実は松永久秀がMVPだった?ドラマではカットされた“金ヶ崎の戦い”の裏側【豊臣兄弟】

2時間前

『豊臣兄弟!』第14回より。足を怪我した藤吉郎(池松壮亮)を担ぐ小一郎(仲野太賀)ら(C)NHK

(写真9枚)

仲野太賀主演で、豊臣秀吉の弟・豊臣秀長(小一郎)が、兄とともに天下一統を果たすまでを描いていく大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK)。

4月12日放送の第14回「絶体絶命!」では、織田信長が浅井長政の謀反によって京まで引き返す「金ヶ崎の戦い」が描かれた。この戦について、ドラマには出てこなかった裏話と、足利義昭に思わぬ影響を与えた点を記していこう。


■ 長政の謀反を信じられない信長に…第14回あらすじ

柴田勝家(山口馬木也)から浅井長政(中島歩)の謀反の情報が入っても、織田信長(小栗旬)はそれを信じようとしなかった。

しかし、長政に嫁いだ妹・市(宮﨑あおい)から送られた、両端が縛られた小豆袋を見て、竹中半兵衛(菅田将暉)は織田軍が「袋のネズミ」になることを察し、小一郎は「二度と白紙の文は出さない」と言っていた市が、信長に向けて白紙の文を送ったのは、市が浅井の裏切りで苦しんでいる証だと信長に訴えた。

『豊臣兄弟!』第14回より。 市から送られた小豆を手にする織田信長(小栗旬)(C)NHK
『豊臣兄弟!』第14回より。市から送られた小豆の袋を手にする織田信長(小栗旬)(C)NHK

藤吉郎(豊臣秀吉/池松壮亮)がわざと自分の足を刺して、殿(しんがり)を申し出たことで信長は我に返り、京に退却することを決断。

信長の窮地を知った足利義昭(尾上右近)は、浅井・朝倉に文を送ろうとするが、そこに信長が帰還する。信長は修羅のような表情で、両家の討伐を義昭に誓った。義昭は、ここまで自分を支えてきた明智光秀(要潤)に対して、信長の配下となって情報を自分に知らせるように命じるのだった・・・。

『豊臣兄弟!』第14回より。明智光秀(要潤)に、「そなたが信長のものになれ」と告げる足利義昭(尾上右近)(C)NHK
『豊臣兄弟!』第14回より。明智光秀(要潤)に、「そなたが信長のものになれ」と告げる足利義昭(尾上右近)(C)NHK

■ ドラマではカットされた重要なエピソードが…

関ヶ原の戦いの「島津の退き口」と並んで、戦国最大の退却戦と称されている「金ヶ崎の戦い(金ヶ崎の退き口)」。

実際の信長も、浅井長政の裏切りを聞いたときに「なんかの間違いじゃないの?」となかなか信じなかったということが、しっかりと記録にも残っているので、信長にとっては本当に寝耳に水の出来事だったようだ。しかも『豊臣兄弟!』では、長政に実の弟の面影を重ねて、より激重な感情を抱かせるという、なかなか鬼畜(褒)な設定までプラスしてくれた。

『豊臣兄弟!』第6回より。(C)NHK
『豊臣兄弟!』第6回より。弟・信勝(写真左、中沢元紀)の亡骸を前に慟哭する織田信長(写真右、小栗旬)(C)NHK

この金ヶ崎の戦い、秀吉が最後まで現地に踏みとどまる「殿」を務めたのは確定しているけど、ほかに誰がこの危険なポジションにいたのかは意見が分かれている。

実際に主力となったのは、摂津の城持ち武将・池田勝正だったけど、そのあと特に大きな実績がなかったためか、ほとんど名前が上がることはないし、今回も一言も触れられなかった(笑)。大阪府池田市とは縁の深い人なので、いつか日の目を見ることがあればとも思う。

『豊臣兄弟!』第14回より。小一郎(仲野太賀)らの前に浅井軍が現れる(C)NHK
『豊臣兄弟!』第14回より。殿を務めた藤吉郎(池松壮亮)や小一郎(仲野太賀)ら(C)NHK

そして、公式ガイド本のあらすじには記載があったのに、ドラマではカットされた重要なエピソードがある。

信長が無事に福井→滋賀湖西エリアを通過して京都に戻れたのは、この地域を牛耳っていた武将・朽木元綱が味方に付いたのが大きかったのだけど、元綱を説得したのが誰であろう、信長とのパイプを太くしたいと願う松永久秀(竹中直人)だった!

『豊臣兄弟!』より。(C)NHK
『豊臣兄弟!』より。大和の戦国武将・松永久秀(竹中直人)(C)NHK

秀長や秀吉が帰京した際、信長の使いのような扱いになっていたのは、間違いなくこの功績があったからだろう。その辺りの顛末が見られなかったのは、ちょっと残念だ。

また、この戦で秀吉勢が「負けたけど勝った」ことができたのは、竹中半兵衛があらかじめ撤退戦を想定して準備をしていたことだった。

『豊臣兄弟!』第14回より。作戦を話す竹中半兵衛(菅田将暉)(C)NHK
『豊臣兄弟!』第14回より。作戦を話す竹中半兵衛(菅田将暉)(C)NHK

しかし、実際に半兵衛が、秀吉の配下として正式に記録されるのは、浅井家との対立が本格化してから。なので「金ヶ崎の戦い」に半兵衛が参加していたかどうかはグレーゾーンなわけだけど、彼の存在がこの撤退戦を大いに盛り上げてくれたのは間違いないので、ここはもう「細けえことはいいんだよ!」の精神で受け止めることにしよう。

■ 義昭が独り立ち…信長の重臣になる光秀、どうなる?

「金ヶ崎の戦い」で信長との関係が変化したのは、長政だけではない。足利義昭との関係も、さらにヒビが大きくなることになった。

『豊臣兄弟!』第14回より。(C)NHK
『豊臣兄弟!』第14回より。文書を手に持つ15代将軍・足利義昭(尾上右近)(C)NHK

最後の方で義昭が浅井・朝倉に当てて書状を書いていたのは、手紙の文面がはっきりしないから推測になるけれど、多分「信長がいなくなったら、代わりに後ろ盾になってくれませんか?」みたいな内容だったのでは。というのも、義昭の兄・義輝を殺して京都を支配した三好家の脅威はまだ完全には消えてなかったので、義昭はすぐに変わりの庇護者を探し出す必要があったのだ。

ということを考えると、この手のひら返しは決して理不尽なものではない。しかし、これまでずっと「信長なしで自分はやっていけない」と思い込んでいた義昭が、信長がいなくなったときのことを自力で考えて、自力で行動できるようになったというのは大きな成長だろう。

はからずもこれが義昭の独り立ちの機会となったわけで、ここからほどなくして「信長包囲網」を作り上げる準備は整ったともいえる。

『豊臣兄弟!』第14回より。明智光秀(要潤)(C)NHK
『豊臣兄弟!』第14回より。明智光秀(要潤)(C)NHK

そして『豊臣兄弟!』の明智光秀、義昭への忠誠心が強すぎて、ここから信長の重臣に転職するという道が全然想像できないのだけど? と思っていたら、義昭たっての願いで、織田家のスパイになるという話に。

この融通がまったく利かなさそうな光秀であれば、信長に疑われないためにめちゃくちゃ職務を忠実にこなし、信仰心のなさも手伝って、比叡山の焼き討ちとかも「はいわかりました!」って感じで、容赦なくやっちゃうんだろうなあ・・・と察せられた。

そして前回、義弟の裏切りの反動から「第六天魔王」化するのではないかと危ぶんでいた信長だが、義昭に負け戦の詫びに行ったときの表情が、まさに「魔道に堕ちた」という鬼気迫るものだったことに圧倒された。

小栗旬、故・蜷川幸雄演出の古典作品で、かなりキツイ役を幾度も演じた経験があるとは知っていても、「人間ってこんな表情ができるんだ・・・」と恐怖すら感じた。これはもう、大河史のなかで畏敬を持って、長く語りつがれるような信長になるのは間違いなさそうだ。

大河ドラマ『豊臣兄弟!』はNHK総合で毎週日曜・20時から、NHKBSは18時から、BSP4Kでは12時15分からスタート。4月19日放送の第15回「姉川大合戦」では、小一郎と藤吉郎が、敵対関係となった市をなんとか逃がそうと奮闘するところと、信長と長政が直接対決を果たす大戦「姉川の戦い」が描かれる。

文/吉永美和子


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