む親戚や知人に送るという習慣が根付いていた兵庫県。1995年以降になると「阪神淡路大震災」で兵庫県を訪れたボランティアに向け、復興のお礼としてくぎ煮を発送するケースも増えたという。

いかなごシーズンのみ登場する、特製シールも(提供=日本郵便)

■ 和歌山や奈良でも「レターパック」で特産品

実は、同じような荷物発送に関するキャンペーンは和歌山県の梅干しやみかん、奈良県の柿など各地域の特産品でもおこなわれている。また、地域の人々が手掛けた農産物や加工食品を、局内の一部スペースを有料で貸し出す形で販売できるようにするなど、地域活性化に向けての活動も。

担当者は「近年はいかなごの漁獲量減少にともない、発送されるレターパックも減少しつつありますが、これまでに多くのお客さまにご利用いただきました。今後も郵便局でのぼりやポスターを準備し、各方面からご協力をいただきながら、地域活性化のための盛り上げ策として実施していきます」とコメントしている。

取材・文/つちだ四郎

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