「鹿すぎる」と話題、出会えたらラッキーな近鉄線のレア車両

2023.7.27 08:15

「ならしかトレイン」の車内。普通なら広告が張り出されるスペースも鹿だらけ(提供:近畿日本鉄道)

(写真6枚)

何も考えず乗り込んだら、異世界すぎて戸惑ってしまいそうな列車が、突如SNSで話題に。その正体はその名も「ならしかトレイン」といい、内観・外観ともに鹿尽くし。ツイッターでは「鹿まみれ~!」「広告枠も鹿じゃんw」「乗ってみたい」など、驚きや興味を抱く人の声が寄せられている。

噂の列車は「近畿日本鉄道」(本社:大阪市天王寺区)のラッピング列車ということだが、なぜここまで「鹿推し」なのか。列車を運行する同社の担当者に話を訊いた。

「奈良に行く列車」を分かりやすく

2022年12月から運行スタートした「ならしかトレイン」だが、企画自体は数年前からあったという。始動したのはインバウンド需要が増えたタイミングの2019年で、外国人にもわかりやすく「奈良に行く列車」を訴えかけよう、というのが始まりだった。コロナ禍のため企画がストップしていた期間もありながら、なんとか完成した。

「ならしかトレイン」外観はイラストレーター・げみさんによる描き下ろしデザイン(提供:近畿日本鉄道)

担当者に列車のこだわりポイントを聞いてみると、まず外観には車両のすべてを包み込む形でラッピングを施しており、奈良の四季と鹿を表現。車内は、床一面に芝生をイメージさせるイラストにくわえ、本来は車内広告を掲出する場所も、奈良の風景を表したイラストがジャック。

さらに、シートは白い斑点が特徴的な「鹿の子」模様、つり革の上部分にも「鹿せんべい」に見立てた持ち手に飛びつく鹿があしらわれている。担当者が「乗ってすぐ、奈良を感じる列車にできたと思っています」と、太鼓判を押すのも頷けるこだわりようだ。

「ならしかトレイン」は、もともと観光客をターゲットに作られたそうだが、いざ運行を開始すると、通勤や通学で沿線を使用する人々によるSNSでの発見報告が続出したという。担当者は「沿線にお住まいの方にも楽しんでもらえて、作った者としてもうれしい限りです」と喜ぶ。

気になるのは、いつ・どこで「ならしかトレイン」に乗車できるかということだろう。実は時間帯など指定せず運行しているといい、区間も「神戸三宮」〜「近鉄奈良」間を中心に「京都」〜「橿原神宮前」など、タイミングによって異なるそうだ。

当日なら、近鉄テレフォンセンターに問い合わせて運行状況を確認可能だが、担当者いわく「偶然見つけた方が『ラッキー!』と思ってもらえればうれしいです」とのこと。運に任せて「ならしかトレイン」との出合いを楽しんでみてもいいかもしれない。

取材・文/つちだ四郎

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