落語の行き着く先、桂春蝶&吉弥「自分に正直に向き合えるか」

「Lmaga.jp」にちなんでLポーズを取ってくれた(左から)桂吉弥、桂春蝶
2024年には芸歴30周年を迎える落語家の桂春蝶と吉弥。「中堅」と呼ばれる年代にさしかかり、上方落語界をけん引していく立場にもなってきた。古典落語という伝統を受け継ぎながらも、創作落語でその可能性を開拓しているふたりに、今だからこそ伝えたい後進への思いや、落語家という看板を背負うことについて問いを投げかけてみた。
■ 「若い子はもっと無茶をやらなあかんと思う」(春蝶)
——おふたりは来年で芸歴30周年を迎えますが、今なお、いろんな挑戦をされていますよね。
吉弥「春蝶くんが今やっていることは新しいことなんとちゃうかな。自分の言葉で落語を作るというのは」

春蝶「僕ね、思い切ったこと言うけど、最近、『救い』ってなんなんだろうと考えているんですよね。迷いとか悩みとか、そういうものを抱えている人も多い。昨日も(春蝶作の創作落語)『落語で伝えたい想い』シリーズをやったんですけど、アンケートを読むと『明日から頑張って生きていこうと思いました』みたいなことが書いてある。これは有名なジャズの人かな、「君の悩みを解決することはできないけど、悩みを抱えたまま、この音楽で踊らせることができる」みたいなことを言った人がいて。まさにそれやと。僕は、誰かが抱える悩みの解釈が変わるようなお話を探しているところもあります」
——何か見つかっていますか?
春蝶「去年、第1回の『三人噺』で『浜野矩隨』をやらせてもらいましたけど、『浜野矩隨』には最後の方のセリフで『弱音を吐いたり、愚痴を吐いたり、吐くっていう字は口へんに土と書きますけど、これがプラスとマイナスに見えるときがある。でも何かを見つけて、ずっと努力を続けていたら、そもそも弱音や愚痴を吐いてる時間はなくなる。そしたら、いつの間にかマイナスが取れて、プラスだけで叶うっていう字になる』というようなことを入れています。いろんなことを逡巡しながら生きている人たちに、突き刺さる言葉を探しているというか・・・」

吉弥「俺は、すごいことを春蝶くんはやってるなと思うし、今の若い子らがいろいろ何かやっているのを見ても、『俺はできへんな』と思う。なかなか器用なことはできへんので・・・」
春蝶「誰よりもできそうに見えるのにな。1番、実現できるような人やのに」
吉弥「僕は、たとえば都会へ出ていろんなおいしいものを食べて、新しい味も覚えて、素敵な食べ方もいろいろ見たけど、でも実家に帰って、商店街にある店のおっさんが作ったきつねうどんみたいな、『やっぱりおいしいわ、なんやろこれ』と言われるようなものを作る人になりたい。毎日出汁を引いて、油揚げを炊いて、うどんをこねて、その味のクオリティを守ってみたいなね」
——おふたりはお弟子さんもいらっしゃいますし、中堅という立場では、若手の落語家さんに望むことはありますか?
春蝶「若い子はもっと無茶をやらなあかんと思う。やらなさすぎて心配。もっと『非常識やな』と思われるぐらいのことをやってほしいです。それをさんざんやって『無駄やったな』って思っても、絶対、何かの糧になっているんですよ」
吉弥「春蝶くんはずっとそうやってきて、今もやっているから、若手が物足りないのだと思います」
春蝶「先代(五代目)の桂文枝師匠が『もっとちゃうことやれ、もっとちゃうことやれ、それが全部落語に返ってくるから』っておっしゃっていたんですけど、その言葉も僕らの希望です。落語とは違うと思う仕事をやっていても、いつの間にか落語が太くなっているというのが理想なんかな」
『春蝶・吉弥と一之輔 三人噺』
会場:大阪市中央公会堂 大集会室(大阪府大阪市北区中之島1-1-27大阪市中央公会堂 B1F)
日時:4月28日(金)昼公演13時45分※追加公演/夜公演18時※ソールドアウト
料金:指定席5500円、特典付き指定席6500円
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