バイラルヒット飛ばす、謎多きWurtS「新たな現象を作りたい」

2022.12.25 19:45

謎多き次世代アーティスト・Wurtsを直撃

(写真1枚)

■「2022年は、いわゆる新人という枠から外されたかな」

──そんな『分かってないよ』のヒット後はどんな流れだったんでしょうか。

『分かってないよ』がバズったと同時ぐらいに、タイアップのお話をいただいたんです。

──TOYOTA『カローラシリーズ』のCMソングとなった『リトルダンサー feat. Ito(PEOPLE 1)』のことですね。

『リトルダンサー』は僕のなかで推し曲というか、『分かってないよ』とは別のアプローチで、絶対伸びる!と自信があった曲で。『分かってないよ』もそのままにしておけば1年ぐらいはヒットし続けたかもしれないんですが、『リトルダンサー』に注視してもらえるよう、『分かってないよ』のバズを意識的に抑え目にしていきました。

──『分かってないよ』のバズを収束させるべくコントロールしていったと?

カッコよく言えばそうですが(笑)、運があったんだなって。TOYOTAさんからお話をいただけたことで、決心がついたというか・・・正直、1番いいタイミングでシフトチェンジするのは怖かったですけどね。

──『分かってないよ』だけで終わらない、WurtSのさらなる世界をリスナーにもうまく伝えられた2021年ですね。サウンドメイクとしてはいわゆるオルタナティブ・ロックのエッセンスもあって、「リバイバル」が1つのキーワードだったと。そこから2022年はどんなテーマで進んでいったんでしょうか。

イメージとしては、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』みたいな、過去から未来へという感じ。元々僕はEDMとか電子音楽がルーツにあって、リバイバルの良さももちろんあるんですが、未来的な音楽を作りたいなという思いがあったんです。

なので、2021年に出したEP『檸檬の日々』のカップリングに『Talking Box』という楽曲を入れて、未来感を忍ばせてはいたんです。いきなりモードを変えちゃって「WurtS、どうした!?」とならないように(笑)。

──『Talking Box』はまさにEDMを軸にしており、EP『MOONRAKER』では、先にリリースされたEP収録時のテイクにラップパートを追加した「Dirty Pop Remix」として新たにパッケージ化されました。私はこの曲の詞世界に、新たなクリエイティブを見せていこうというある種の決意を感じたというか、そんな象徴的な楽曲に思えたので、すごく納得する話だなと。今年の仕掛けになった曲ですね。

2022年に関しては、タイアップがすごく多くて。今回のEPのなかでも、『MOONRAKER』以外は全曲タイアップですね。それも元々あった楽曲から選ぶのではなく、新たに作っていきました。

──『コズミック』は(イギリスのスマートフォン会社の)Nothing Phone (1)とのコラボで。

Nothing Phone (1)は、スマートフォン=ただの機械ではなく、身体の一部のように本能的に使うという考え方がすごくいいなと思って。あらがわずに順応する良さが、WurtSのマインドと重なります。アーティストによっては、自分が歌うことを大切に思ってたり、デジタルに負けたくないと思っているだろうなか、僕はむしろ順応していきたいなと思っていて、そういうところがリンクしてできた曲ですね。

──ミュージックビデオもすごく壮大で、まるで1本の映画のようです。映像はWurtSとして外せない表現のひとつですが、それらも相まって、『MOONRAKER』はすごくコンセプチュアルなEPになりましたね。

2022年は、いわゆる新人という枠からちょっと外されたかなと思ってて。補助輪がない感じ。アーティストとしての確立した見せ方というか、それがあってコンセプチュアルなものを作りたいなというのが、今年の出発点でした。

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