男役から鮮烈な変貌、蘭寿とむの歌声

2015.11.26 08:20

蘭寿とむ

(写真2枚)

2014年5月に宝塚歌劇団を退団後、女優としての活動も波に乗る元花組トップスター・蘭寿とむが、ファーストアルバム『L’Ange(ランジュ)』を10月にリリース。作品の制作秘話などを改めて蘭寿に聞いた。

「タイトルの”L’Ange”は私の芸名の由来でもある”アンジュ(フランス語で天使)”からきています。その天使のイメージにのせて白の衣裳でジャケットも撮影し、翼にまつわるような曲などを意識して選曲しました」。セルフプロデュースによる全12曲。カバーの7曲だけでも平井堅、安室奈美恵、コブクロなど多彩な楽曲が並ぶ。「男役とは全然音域が違うのでボイストレーニングを続け、今まで出していなかったファルセットに近い声も出るようになりました。透明感のある感じで歌ったら、自分でもあまり聞いたことがない声になっていて嬉しかったです」。J-POPは宝塚時代あまり歌っていなかっただけに、新しい世界が広がったのを実感したという。「もっとたくさんの曲を聴いて自分の可能性を広げ、色んな曲を歌っていきたいです」。

また今作には音楽界のヒットメーカー、菊池一仁や上杉洋史と制作したオリジナル5曲も収録。自ら作詞したうちの一曲「会えない時間」はラブソングで、「2人の思いが重なって同じ道を歩いていくというストーリーがいいなと、状況を思い浮かべて作りました。妄想の世界ですが」と笑う。明るくノリのいい「Blooming」は、神戸や西宮の海を見ながら2日間で作詞したという。「宝塚時代から地元(西宮)の海などへ行くと詞が浮かびます。今回も関西に戻って強い日差しを受けた海を眺めていると、冒頭の”あの光の彼方まで―”という歌詞が出てきました。これは応援ソングです」と、幅広い彼女の世界観を表現している。

蘭寿とむ
蘭寿とむ

発売後にライブで歌うと、観客ひとりずつの表情から「心を動かして聴いて下さっているのが分かってとても嬉しいです」と話す蘭寿。「間奏ではつい『踊った方がいいかな』と思ったりしますが(笑)、自分の声とだけ向き合うのも楽しいです。来年は蘭寿とむとして20周年なのでコンサートなどできたらいいですね。夢は膨らみます」。清々しい真っ直ぐなハートがそのまま歌声に乗ったようなボーカリストとしての魅力は、今後もさらに花開いていくはず。

取材・文/小野寺亜紀

蘭寿とむファーストアルバム『L'Ange』

発売中
通常版(CD1枚)VICL-64431/3,000円(税抜)
生産限定盤(CD+DVD)VIZL-890/4,200円(税抜)
JVC ケンウッド・ビクターエンタテインメント

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