松居大悟監督「友だちになりたいと、自分が思えるキャスティングに」

左から、藤原季節、若葉竜也、成田凌、高良健吾、浜野謙太、目次立樹。(C)2020「くれなずめ」製作委員会
友人の結婚式に集まった高校の帰宅部仲間たちが、過去に思いをめぐらせながらとある秘密と向き合っていく映画『くれなずめ』。当初は4月29日に公開されるはずだったが、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言発令を受けて公開延期に。
そして5月10日に急遽、5月12日の公開が決定。今回の松居大悟監督へのインタビューは、延期が発表された直後の4月27日におこなったものである。松居監督の言葉には、こういった状況だからこそ、作品への思い入れがより強まっていることを感じさせた。
取材・文/田辺ユウキ
「人とお金を使って耐えうる題材ではないと感じていた」
──昨日に公開延期が発表されましたが、そのとき松居監督はツイッターで自作の絵を添えて「くやしい!!!」とつぶやいていらっしゃいましたね。
僕は本来、こういう状況では冷静でいられるタイプなんです。映画は作品として必ず残っていくものだし、「また改めて」と気持ちを切り替えられるはずなんですけど、今回はちょっと無理でした。
──どの作品であっても思い入れはあるはず。ただ『くれなずめ』は特にその気持ちが強かったからですか?
自分の体験をもとにして、友だちに捧げるように作った映画だから思い入れもかなりあるんですけど、それ以上に、監督12作目で初めて「いけるかも」という感触があったんです。
取材時のインタビュアーさんたちの温度感や、映画サイトでの注目度の数字など、今までのどの作品よりも多かったですし。早く作品を届けたい気持ちがあったので、公開延期は本当に悔しくて。
──今まで以上に、作品を待ち望む人の多さを実感できていたわけですね。
そうですね。もともとは自分の劇団であるゴジゲンの舞台が原作で、とにかく内側に向けて作った話。大きく当たるように作っていない分、「これがうまくいけば、今後も自分らしく映画が作れる」という気持ちがあったんです。
先に公開された監督作『バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画を作ったら』は自分のなかで一番外に向いた作品だったし、真逆な2本を同時期に観てもらったらどういう反応になるのかも楽しみにしていました。
──当初『くれなずめ』の映画化はまったく考えていなかったそうですね。
映画としてたくさんの人とお金を使って耐えうる題材ではないと感じていました。映画化の話があったときも一度、お断りしたんです。
それでもプロデューサーから「たくさんの人に観てもらうべき」とアプローチされて、「じゃあ、これをよそ行きのものにせず映画にしよう。なるべく個人的感情のまま作ろう」って。だから今までとは作り方が違うんです。全然、外に向いていません。

──序盤のカラオケのシーンを象徴として、ある意味での内輪ノリにどんどん引き込まれていく。しかし一方で、物語の世界が少しずつ広がるギミックにもなっています。
そのあたりは演じてくれた6人が本当に素晴らしかったです。今回、「この人たちと友だちになりたい」と自分自身が思えるキャスティングをしました。この6人って根本的なことをあえて言わないんです。しゃべらずともそれを共有できる。
「(主人公の)吉尾ってそもそもどういう状況なのでしょうか?」とか、口に出すと大事なものが失われそうなことはまったくしゃべらない。本当の友だちって超えてはいけないラインを分かっているから、一緒にいて楽じゃないですか。6人にはそういう空気感がありました。とは言っても、実際に僕は彼らとは友だちにならないですけど。
──「友だちになりたい」という願望止まりですか。
本当に「友だちになろうよ」となると、それはちょっと違うよなって。作品とプライベートの線は超えたくないんです。たとえば恋愛映画を作っていて、現場で恋に落ちるのは良いけど、撮影が終わって告白とかしてたら「え、そこを超えるんだ」みたいな感覚。妄想ですけど。
『くれなずめ』
2021年5月12日(水)公開
監督:松居大悟
出演:成田 凌、若葉竜也、浜野謙太、藤原季節、目次立樹/高良健吾
配給:東京テアトル
(C)2020「くれなずめ」製作委員会
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