粗品の採点は「100点までの距離」?『ytv漫才新人賞』2度目審査も話題に

『第15回ytv漫才新人賞決定戦』今年も審査員を務めた粗品(c)ytv
結成6年目・ぐろう(家村涼太、高松巧)が優勝した、『第15回ytv漫才新人賞決定戦』(3月1日開催/読売テレビ)。2025年大会では霜降り明星の粗品が賞レースで初審査員を務め、80点台や70点台の採点を連発した上で厳しくも熱い審査員票を口にし、大きな話題を集めた。今回ももちろん、注目の的となったのは「審査員・粗品」だ。(取材・文/田辺ユウキ)
ちなみに粗品は2025年12月開催『女芸人No.1決定戦 THE W 2025』でも審査員を担当。しかし、投票審査だったため採点はなかった。つまり点数評価を行ったのは、今回の『ytv漫才新人賞決定戦』が2度目となった。
ファーストラウンドでの粗品による出場全7組への採点は、タチマチ(安達周平、胡内佑介)に80点、生姜猫(川﨑、ケージュ、カンサイ)に78点、ぎょうぶ(為国、澤畑健二)に83点、ぐろうに84点、マーメイド(田村境祐、テクニック。)に84点、シカノシンプ(北川、ゆのき)に81点、天才ピアニスト(竹内知咲、ますみ)に82点となった。

粗品による最高点はぐろうとマーメイドの84点。以降は4組に1点ずつ差をつけ、2点空けて生姜猫となった。点差を少しずつつけて階段状に並べる、『M-1』での“松本人志方式”のようにも見えるが、2025年大会では点差が大きく散っていたことを踏まえると、意図的ではないと推察する。
そんななか筆者が今回感じたのは、粗品は「100点までの距離」を考えながら採点しているのではないかという点。

採点形式の賞レースでは最高得点は100点だ。つまりそれは「完璧な漫才」を意味する。一方で多くの賞レースでは、審査員は「90点」を基準点と考え、出場者に点数を割り振っていく。「100点」という最高得点と「90点」という基準点を意識しながら、その大会の出場者の出来不出来を比較し、点数をつけて順位付けするのだ。つまり「相対評価」が多い。
しかし、粗品にはそういう基準点というものは存在しないように見える。100点の漫才、90点台の漫才、80点台の漫才…という風に自分のなかでゾーンがあり、大会出場者を比較して点数を付ける「相対評価」ではなく、自分の中の漫才論を軸にした「絶対評価」で点数を付けているのではないか。
それを強く感じたのが、優勝したぐろうへの審査員評だ。

粗品はぐろうに84点を付けた、その上で「高松くんのツッコミ、あとは展開の提供以外のなにか(高松の)役割があれば、いよいよもっと仕上がっていくんじゃないかなと思いました」と評した。それは、ぐろうが「100点=完璧な漫才」に近づくために必要なことをアドバイスする前向きなコメントであり、また「84点」という点数自体が、「100点」までの距離を表しているように見えた。
優勝者会見で筆者は、ぐろうにこんな質問をした。「粗品さんの評は、二人の伸び代を期待するもののように感じましたが、どのように捉えましたか?」。
高松は「そこを改善したら全国の賞レースでも出ていけるんやろうなって。また相方とネタについていっぱいしゃべって、向き合う日々が続くんやろうなって」と粗品の助言を受けて、さらにブラッシュアップに努めたいと話した。
一方で家村も、「全部真に受けたらそれは違うんで。でもめっちゃ真剣に聞かせてもらいました。まずくても飲み込んで、理解して、違うなら違う、そうやなって思ったら変えるって感じで。めちゃめちゃ勉強になっています。去年の『ytv』後に粗品さんがYouTubeで(大会の)感想を出していましたが、それも2ヶ月に1回くらい忘れないように定期的に聞いたりして」と参考にし、特に前回指摘された「二人の会話の割合」については「確かに」と納得し、高松が話す場面を増やしたのだと明かす。それが優勝に結びついた要因の一つになったと言える。

粗品は厳しい評価をする審査員という風に思われているが、ぐろうへの「84点」には、今後の二人の活躍を楽しみに思う気持ちにあふれた「84点」であると筆者は捉えた。
一方で、粗品は2025年、2026年の『ytv』で一度も90点台を付けていない。粗品が考える90点台の漫才とはどういうものなのだろうか。逆に、60点台以下をつける可能性もあり得る。そうした瞬間を目撃するためにも、もっと数多くの賞レースで粗品の点数評価を見てみたい。
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