Aマッソ、自分よがりの笑いからの脱却「10年かかった」

2023.2.27 19:45

コンビ結成13年目となるAマッソ、左から加納愛子、村上愛

(写真7枚)

■ 「世の中に出ないと分からないことってたくさんある」(加納)

──そういうふうに斬新なことに挑戦し続けるという姿勢を「トガった芸風」と表現する人も、多くいましたよね。YouTube『Aマッソ公式チャンネル』の2022年3月8日配信回では、平成ノブシコブシの吉村崇さんを講師に迎えて「尖り」について語ってらっしゃいましたが。

「尖り」に対して一貫した考えを持つ加納(右)、その話っぷりが物語っていた

加納「この2、3年は全然言われなくなりました。やっぱりテレビ出演の影響が強いと思います。劇場を中心に活動していたときは自分よがりに生きていけるところもあるから、うちらもそういうスタイルを意識していたのかもしれません。劇場って自分たちが作ったものを自由に出せるから、その点で一方通行になりやすい。つまり、社会性がなくてもある程度はやっていけるんです。だけどテレビって自分たちが作るものではなく、いろんな方に望まれることをちゃんとやっていかなきゃ仕事にならない。自分らでも『全然違うやん』と気づくものがありました」

──なるほど。

加納「うちらはテレビにも出たかったから、現状について『自分たちのスタイルを捻じ曲げて今がある』とは思わない。『ほんまはこういうことがやりたいのに、こうなってしまっている』みたいな精神的反発はないですね。かといって劇場に対しても飽きがないから、かなり良いバランスでやりたいことがやれている気がします」

村上「前は『トガってる』とか言われてたけど、うちは『全然そんなことないやん』とずっと感じてたし。テレビ、劇場、YouTube、どれを観てもうちらの「人(にん)」(※註1)が出てるはずなので」※註1:芸人が持つキャラクター性、個性、人柄のこと

加納「まあ、うちらはもともとそういうやり方しかできなかったというのもあるけどね。だからテレビに出るのに10年かかったんかも。あと、世の中に出ないと分からないことってたくさんある。たとえば劇場でやっているときはカリスマ的な人気のボケだったとしても、テレビではアホみたいなツッコミに回って、それでハネる場合がありますし」

──確かにそうですよね。

加納「大事なのは、そういうことを精神的にダルいと考えないこと。キャラ変もどんどんしたらいいし、そういうチューニングをもっと恥ずかしがらずにやるべきですよね。あとは、そこで起こるミスに対してもっと寛容になっていけばなって」

ベンチで肩を寄せ合うAマッソ、左から村上愛と加納愛子

──たとえば今回の『滑稽』がこれからのおふたりになにか影響を与える可能性はありますか。

加納「もちろんあるはず。なんなら、笑いについて考え直すきっかけになるかもと思っているので。お客さんはなにも知らない状態で観てもらえると、より楽しめるんじゃないかな」

村上「うちから言えるのはひとつだけですね。『楽しみにしていてくださーい、うちも楽しみでーす!』です」

Aマッソライブ『滑稽』の大阪公演は、3月13日・14日に「松下IMPホール」(大阪市中央区)にて上演。チケットは6000円で、現在発売中。

取材・文/田辺ユウキ 写真/Ryo Tateoka

Aマッソライブ『滑稽』

会場:松下IMPホール(大阪府大阪市中央区城見1-3-7)
期間:3月13日(月)・14日(火)
料金:6000円

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