● 「羨望は、ネガティブに言うと嫉妬」

──ずっとウイカさんはホラー映画に「お化け役」として出たかったそうですね。ホラー映画での「お化け役」の作り方って、普通の人間を演じるのとはまた違った難しさがありそうですが、役づくりで意識したポイントは？

そうですね、メンタル的な部分とフィジカル的な部分でだいぶ違っていて、フィジカルな部分は監督とディスカッションを重ねました。ゾンビとか幽霊とかフワ〜っと浮遊するような幽霊ではない、土から蘇って襲ってくる、足で立って物を持てるという怨霊なので、「ゾンビっぽくならない」というのは意識しました。

内面的なことで言うと、シンプルな殺意とか呪いというよりかは、絶対的に「おまえのこと絶対許さんぞ」という嫉妬や恨み、憎悪みたいなものがあの形を作ったと思うんです。「理性を失った恨み」みたいなものですね。

──なるほど。内面から出てくる念、というか。

蘇るほどの強い念を、どこからか強く発しておかなければならなかったので、個人的に意識したのは目でしたね。今回、いろいろ目の部分のポスターやグッズとかも作っていただいたりもしました（笑）。本来人間が持っているであろう嫉妬や羨ましがる気持ちを煮詰めて復活させたのが、美雪！みたいなところはありますね。

──本作ではその「女の執念」が物語のキーであり、一番の恐怖要素だったりします。

わかりやすい言葉で言うと、すごくメンヘラ気質なお化けだと思うんですけど、全然リアルで存在するし、世のなかの怖い事件は、そういう嫉妬や妬みの部分とかから発展してるものとかたくさんある。

自分自身も比較的、念や嫉妬、他者への羨望は強く出る方なので、そこは（美雪と）重ね合わせて、ある種の親近感を持ちながら演じることができました。

──ウイカさんも執着心や嫉妬心、強い方なんですね。

そうですね（笑）。個に対する執着というわけではなく、小さな嫉妬みたいなものはありますね。「お金持ちいいな」「細くていいな〜」みたいなことって、ポジティブに言うと羨望だけど、ネガティブに言うと嫉妬。「なんであの子ばっかり」とかね。

──つきまとってしまう感情というか。

でもそれって、紙一重な感情だと思うんですよね、自分のなかでは常にそれが原動力。例えば「いいな〜あの子めっちゃＣＭ出てんな〜」「ええな〜自分も頑張ろう」とか、美雪のように嫉妬心から相手を襲ってやろうとは思わないですけど。

みなさんそれぞれ原動力はあると思うんです。「よそはよそ」「うちはうち」と考える人とか、自分自身が敵だと感じて高める人もいるけど、自分は隣の芝の青さを見て、自分の芝をさらに青く耕していこうって思うので、そう意味では他者がいないと頑張れない。