評論家鼎談、2021年・下半期「ベスト日本映画」はこれだ!

2022.3.10 07:00

映画評論家のミルクマン斉藤氏、田辺ユウキ氏、春岡勇二氏(左より)

(写真12枚)

「片山友希は注目すべき女優のひとり」(春岡)

斉藤「だよな。『シン・エヴァンゲリオン』『竜とそばかすの姫』はもちろんやけど、発見だったのがイシグロキョウヘイ監督『サイダーのように言葉が湧き上がる』」

田辺「俳句の映画で、外の音を聞かずにずっとヘッドフォンをしてる少年と、矯正してるところを見せたくないからずっとマスクしてる女の子の話」

斉藤「背景のヴィジュアル表現も革新的にすごいよね。傑作やった」

映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』予告編

春岡「耳ふさいでる子が俳句してるって、それだけで勝ったようなもんだよな」

田辺「で、その2人がおじいちゃんが持ってる亡き妻の歌ってたレコードを探すっていう話」

斉藤「シティポップなんよな。それでオリジナル曲の作者が大貫妙子。しかもそのレコードがピクチャーレコードなのよ(笑)」

春岡「幻の1枚をさがすっていうやつね」

田辺「そのレコードの作りもすごく良いんですよね。絵としての作りが」

斉藤「これは必見。それと、吉浦康祐監督の『アイの歌声を聴かせて』も。主人公のお母さんが開発したアンドロイドが高校に入り込むという。そのAIの声を土屋太凰ちゃんがやって。しかも完全にシネミュージカルなのよ」

映画『アイの歌声を聴かせて』予告編

春岡「歌も歌ってる?土屋太凰が?」

斉藤「歌いまくり。現実の世界から飛躍する術が歌というのがまずミュージカル的で。ド田舎の地方都市が巨大企業のおかげで成立していて、そこで企業内権力闘争に高校生たちが巻き込まれるという展開もいい」

田辺「アニメーション作品は今後も注目ですね。あと、ミルクマンさんが絶対に言いそうなのが『プリテンダーズ』」

斉藤「良かった。女の子2人がユーチューバーになって、自分は現実をフィクションによって変革するんだと心に決めて、全国から引きこもり系のオタクを集めて、悪質な悪戯をしかけるんだけど・・・今、1カ月に2本くらいSNS系の映画があるやん。悪質ユーチューバーの映画なんてアメリカではしょっちゅうあって、普通は天罰受けて終わる訳やけど、そこでは終わらないのよ」

映画『プリテンダーズ』 (C) 2021「プリテンダーズ」製作委員会

田辺「熊坂出監督って、なんか久しぶりですよね。ベルリン国際映画祭で日本人初の優秀新人作品賞を獲った『パーク アンド ラブホテル』が2008年でしたし」

斉藤「あれはその年の僕のベスト。それ以降も撮ってるんだけど、たぶんやりたいものが撮れなかったのよ。これは完全に自分の好きな世界に行ってる。だから、すごく好き嫌い分かれてるみたい。ワーストって言ってる人もいるぐらいやから」

春岡「いやいや、力はあると思うよ」

斉藤「そう。要するに主人公の女の子が性格悪すぎるのよ。思考も単なる思い込みに近くて嫌悪感が先に立つ。でもそこでは終わらず、ある意味彼女の狂った思い込みが勝利する!」

田辺「それは面白い」

春岡「俺たちは面白いけど、一般的にはどうかな(笑)。俺はあれが良かった。石井裕也監督の『茜色に焼かれる』」

斉藤「石井裕也は基本的に俺は苦手なんだけど、片山友希は良かったねえ」

春岡「助演女優賞とか、『ドライブ・マイ・カー』の三浦透子がすごいからどうしようもないけど、片山友希は今後注目すべき女優のひとりなのは間違いない」

映画『茜色に焼かれる』 (C) 2021『茜色に焼かれる』フィルムパートナーズ
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