「井戸」は絶対に埋めるな…工事関係者から「ヤバい」「怖い」体験談が殺到 なぜ「井戸の息抜き」をしないといけないのか?

元請け業者が埋め戻した「井戸」の跡に、設備業を営むはすみんさんが設置した「井戸の息抜き」。建築・解体業界では、昔から「井戸」は絶対に埋めてはいけないと言い伝えられているという(画像提供:はすみん@設備屋さん @irohasumi)
「これは元請けが井戸を埋めようとして(ほぼ埋めてた)たから、懇願して駐車場の脇に付けさせてもらった井戸の息抜き」というつぶやきと共に、はすみん@設備屋 (@irohasumi)さんがTwitterに投稿した「井戸の息抜き」の写真が大きな注目を集めました。給排水換気工事などの設備業を営む、はすみんさんにお話を聞きました。
「井戸」だけはほんまにやばい
さらに、はすみんさんは続けてこんなツイートを投稿しました。
「ちなみに、埋めようとした人は右腕折ってた」
「その類の工事だとお客さんとかにいらないと言われても、これだけは料金に含めないのでやらせてくださいって言ってでもやってますね。師匠からそれだけは絶対守れって教わりました」
「(師匠は)オカルト系まじで信じない人なのに、井戸だけはダメって真顔で言われたなぁ」
「井戸だけはまじで絶対に息抜きつけて完全に埋めるなって、どの人にも言われたし、未だに守ってる」
「井戸の息抜きを迷信と思ってるとマジでケガする」
「井戸だけはほんまやばい」
すると、はすみんさんのツイートに対して、なんと、建設業界の問題を描いた漫画『解体屋ゲン』の作者、星野茂樹先生も反応!さらにリプ欄には、建築・解体工事関係者など、プロの方たちから「井戸」にまつわる驚くべき証言や不可思議な経験談が殺到しました。
「古井戸の蓋開けて中覗いたら、ブゥアアアッと冷気?みたいのが吹いてきて、その瞬間風邪ひいたみたいな倦怠感がその日一日残ると言う。あれは怖かった」
「以前の現場で、重機のオペさんが体調不良になり、その重機の下に土砂で埋まっていた蓋がけされた井戸が出てきた…」
「呪いや迷信は経験則や統計的なもので、例えば災害や事故や犯罪などの確率が高くなる行動・場所などを伝えていると思っている。ただし、井戸は別。井戸を埋めようとすると必ずある」
「元解体業者だけど、井戸だけはやりたくない」
なぜ、「井戸」を埋めてはダメなのか?はすみんさんに詳しくお話を伺いました。

危険回避と、神様への感謝
ーー「井戸の息抜き」とはどんな設備なのですか?
「井戸を撤去(埋める)したりフタをする際に、塩化ビニールの管か竹を使い、井戸と外を完全に仕切らないようにするものです。直径20~25mmの塩ビ管を使用することが多く、雨水が侵入しないように施工します。竹を使う場合は節を抜き、配管のようにして突き刺します。明確にいつまで息抜きをしなければならないという決まりはないのですが、竹の場合は自然と腐り落ちて消失します」
ーーなぜ完全に「井戸」を埋めてはいけないのですか?
「完全に埋めてしまうと井戸内が密閉され、他の地下水脈に影響が出てしまったり、メタンガスが溜まって爆発する危険が生じます。そして、寄せられたリプライの中でも多かった、『井戸には神様がいる』という理由からです。地域によって違いはありますが、『神様』『水神様』『蛇神様』『龍神様』と呼ばれたり、お稲荷様がいるという地域もあると聞いています。
つまり、井戸を埋める、蓋をしてしまうということは、神様が呼吸できなくなる、神様が外に出られなくなるということ。神様に失礼がないよう、そして、今まで水を使わせてもらったことに対する感謝のために、配管や竹を使って息抜きをします」

やはり「何か」があるのかもしれない
ーー「井戸の息抜き」の手順について、「お塩とお酒でお清めの儀を行い、手を合わせてから作業する」「塩、酒、梅を入れて拝んでから埋め戻してた。梅=埋めて良しからきてる」というリプライも寄せられていましたね。
「地域によって違いますが、正式にはまず、神社さんに来て頂き、地鎮祭のように棚を用意し、果物、野菜、清酒、米などを供えてお祓いをしてもらい、可能であれば井戸の中の掃除をした後、息抜きの工事を行います。その後、砂利や砂などを入れて埋め戻します。
果物や野菜、清酒、米を用意する理由は、どれも水がなければ作れない物なので、神様へのお礼として捧げると言われています。ただ、全ての現場で行えるわけではないので、塩と清酒を撒いて、『長い間お世話になりました』と言って手を合わせて終わらせることもあります。お祓いの際は、その土地を使う持ち主と、実際に工事を行う人の両方が立ち合えるのが理想です」
ーー「井戸埋め清祓」の相場は…?
「約3~10万円くらいとかなり幅があります。神主さんによって結構変わってしまいますが、10万は高い方になりますね」
ーー今回のツイートには、漫画『解体屋ゲン』の作者、星野茂樹先生や、同様の経験をした方々からの声もたくさん寄せられました。
「星野茂樹さんのように、建設業に関する漫画を描いている方も井戸にまつわる話をご存知だったり、業界関係者ではない方からも、『うちも井戸の息抜きをした』というリプライをもらい、嬉しかったです。こんなにも多くの方が井戸にまつわる体験をしていて、自宅の解体や樹木の伐採、トイレの解体、庭石の撤去の際もきちんとお祓いをする方も、まだまだたくさんいらっしゃると知り、安心しました」

「お祓い」を省くと、ご近所トラブルになることも
ーーリプ欄に寄せられた、「井戸の息抜き」や「井戸」に関する多くの証言や不可思議な現象について、はすみんさんはどう考えていますか?
「昔の人が、危険な場所にお地蔵さんを置いて建物を建てられないようにしたように、井戸の上に家を建てると家が傾くという実害もあるので、危険を回避するために作られた言い伝えなのだと思います。
ただ、ツイートもしましたが、埋める作業をした人ではなく、埋める指示をした現場監督が足を滑らせ、転んで腕の骨を折った場面を僕自身も目の当たりにしているので、本当に神様がいるのではないか、とは思っています。自分を設備屋として育ててくれた師匠からも、『過去に井戸を潰した者が何人かいたが、全員怪我をしたり、離婚をしている』と聞いていたので、やはり何かあるのかもしれないですね」
ーー「現場でベテラン勢から口頭で言い伝えられてきた慣習が失われつつある」というリプライも寄せられていましたが、井戸の埋め戻しを考えている家主や工事関係者に伝えたいことはありますか?
「僕は28歳で独立開業したのですが、業界では若手と言われる身です。僕のような若い職人の中にも、昔ながらの風習を大事にする人間もいます。たかが迷信と思わず、少しの時間をかけるだけでその後の大きな災難がなくなるかもしれないと考えて、ぜひきちんと『井戸の息抜き』やお祓いを行って欲しいです。お祓いをしていない、というだけでご近所トラブルにまで発展することもあるので、家主の方には、安心を買うと考えてもらえるといいかもしれませんね」

◇ ◇
「井戸」の埋め戻しや「息抜き」の際に行う清祓だけでなく、魂抜き、地鎮祭、棟上げ式など、解体や建築の際には多くの神事があります。設備業を営む、はすみんさん自身の経験や、今回のリプ欄に寄せられた「井戸」にまつわる多くの不可思議な体験談を踏まえても、建物にまつわるお清めやお祓いには、科学では証明できない何かがあるのかもしれません。
取材・文/はやかわリュウ
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