「劇団☆新感線」最新作が大阪で開幕、45周年目は…突き抜けた陽気な世界へ!

『爆烈忠臣蔵〜桜吹雪THUNDERSTRUCK』(作:中島かずき 演出:いのうえひでのり)松本公演より【撮影:田中亜紀】
今年で旗揚げ45周年を迎えた「劇団☆新感線」の「チャンピオンまつり」と銘打ったいのうえ歌舞伎新作『爆烈忠臣蔵〜桜吹雪THUNDERSTRUCK』。9月の松本公演を経て、10月9日から「フェスティバルホール」(大阪市北区)で大阪公演が開幕した。劇団のルーツとなる関西の地で、改めて演劇への大きな愛を叫ぶような、痛快な時代劇だ。
■ 明るさを引き出す小池栄子の存在「私、お芝居が好き!」

古田新太、橋本じゅんなどの劇団員が久々に全員集合したのに加えて、小池栄子、早乙女太一、向井理が祭りを盛り上げる今回の公演。倹約や風紀取締の嵐が巻き起こり、芸事がいちじるしく迫害を受けた江戸時代の「天保の改革」の時代を舞台に、芝居の上演に命をかけた人々の活躍を、歌や踊りたっぷりに描き出す。
山奥で父・荒村荒蔵(橋本じゅん)に、俳優の技術を叩き込まれたお破(小池)。江戸に行って歌舞伎俳優になることを目指すが、歌舞伎は当然女人禁制。しかし無宿人たちを取り仕切る弾兵衛(古田)が座長を務め、女性たちも参加可能な「闇歌舞伎」の一座に入ることができた。狂言作者・真狩天外(向井)の助けもあって一躍人気者になるお破だったが、江戸からすべての娯楽をなくそうとする若年寄・藤川采女(向井2役)の魔の手が迫っていた…。

ここ最近は少しダークな物語が続いた新感線だったけど、今回はまさに晴天の日の桜吹雪のような、スコーン!と突き抜けた陽気な世界だ。その明るさを引き出すのが、物語の中心に立つ小池の存在。どんなに無理な状況になっても「私、お芝居が好き!」という情熱ですべてを押し通し、周囲の人々の消えかけた意欲を再び燃え上がらせていく。

新感線では狂犬のような役割が多かった早乙女も、妖艶な女方姿でクラクラさせたかと思うと、ハイスピードな立ち回りもしっかり披露。さらに向井もカメレオン俳優らしく、ひょうひょうとした自由人の天外と、冷酷で堅物な采女という対照的な役を見事に演じ分ける。そしてこの2人が、なぜ同じ顔でなければいけなかったのか?は、クライマックスの大きな仕掛けとなっていた。

■ 「チャンピオンまつり」土台を作る…新感線のベテランたち
しかしゲストたちが、のびのびと本領を発揮できたのも、やはり新感線のベテランたちが土台をガッチリと作っていたから。やりたい放題に見せかけて、実は物語の手綱をしっかり握る古田に、あでやかな歌と踊り+愛嬌たっぷりの演技で舞台を華やかにする高田聖子&羽野晶紀のコンビ。お破の存在を煙たがる座元役の粟根まことも、物語にピリッとした緊張感を与える。

さらに元劇団員・橋本さとしも、あの「遠山の金さん」として歌って踊って大暴れしつつ、幕府と俳優たちの調整役としてコミカルに立ち回る。そしてもう一人の「橋本」である橋本じゅんは、なんと舞台開幕そうそう、松本公演で足を負傷したと異例の宣言。しかし車椅子を生かした前代未聞の立ち回りを見せるなど、リアルな役者根性にしばしば喝采が起こっていた。
とはいえこの橋本の姿、奇しくも「なぜ人は芝居をするのか」「演じるとはなんなのか」を自問自答していく今回の作品の、体を張った回答のようにも思える。そして後半で、あらゆる手段を使って『忠臣蔵』上演を実現しようとするお破たちは、どんなトラブルがあっても明るくたくましく芝居をつづけてきた新感線の姿が重なった。

どんな世界になっても、自分の「好き」を一緒に押し通していこうぜ…という新感線メンバーたちの熱い気持ちを、笑いとともに受け取ったような気持ちとなる。まさに「チャンピオンまつり」という、ファン感謝祭にふさわしい舞台だった。ぜひともこのアニバーサリーを、同じ空間で経験しておきたい。
大阪公演は10月23日まで。当日引換券&当日券(S席1万6800円、A席1万2800円)は全公演で発売。大阪公演のあとは、東京でも公演あり。また12月4日には、全国の映画館でライブビューイングが開催される。
取材・文/吉永美和子
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