迫力満点!京都で「山陽新幹線50年展」、リアルな速度を体感
西日本エリアの主要都市を結ぶ大動脈として、旅行やビジネスで多くの人々に長年親しまれているJR西日本の山陽新幹線。2025年には、山陽新幹線(新大阪―博多間全通)開業50年のメモリアルイヤーを迎えることを記念し、「京都鉄道博物館」(京都市下京区)では企画展が開催中だ。
■ 鉄道ファンが真っ先に駆け寄った!まるで運転士の気分
同展では、3つのコーナーを設け、開業に至るまでの歴史や車両の紹介だけでなく、本展のために撮りおろした3本の映像、2000年(平成12年)で営業を終了するまで活躍した懐かしの100系新幹線の食堂車や車内の花形であるパーサーの知られざる世界を紹介するなど、さまざまな角度から山陽新幹線の魅力に触れることができる。
なかでも注目は、開幕直後に子ども達や鉄道ファンが真っ先に駆け寄った、運転士の目線で新大阪―博多間の実際の車窓風景を3面スクリーンで楽しめる「イマーシブムービー」(約20分)。レバー音や車内放送などの臨場感あふれる音は、実際の撮影時のものを使用し、実際の運転士同様に座って体験するので、トンネルを抜けるシーンや三原駅で追い越しされるシーンは迫力満点。気分は完全に運転士になりきって没入体験できる。
この映像制作にあたった谷口正博さん(愛知東邦大学准教授)は、「速度感は一切編集していないので、実際の速度です。このような新幹線のスピード感をリアルに感じるコンテンツはなかなかありません」と力を込める。
撮影では、カメラを線路内に5分以内に設置する必要があり、大変苦労したそう。同館の新幹線500系シュミレーターで何度も模擬訓練し、まるでF1のタイヤ交換並みのスピードで設置したというほど、貴重な映像だ。
さらに、同館の岡本健一郎学芸員は、「映像では『博多駅』を通過してJR博多南線で『博多総合車両所』まで行くので最後まで必見です」と語る。実は、博多駅から山陽新幹線をそのまま延長するように伸びているJR博多南線は、走行車両が新幹線にもかかわらず在来線あつかい。博多総合車両所への引込線であり、鉄道ファンには良く知られているユニークな路線だ。実際の運転士目線での博多総合車両所への乗り入れは、ファンには堪らない。
ほかにも、山陽新幹線のイメージといえば、「トンネルが多い!」ではないだろうか。実に142カ所のトンネルがあり、なかでも「新関門トンネル(新下関~小倉間)」、「六甲トンネル(新大阪~新神戸間)」、「安芸トンネル(東広島~広島間)は、「三大難工事」で知られている。
同展では、各トンネルが貫通した際、最後に掘削した岩石等の石片である「貫通石」も並ぶので必見だ。トンネルは、本州側と九州側の双方向から掘り進め、貫通すると双方の担当者が握手をするトンネル導坑貫通式がおこなわれるので、その写真も一緒に並ぶ。
■ 山陽新幹線といえば…「ハローキティ」!
山陽新幹線の車両は、夢の超特急と呼ばれた0系、初の開発車両100N系「グランドひかり」、そして「のぞみ」型車両の300系、初の時速300キロ運転が可能となった500系と高速化が進んでいき、現在、さらなる高速性と快適性を追求したN700系が運行している。車両の変遷の歴史も鉄道ファンに堪らない。
鉄道ファンでなくとも、「一度は乗ってみたい」と思わせるのが、2018年から運行しているサンリオとコラボしたラッピング車両「ハローキティ新幹線」。西日本の活性化を目指し、地域を「つなぐ」「結ぶ」という思いが込められたリボンをモチーフにデザインされたピンクの車両で、1号車ではグッズ販売もある。
山陽新幹線だけでなく、ハローキティも50周年を迎えたので、ダブル50周年記念の限定グッズの販売も。「ハローキティ新幹線」は、新大阪―博多間を1日1往復運行しており、通常料金で乗車できるので、乗ることができたらラッキーだ。
同展の開催期間中、毎日先着100名に「ハローキティ新幹線」車内で配布されているオリジナル時刻表のプレゼントもある。ほかにも、11月3日に『500系新幹線電車の開発秘話』、12月8日に『「国鉄時代(末期)の運転士」18歳の少年が、100系新幹線電車の運転士になるまで』と、2つ講演会が開催予定。
岡本学芸員は、「山陽新幹線は、トンネルを抜けると山や海、新しい街が広がり、東海道新幹線より速く、特色も違います。さまざまな新しい取り組みがおこなわれたのも山陽新幹線なので、50年のあゆみの深さや車内での楽しみなど幅広い視点で深く知っていただけると思います」と呼びかけた。
山陽新幹線全線開業50周年記念企画展『山陽新幹線50年展』は、「京都鉄道博物館」本館2階 企画展示室で12月5日まで。入館料は一般1500円ほか、詳しくは公式サイトにて。
取材・文・写真/いずみゆか
山陽新幹線全線開業 50周年記念企画展『山陽新幹線50年展』
期間:2024年10月5日(土)~2024年12月15日(日)
時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:毎週水曜日(祝日は開館)
料金:一般1500円、学生・高校生1300円、中学生・小学生500円、幼児(3歳以上)200円
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