三宅健の「ヤクザ」っぷりに喝采、劇団✩新感線の熱狂裏

2023.4.22 20:00

『ミナト町純情オセロ~月がとっても慕情篇~』のワンシーン、(中央左から)三宅健、松井玲奈(写真/田中亜紀)

(写真2枚)

三宅健を主演に招いた、劇団☆新感線の舞台『ミナト町純情オセロ~月がとっても慕情篇~』大阪公演が、4月13日に開幕。「嫉妬に苦しむ関西のヤクザ」という役に挑んだ三宅の熱演に、連日スタンディングオベーションが送られている。

■ 本作はシェイクスピアの名作悲劇『オセロ』

本作は、ウィリアム・シェイクスピアの名作悲劇『オセロ』を、1950年代の関西の任侠の世界に、大胆に置き換えたバイオレンス&恋愛ドラマの再演。2011年に劇団員・橋本じゅんと、石原さとみのコンビで上演した作品を、三宅のキャラクターに合わせて、よりシリアスな背景を盛り込む形で再アレンジしている。

三宅が演じる亜牟蘭オセロ(三宅)は、日本とブラジルのハーフで、一本気な性格の若頭。入院した病院で出会った令嬢・モナ(松井玲奈)と恋に落ち、カタギになる決意をするが、彼を跡目にするつもりだった先代組長の未亡人・アイ子(高田聖子)は激怒。2人の幸せを阻むため、オセロに「モナが弟分の汐見(寺西拓人)と浮気している」という嘘を吹き込み、オセロも次第にそれを信じるようになる・・・。

■ 好青年イメージの三宅が「本物ヤクザ」に扮す

ジェントルな好青年のイメージが強い三宅が、まさかのヤクザ? ということで、ビジュアルが出た瞬間からファンを騒然とさせた三宅オセロだが、ドスの効いた関西弁とキレのある殺陣で、見事に「THE・ヤクザ」を体現。モナへの疑惑を吐き出すときは、狂気を感じるほど苦悩の感情をほとばしらせ、恐ろしくも切ない嫉妬のモンスターと化していた。

『ミナト町純情オセロ~月がとっても慕情篇~』のワンシーン、(左から)高田聖子、粟根まこと(写真/田中亜紀)

モナ役の松井とアイ子役の高田も、そんな彼を双方からナイスアシスト。周囲の思惑に巻き込まれ、知らぬ間に悲劇のヒロインとなるモナを、松井ははかなさよりも信じる強さを全面に出して好演し、ベテラン劇団員・高田も、気風のよい姐さんが悪に染まる心理と悲しい背景を、貫禄の演技であざやかに見せ切り、どうしても憎み切れない悪役となっていた。

■ 初代・橋本じゅんも「泣かされた」

SNSでも「健ちゃんと玲奈ちゃんが本当に純情でまっすぐで切ない」「デマの怖さと嫉妬の怖さが刺さる」「あんだけ笑いどころ詰め込んでおいて、よくここまでシェイクスピアやってんな!?」などの感想が。また初代主演の橋本じゅんも、大阪公演初日に観劇したことをブログで報告。「健も良かったし、モナちゃんも可憐。でも今回は総じて女子の舞台でした。泣かされました」という感想をつづっていた。

脚本は青木豪、演出はいのうえひでのり。ほかには粟根まこと、右近健一、河野まさとなどが出演。5月1日まで「COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール」(大阪市中央区)で上演。チケットは一般1万4500円、22歳以下2200円。一部公演は現在も発売中で、前売完売の回も当日券・キャンセル待ちチケットが発売される(一般のみ)。

取材・文/吉永美和子 写真/田中亜紀

舞台『ミナト町純情オセロ~月がとっても慕情篇~』

会場:COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール(大阪市中央区大阪城3-6)
期間:4月13日(木)〜5月1日(月)
料金:1万4500円(ヤングチケット2200円)

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