カコイミク、7年の空白を経て新境地へ

2018.11.13 21:00
(写真1枚)

「今はそんなに器用でなくてもいいかなと思うようになった」(カコイミク)

──ただ、逆にサウンド志向が強過ぎて歌の印象が薄い作品にはなっていなくて。

それはめっちゃ難しいところで、永遠のテーマですね。やっぱり、あくまでも自分の歌が中心にくるタイプの声なのかなと思うので、なんか雰囲気モノになり切れないというか(笑)。ちゃんとメロディがあって、歌詞がちゃんと耳に入ってきてというのが基本の軸としてあるので、サウンドにこだわり過ぎると、またちょっとボーカリストとしてブレてきて、目指しているところとは違ってきたりしてしまいますね。

──でも『sing for』という曲ではトラップっぽいビートが効いていたりと、プロデューサー色がやや強く出た部分もいいアクセントになっています。

この曲はバンドでもすでに演奏していて、ギターと歌だけで配信しているバージョンもあったので、それを軸に他の曲にはないテイストを入れたいということで、プロデューサーの遊びが入っている感じです。

──歌詞に関しては恋愛を題材に描いたものが多いですけど、こちらはカコイさんのシンガーソングライター的な個性が以前よりも強く現れているように感じましたが。

アルバム『RAFT』の頃は自分で恋愛や女性らしい主観的な歌詞を書くのはあまり得意ではなかったんですけど、『遠いのよ』という曲が最初に書けて以降は、自分のなかの女性観みたいなものをどういう風に出せるかなということを考えるようになって。それが掴めるようになってからは、他の曲も書いていけるようになりました。自分らしい女性っぽさというか。

カコイミク
カコイミク

──確かに、女性らしい感覚や視点を描いたタッチの歌詞が多いと思います。

今回の作品に関しては、性別をハッキリさせていたいなとは思っていて。以前はむしろそういう女性的な部分を出すのは苦手なところもあったんですけど、今回はなぜか出てきましたね。

──サウンドにしても歌詞にしても、カコイさんならではの絶妙な立ち位置を改めて探りながら作っていったアルバムという印象がありますが、作りながら改めて意識されたことなどはありましたか?

やっぱりこういう風にひとつにまとめることで、どうしたらちゃんと伝わるのかというか。別にメッセージとかそういう話ではなくて、どんなに違うタイプの曲が入っていても、ひとつの世界として伝えるにはどうすればいいかとか。歌詞で左右されてしまうところも大きいですし、まだまだ手探りでやっている部分が多い気がします。

──『RAFT』を作っていた頃とは、また違うところで模索しているというか。

そうですね、その頃よりもちょっと考えるようになりましたね。『RAFT』の頃はとにかくいろんなことをやりたかったし、たくさんのプロデューサーさんに関わってもらっていろんな歌い方もしてみたかったし。でも、今はそんなに器用でなくてもいいかなと思っていて、こういうことしか歌えないというところを探しながらやっている感じです。

──そんな『Asleep』を7年ぶりに完成させて、11月18日には京都「きんせ旅館」(京都市下京区)でワンマンライブがおこなわれます。

「きんせ旅館」でライブをやるのは今回が初めてなんですけど、京都の知り合いの人に「面白いところがあるからきっと合うと思う」ということでブッキングしてもらいました。ちょっと変わった場所なので普通にカコイミクのライブをやるだけじゃなく、『Asleep』をテーマに私はライブをして、写真家の方に入っていただいてワークショップを開いたり、いろんな『Asleep』が楽しめるライブが出来たらいいなと思っています。

カコイミク『Asleep』
2018年9月19日発売

『KAKOIMIKU”Asleep”Special Live』
日時:2018年11月18日(日)・18:30〜
会場:京都きんせ旅館(京都市下京区西新屋敷太夫町80)
料金:前売3000円(1ドリンク代要)
電話:075-351-4781(きんせ旅館)

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