「ヘブンさん!」2人の歩みを映した『ばけばけ』最終週の予告編、制作秘話

『ばけばけ』第118回より。寂れた寺まで散歩に出かけたトキ(髙石あかり)とヘブン(トミー・バストウ)(C)NHK
連続テレビ小説『ばけばけ』(NHK総合ほか)第24週「カイダン、カク、シマス。」が放送され、来週はいよいよ最終週となる。
「熊本編」以降、ずっと慢性的なスランプに陥っていたヘブン(トミー・バストウ)。錦織(吉沢亮)が最期にヘブンをたきつけて逝ってから10年の歳月が流れ、住まいは東京に移ったが、いまだにベストセラーは出せないままでいる。
教授として勤めていた帝大を解雇され、次の勤め先も見つからない。アメリカの新聞社でおこなっていたコラムの連載は打ち切られ、相変わらず心から書きたいと思う題材が見つからない。
ヘブンは自らの肉体的・精神的、そして作家としての感性の「老い」を痛感し、自分を「終わり人間」と自嘲するまでになっていた。

そんななか、息子の勘太(ウェンドランド浅田ジョージ)と勲(柊エタニエル)、そしてトキ(髙石あかり)の言葉から、新たな執筆テーマのヒントを得る。ヘブンは、これまでの学術的な著書とは異なり、誰にでも読める、怪談というテーマにたどり着いた。

トキはヘブンのために新たな怪談を集めようと、街中で聞き込みを敢行。そして、ふたりの心が近づきはじめたあの頃のように、再び蝋燭を前に語りはじめる。錦織に代わって、トキがヘブンのリテラリーアシスタントとなった瞬間だった。

■ 不穏な第24週ラストカットと、トキとヘブンの軌跡が見える最終週予告
かくしてヘブンが書き上げた『怪談』。しかし、日本から届いた原稿を一読したイライザ(シャーロット・ケイト・フォックス)は失望の表情を浮かべる。イライザが「なぜ最後にこんな幼稚な・・」と吐き捨て、ため息をつくカットが今週のラストだった。
そしてその後に流れた最終週の予告。力なく妻の肩にもたれかかるヘブンの姿に、ただひたすらトキがヘブンを呼ぶ声が重なる。ヘブンと出会ってから今に至るまでの「あのシーン、このシーン」のトキの声だ。
この最終週予告編の裏側について、制作統括の橋爪國臣さんは「24週も含めて、最終盤ではトキとヘブン、ふたりの純粋な愛を描きたいと思いました」と語る。続けてこう話す。
「最終週でトキとヘブンの別れがやってくることは、これまでの描写からなんとなく見えるところだと思います。その“別れ”に向かう最終週の予告で、『ヘブンさん』という呼びかけがたたみかけられる。
トキの声そのものが、ヘブンへの思いの集大成になっているのではないかと。『ヘブン先生』『ヘブンさん』『パパさん』という呼び名の変わり方からも、これまでのふたりの軌跡が見えてくると考えて、最終週の演出を担当した村橋(直樹/チーフディレクター)と話し合い、この予告編を作りました」。

■「20秒間、錦織の横顔だけ」の予告に次いで「またやられたよ!」
『ばけばけ』の斬新な予告といえば、ヘブンと錦織の別れを描いた第19週の予告が思い出される。書斎の窓から外を見つめ、ヘブンに思いを馳せるシーンでの、錦織の横顔のみが映し出された20秒間。
朝ドラの予告編は、その週の担当ディレクターが制作するという。第19週もチーフディレクターの村橋直樹さんによる演出で、「錦織の横顔だけの予告編」も村橋さんによるものだった。
橋爪さんは、「やはり、重要な転換点のある週はチーフ演出がおこなうので、必然的にこうなるというか。村橋は予告編にもこだわりがあるので」と話す。
今週放送された第24週「カイダン、カク、シマス。」の演出を担当したのは2番手のディレクター、泉並敬眞さん(演出作品はほかに『ブギウギ』『カムカムエヴリバディ』など)。ちなみに、「衝撃の第19週予告編」が金曜回の終わりに流れた第18週も、泉並さんの演出週だった。
橋爪さんによれば、「18週に次いで『またやられたよ!』と、泉並は言っていました(笑)」とのこと。
次週、最終週のタイトルは「ウラメシ、ケド、スバラシ。」。このドラマのキャッチコピー「この世はうらめしい、けど、すばらしい。」を「ヘルンさん言葉」(ラフカディオ・ハーンと小泉セツの共通言語)風に変換した週タイトルだ。物語の終わりでトキとヘブンは、どんな「スバラシ」を見つけるのだろうか。
取材・文/佐野華英
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