『Meets』編集部の余談。

今週末、飲みたいワイン。第7回

2020.6.12 17:00

カテゴリ:お酒

家飲みの日々が続くなか、偶然立ち寄った天満橋のワインショップ[salvis wine & records]で、お薦めのヴァンナチュール(自然派ワイン)の複雑な味わいに開眼。カタカナや専門用語が苦手な人でも楽しめる! 週末に飲みたい、小さな作り手による物語のあるワインを紹介します。


第7回

究極の有機栽培農法、「ビオディナミ」を実践。

『MEINKLANG PROSA PINOT NOIR SPARKLING ROSE』

今回は、オーストリアの東部、ハンガリーの国境沿いにあるブルゲンラント州で造られるワインをご紹介します。

オーストリアのブドウ栽培地帯の緯度はフランスのブルゴーニュとほぼ同じですが、地理的な影響で寒暖差が激しいため、オーストリアのワインは香りの良さと引き締まった酸が特徴です。

今回のワインを造る「マインクラング」は、世界のオーガニック認証の中でも最も厳格と言われる「デメター認証」を受けているワイナリーのひとつ。

オーナーのヴェルナーさんは、ドイツの大学でワイン造りを学び、大学で出会ったアンジェラさんと結婚、ふたりでオーストリアにある実家に戻りました。

ブドウ畑に立つ、ヴェルナーとアンジェラ夫妻。

実家の所有する農園は約2,000haもあり、穀物や野菜、果物などを育てています。70ha程でブドウを栽培、協同組合などに販売していましたが、夫妻が戻ったことをきっかけに2001年から自分たちでワイン醸造を開始しました。

これまでもビオロジック(有機栽培)でしたが、デメター認証の農園で働いた経験のあるアンジェラさんの影響で、さらに基準の厳しい「ビオディナミ」農法に切り替えます。

農園内で飼われているアンガス牛たち。角などがビオディナミの調剤として使われます。

「ビオディナミ」は、オーストリアの哲学者で、日本では教育法などで有名なルドルフ・シュタイナーが提案した農法。農作業に月の満ち欠けカレンダーを取り入れ、化学肥料は使わずにプレパラシオンと呼ばれる調合剤を作って畑に散布します。その内容は、雌牛のふんを雌牛の角に詰めて、冬の間地中に寝かせたものなど数種類。「マインクラング」では、それらの材料を調達するために、なんと牛まで飼い始めたのです。そこまでするワイナリーは珍しいですね。

「ビオディナミでなければワインじゃない!」という強い信念のもと、ブルゲンラントの壮大な自然が育む健やかなブドウを、そのまま味わえるようなワインを生み出す「マインクラング」。彼らが造る微発泡のロゼを、ぜひ味わってみてください。

雌牛のふんを雌牛の角に詰めて土に埋め…って、魔術的!?

どんな味ですか?

開けてすぐはハツラツとした泡が楽しめます。時間の経過とともに落ち着き、本来のピノノワールのきれいな味、自然なフローラルの香りが出てきます。このワインは何より上品な酸がいい! すっきりとしたキレが出て、気持ちよく飲み続けることができるんです。合わせてほしい食材はマグロの刺し身。中トロなどの脂との相性は抜群です!

飲んでみました。

ブドウの旨みや味わいはしっかり感じられるものの、甘酸っぱさやフルーティ感は控えめ。あと口スッキリでご飯を邪魔せず、かつ微発泡の適度な泡が、ビール好きにも親しみやすい! また、封が王冠のワインは新鮮でした。コルク栓でワインがかび臭くなるリスクもなく、資源を大切にする意味からも、王冠やスクリューキャップは増えているそう。

第5回の微発泡ロゼよりも色が濃いけど、味は軽め。
牛肉に合わせたいワイン、という意味のラベルかと思いきや…。

今週のワイン

マインクラング プローザ ピノノワール スパークリング ロゼ

産地:オーストリア・ブルゲンラント

2,500円(税抜)


salvis wine & records
[天満橋]
大阪市北区天満3-3-18 順源ビル1F
TEL 06-6356-7072
12:00〜20:00 水曜休
Instagram(@salvis_wine

店主・野口一知さんがセレクトする小さな作り手のワインと、好きな音楽のレコードを扱う専門店。ワインはヨーロッパを中心に約200種を扱い、その約8割がナチュールワイン。知識ゼロでも、味の好みや飲む相手などを伝えれば、ぴったりのワインを教えてくれる。奥には隠し部屋的なバー空間があるのでぜひお尋ねを。全国発送可。

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MeetsRegional編集室 1989年創刊以来(今年で31年目突入!)、関西の街をフォーカスし続けるリージョナル・マガジン。編集部員をはじめ、誌面に携わるさまざまなスタッフが自分の足で探してきた店や人、モノやコトを、私感たっぷりにご紹介。街や酒場の“ゴキゲン”を言い訳に、どうにも飲める(飲み過ぎる)スタッフ多め。現在、「WE♥酒場」をキャッチフレーズに、酒場にまつわるエトセトラを12カ月連続で特集中。毎月1日発売。

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