40周年を迎えた涼風真世「歌うことは私の人生そのもの」

2021.9.6 12:15

数々のミュージカルやコンサートで40年間歌い続けてきた涼風真世が、「愛」をテーマにしたニューアルバムを発売

(写真4枚)

魂の奥深くに入り込むような稀有な歌声と、透明感のある美しさで「歌の妖精」とも呼ばれ、宝塚歌劇団月組トップスターとして活躍後、女優・歌手・声優としてオリジナルな輝きを放つ涼風真世。

今年デビュー40周年を迎え、記念アルバム『Fairy ~A・I~ 愛』を9月8日にリリースする。小池修一郎×SUGIZOという斬新なコラボレーションの新曲をはじめ全14曲、男女の両パートやコーラスまで歌い切った今アルバムについて、そしてこれまでの道のりで芽生えた想いまで、Lmaga.jpの読者に向けて語ってくれた。

取材・文/小野寺亜紀

「新曲は何度もチャレンジし完成させた渾身の1曲」

──宝塚歌劇団で初舞台を踏まれてから今年で40周年を迎えられましたが、振りかえるといかがですか?

今日までの日々、ただただ必死に、前だけを向いて歩いてきました。涼風真世を必要としてくださる方や、涼風真世の歌が聴きたいと思ってくださる方がいる限り、これからもベストを尽くし、仕事を続けていきたいと思っています。

──男役時代、『ベルサイユのばら』のオスカルや『PUCK』の妖精パックといったフェアリーな役柄から、悪魔のメフィストフェレスなど色濃い役まで、幅広く演じられましたね。

男役、女役、妖精、悪魔など、さまざまな役柄を演じ、すべてが私の血となり肉となり、現在の涼風真世を形成しています。宝塚は私の原点です。宝塚歌劇団で感性を養い、研究心、努力そして新鮮さを忘れずに、緊張感を持ちながら集中して舞台に立つことを学びました。今もそれを心に留めています。

──1993年に退団後、女優としてもミュージカルやお芝居、NHK大河ドラマなどさまざまな作品に出演されましたが、特に忘れられないものは?

今年上演の『ポーの一族』で演じた二役、老ハンナとブラヴァツキーは、姿、髪型、風貌、声など試行錯誤しながら創り上げました。40年、さまざまな作品でご一緒させていただいた小池修一郎先生の舞台で、印象深いです。

──ヴァンパネラの老ハンナ、霊能者のブラヴァツキーとも、とても存在感のある演技と歌声でした。ところで涼風さんは、『るろうに剣心』のアニメ版では緋村剣心の声も演じられましたが、声優の仕事についてはどのようにお考えですか?

声優とは・・・画=絵に「魂」を吹き込む仕事と考えています。緋村剣心の「声」のトーンや、息だけで、彼の生き様や感情を表現し、言葉に想いのすべてを投入することを大切にしていました。監督の指示に従い、『るろうに剣心』の収録では三ツ矢雄二さんに、画を観ながら台本に忠実になるよう、秒数や息声、戦いのシーンの叫び声などを、細かく教えていただきました。

──あの緋村剣心の声は、そうやって生み出されたのですね。涼風さんにとって、さまざまな役を「演じる」ことの醍醐味とは?

「演じる」ことはすなわち、役柄や人物を私自身が体感することなのかもしれません。その役を分析し、考え、研究し、感情、姿形(すがたかたち)を私自身の身体で表現する。ミュージカルでは、特に声のトーンも想像し研究します。人物を疑似体験し、別人格の人生を生きる。これ以上の醍醐味はないかもしれない・・・と考えています。

この世ならぬ者から王妃、復讐に突き進む女性まで多彩に演じてきた涼風の真骨頂は、やはり変幻自在の「声」。彼女にしか醸し出せない世界観がある

──では、涼風さんにとって「歌う」こととは?

「歌う」ことは私の人生そのものです。音符に声を乗せ、言葉、言霊を伝える。感情の昂(たかぶ)りや、歌の「詩」に込められた意味を深く、濃く、探求します。コンサートやミュージカル、レコーディングなど、そのときの自分が何を伝えたいのか、自分自身と向き合い、嘘なく、聴いていただく方に想いを届けることを大切にしています。

──やはり幼い頃から音楽に触れていたのですか?

そうですね、姉が奏でるグランドピアノの音と共に過ごした幼少時代からこんにちまで、音楽は私の人生と切っても切り離せないものになっています。

──退団後もミュージカルやコンサートで歌い続けられ、今年5年ぶりのニューアルバム『Fairy ~A・I~ 愛』をリリースされます。冒頭の新曲「地球の涙」は、宝塚の演出家・小池修一郎さんの作詞、SUGIZOさん作曲の豪華な書き下ろしとなっています。

小池修一郎先生とは、初舞台の頃から現在まで大変お世話になっています。40年の年月をご一緒させていただき、私の節目の40周年記念アルバムで作詞をお願いできないかと熱望し、オファーいたしました。

SUGIZOさんは以前、LUNA SEAのコンサートを観に行ったときにお会いし、そのロックの世界観に魅了されました。世界情勢へのメッセージや大自然に対する思いなど、共感できることが多々あり、作曲を依頼させていただきました。

──その新曲は導入部から驚きがあり、ドラマティックに盛り上がるメロディと壮大な歌詞の世界観に圧倒されました。小池さんが「地球への愛」をテーマに書かれたそうですが、レコーディングはいかがでしたか?

歌詞に込められた言霊を音符に乗せて、納得できる楽曲に至る過程でとても苦慮しました。(編曲の)三枝伸太郎さんをはじめスタッフの力をお借りし、さまざまな歌い方を試し、声のトーンも変えて何度もチャレンジし完成させた、渾身の1曲になっています。

涼風真世『Fairy ~A・I~ 愛』(フェアリーアイ)

2021年9月8日(水)発売
生産限定盤(CD+DVD+BOOK)9900円 VIZL-1933
通常盤(CD)3300円 VICL-65552

【オンラインイベント】
涼風真世 バースデーLIVE
~40thアニバーサリーアルバム『Fairy ~A・I~ 愛~』リリース記念イベント
日時:2021年9月11日(土)18:00~19:00(予定)
視聴方法:2021年9月8日(水)の12:00までに、ビクターオンラインストアで生産限定盤・通常盤いずれか1枚を予約・購入した人に案内。

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