「あれが食べたくなる?」中村蒼の舞台

2011.4.7 10:00

──中村さんは役者デビューが演劇の舞台で、しかも寺山修司さんの映画『田園に死す』の舞台版という、なかなか特殊な作品だったそうですね。

当時はまだ15歳で、寺山修司さんがどんなにスゴい人かも全然知らずに出演しました。ストーリーも複雑で、急に雑伎団のようなダンサーが出てきたりして、内容を理解するのも大変。しかも初めての仕事だから、演技に対する姿勢とか、そういう意識もまだまだなくて、右も左もわからない状態でやったという感じでした。

──とはいえ、舞台でキャリアを始めて良かったと思う点はありますか?

度胸みたいなモノは付いたかもしれません。大勢の人の前で芝居をするという経験を最初にしたのは、後々のためにも良かったかもしれませんね。ただ正直その時は、まだ「舞台の楽しさ」というモノを見つけられなかった気がします。

──「舞台の楽しさ」とは何だと思いますか?

お客様の反応が直にわかるのもそうですし、本番だけじゃなくて稽古もすごく楽しいんです。1カ月みっちり稽古をするということが、すごく濃い時間になりますし。初めての舞台のときは、訳がわからないなりにも一生懸命というか、芝居だけに集中して挑めたという印象があるんですが、今回は経験を積んで、変に周りが見えるようになった分、余計なことを考えるかもしれないと、逆に不安なんですよ。とにかくシンプルに、あまり無駄なことはしないようにとは思ってますね。

──その「シンプル」というのは、映像で演技をされる際にも気を付けてることですか?

そうですね。普段からあまり「ここで観ている人に笑ってほしい」「泣いてほしい」とかは考えず、シンプルに演じるように心がけてます。でも舞台だと、直接目の前にお客さんがいるので、自分から観客を巻き込んでいかなきゃならないこともあるかもしれない。そこは映像とは明らかに違うところですし、大変そうだなと思っています。

──先日20歳になったばかりで、その初めての仕事がこの舞台ですよね? デビュー作も舞台で、さらにもうすぐ公開される主演映画『行け! 男子高校演劇部』も演劇の話と、ここまでものすごく舞台に縁のあるキャリアを積んできていますね。

『男子高校演劇部』はドタバタコメディで、舞台で芝居するシーンも出てきますよ。本当に演劇に関しては、縁みたいなモノを勝手に感じてますね。

──となると、舞台に立つ中村さんを見続けたいと思ったら、観客も盛り上げていかなきゃなりませんよと(笑)。

まさに皆さんの力をお借りしたい、というところです。でも大阪のお客さんは、学園祭のイベントなどに出演して思ったんですけど、すごく盛り上げてくれますよね。他の地域は一通り静かに聞いて、最後に盛り上がって終わるという感じだったけど、関西は常にポイントポイントで盛り上げてくれる。だから舞台でも笑いなどへの反応は強いのかなと思いますし、ぜひ強くあってほしいと願っています。

中村蒼(なかむら・あおい)
1991年生まれ、福岡県出身。2006年に、舞台『田園に死す』で俳優デビューを果たす。2010年は映画『BECK』『大奥』など話題作に立て続けに出演。今後の公開待機作に主演映画『キミとボク』(5月14日公開)『行け! 男子高校演劇部』(8月6日公開)などが控えている。写真集『ハタチ』(講談社)が発売中。『レプロ・ハピチャリ・プロジェクト』始動。
『レプロ・ハピチャリ・プロジェクト』

「カレーライフ」

出演:中村蒼、倉科カナ、井上正大、植原卓也、崎本大海、ほか
6月4日(土)・5日(日)  4日=13:00~/17:00~、5日=13:00~
森ノ宮ピロティホール
7,500円(全席指定) 
※ 未就学児童入場不可
※ 4日・17:00~の公演終了後にアフタートークあり
(参加者:中村蒼、倉科カナ、井上正大、植原卓也、崎本大海)
06-7732-8888(キョードーインフォメション/10:00~19:00)

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