よう知らんけど日記

第62回 やっぱりこたつ最強。

2014.1.27 18:09

12月☆日
年末、相当押し迫ったところで、突発的に、テレビ買いました。テレビネタをさんざん書いてますが、実はワンルームに住んでたときに買った小型のままやって、今の家は細かく仕切ってない間取りやから座る定位置とテレビの間があいてサイズが合わんくなってたんですな。

家電量販店のあのずらーっと並んだテレビ見てるとサイズ感が麻痺して家で見たらでかすぎ、ってことが起こりがち。どのくらいがええんやろ、と迷いながら見てたら40インチでも「6~8畳に最適」とか書いてある。えー、そんな大きいテレビ見てるんですか、世の人は。6畳に40インチて、テレビ部屋みたいになるやん。60インチとか70インチも売ってるもんなあ。世の中、いつのまにかそんなに大画面当たり前になってたんですか。一方で、電車でスマホでテレビ番組見てる人も見かけるし、子供の頃はテレビ画面ってそんなに大きさに差がなかったから、現代は映像の作り方もなかなか難しいんちゃうやろか。
結局40インチを買ったら、フツーに31日の朝に配達に来てくれて、配線も完璧にしてもらいました。どうもありがとうございました。
テレビが大きくなってよかったのは、景色がきれい。
『こころ旅』のこころの風景が、すばらしい! 広がりがある。海もきれいなあ。なにより感動したのは、画面に映る猫が! 大きい! 猫っぽいサイズ! 岩合さんの『ネコ歩き』が楽しすぎるー。テレビ、ええね。

12月☆日
というわけで、年越しは大画面で。今年こそ、『笑ってはいけない』シリーズをゆっくり見るでーと思ってたのですが、願いが叶いました。『笑ってはいけない』シリーズ、もう10年ぐらいやってる? 今回は、ウルトラQに出てくる怪獣M1号(はまちゃんにそっくりと言われてる)のロボットがめっちゃ高性能で、ダンスの切れもよくて、売ってくれたらええのにと思いました。

『ゆく年くる年』で年明けを確認してから、12時半ぐらいに近所の神社に行ったら、長蛇の列。行列は超絶苦手なんですが、せっかく来たので30分以上並んでみました。順番がまわってきてみると、おとそ付き、甘酒飲み放題でなかなかお得な初詣でした。わたしが子供の頃って夜中に近所で初詣ってたぶんそんなに行かへんくて、年々イベント感が強まってようさん並ぶようになってるような気がする。それに、東京とかニュータウンとか戦後に人が増えたとこは人口に比して神社足りひんのよね。新しくできへんもんね、神社。作ったらええと思うけどな。支社的な感じで。

1月☆日
明けました。全国で朝からこれは濃すぎるのではと心配になるこだま・ひびきやらカウス・ボタンやらの漫才を見てしみじみしながらも、テレビからはお正月感がどんどんなくなってるなあと思う。一日中ドラマ再放送してるもんね。そしてわたしは、特に出かける予定もなく、ひたすら仕事。長期の休みに仕事をするのがこの数年の流行、自分の中で。電話もメールもないし、東京は人少ないし、穏やかでええのよね。でも、年末年始働いてる人ってようさんいてるよね。うちの実家は美容院やから昔は大晦日は夜中まで仕事(着物着る人がようさんおったんやね)ってイメージやったし、電車は終夜運転やし、初詣関係は掻き入れ時やし、ホテルとか百貨店とか……。テレビも配送してもろたしね。ニュースで空港の出入国の映像見ると、わたしから見るとかえって、世間の人は休みなんやなーって遠いことに感じる。

1月☆日
テレビが大きくなったついでに、こたつを出してみました。2年ぶり。
わたしは足下が冷えるタイプなんで、やっぱりこたつ最強。脳は退化するけどね。

1月☆日
1年前、年末の閉店時のスーパーで値引きがあるのかと期待して行ってみたけど特になにもなかったのですが、年明け初売りに行ってみたら、年末に狙ってたものが安くなってた。刺身とか伊達巻きとか。そうか~、年末より年始なんや! って年末閉まりかけのスーパーで値下げを期待してたむろってたおばちゃんたち(わたし含む)に教えたい。割引券付き福袋も売ってるし。というわけでカニ鍋福袋を購入して食べました。人生の楽しみ、鍋の締めは、カニの場合はやっぱり雑炊ですね。

1月☆日
どこにも出かけないのでネタはテレビしかないわけですが、まとめて再放送してたNHK総合『ドキュメント72時間』、これおすすめです。ファミレスとかフェリーとかゲーセンとか墓地の定点観測×3日。ほんまいろんな人がいてますわ。その場でほんのちょっと話聞くだけでも、人生やら人間関係が盛りだくさん過ぎる。「ファミレス」の回なんかおもろいに決まってるねんけど、その予想をはるかに超えて、ある町全体の縮図が見えるというか。離婚率が8割ぐらいかと思うほど高かったし、家に帰れないおじさんもおったし。「ワケあり」じゃない人なんかおらんよな、としみじみ思う。

1月☆日
年明けからほんまに家の近所だけ、スーパーと郵便局ぐらいしか行ってなくて、それにしても今年はぜんぜん年末年始感ないなあ、と思ってたのですが、ものすごーく久しぶりにちょっと離れたところまで散歩に行って大きい商店街を歩いたら、お正月っぽい音楽が流れてる。琴とか笛とかのん。あー! これやこれや! お正月感ある~!! やっとわたしにも新春がきた~! 大阪でも、東京に来てからもずーっと商店街のすぐそばで暮らしてたから、刷り込み状態になってんねんやろうなあ。普段は気にとめへんBGMやねんけど、耳って無意識のうちに吸収してるんやね。

1月☆日
AXNでゴールデン・グローブ賞の発表&授賞式の中継。アカデミー賞はホールでコンサートみたいな座席の並びやけど、ゴールデン・グローブ賞は披露宴的丸テーブル方式なんで、俳優や監督たちのちょっとだけ素なとこがかいま見れておもしろい。確か2年ぐらい前にもたまたま見たことがあってんけど、ブラピの隣に座ってるアンジェリーナ・ジョリーが何回もリップグロス塗ってて、やっぱりあの唇は努力して維持してはんねんな、と感心したものです。
現地レポーターの人が、トイレでレオナルド・ディカプリオとマーティン・スコセッシが話し込んでるのを周りのみんながめっちゃ見てた、と報告してたのがおもしろかった。そら見るわな。ガン見いうやつやな。それにしてもレオナルド・ディカプリオがオーソン・ウェルズそっくり! 一時はジャック・ニコルソン化か、と思ったけど、通り越してウェルズ化。火星人来襲のラジオ~『市民ケーン』あたりの裏側のストーリーをスコセッシで撮ってほしい。
ドラマ部門の作品賞を受賞した『それでも夜は明ける』が見たい。

1月☆日
この『よう知らんけど日記』、去年めでたく2年分を単行本にできて新しく読んでくれる人も増えてうれしい限りなのですが、こうして1回分ずつUPしてるのをときどき読むのと違って、本でまとめて読んでいただくと「日記」感が強くなるので、「仕事してない??」なご質問をいただいたりしましてですね、もうちょっと仕事の話書いたほうがええのかしらと考え中。仕事ってネタ的には特におもしろいこともないのでいちいち書いてもなーと思ってたんですが、作家ってヒマ? という印象になっては他の作家さんにも申し訳ないし(そんなことないか)。かといってやっぱり普通の日記(どこに行った、なにをした)は書けない性格なので、今年はそのあたりが課題です。
ついでに今年の抱負は自力で旅行に行くことです。仕事と冠婚葬祭以外の旅行は、10年以上行ってないので、近場の温泉でもいいので自発的にでかけたいです。

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柴崎友香(しばさき・ともか) 1973年大阪生まれ。映画化された『きょうのできごと』で作家デビュー。2007年に『その街の今は』で第57回芸術選推奨科学大臣新人賞、第23回織田作之助賞大賞、第24回咲くやこの花賞受賞。2010年に『寝ても覚めても』で第32回野間文芸新人賞受賞。2014年に『春の庭』で第151回芥川龍之介賞受賞。著書に『青空感傷ツアー』『フルタイムライフ』『また会う日まで』『星のしるし』『ドリーマーズ』『よそ見津々』『ビリジアン』『虹色と幸運』『わたしがいなかった街で』等多数。
公式サイト:http://shiba-to.com/

権田直博(ごんだ・なおひろ) 1981年大阪生まれ。画家。さまざまな手法を使って作品を作り、すべてを絵ととらえている。風呂からパブリックスペースまで幅広く活動中。
キレイ:https://naohirogonda.tumblr.com/
風呂ンティア:https://frontier-spiritus.blogspot.jp/

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権田直博(ごんだ・なおひろ) 1981年大阪生まれ。画家。さまざまな手法を使って作品を作り、すべてを絵ととらえている。風呂からパブリックスペースまで幅広く活動中。
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