宮沢氷魚、新生パラサイトは「元のストーリーに劣っていない」

2023.4.13 20:15

舞台『パラサイト』に出演する俳優の宮沢氷魚(12日・大阪市内)

(写真3枚)

非英語作品として史上初めてアカデミー作品賞に輝いた映画『パラサイト 半地下の家族』が、世界で初めて舞台化。その物語の中心となる家族の長男役を務める宮沢氷魚が、4月12日に大阪市内で会見をおこなった。

■ 「豪華なキャストのみなさま、よくスケジュール調整できたなぁ」

同作品は、半地下の家に棲む貧しい一家がイリーガルなやり方で、裕福な家族に「寄生」するさまを描いたブラック・コメディ調の人間ドラマ。舞台版では、設定を90年代の関西に変更するなど、オリジナルの要素をふくんだ形で上演される。

出演を打診されたときは、「舞台化できることにも驚いたし、韓国やアメリカではなく、日本で舞台化というのにも、とても驚きました。なによりも豪華なキャストのみなさまが、よくスケジュール調整できたなぁと思いました」と、サプライズづくしだったという宮沢。しかし父親役の古田新太の話を聞いて、舞台化に得心がいったという。

舞台『パラサイト』の主要キャスト、(左から)古田新太、宮沢永魚、伊藤沙莉、江口のりこ

「取材で古田さんが『映画を観たときから、舞台化しやすい作品だと思った』と。そう言われると、ロケーションは裕福な家庭の家と半地下と、そこを結ぶ道ぐらいで、場所の転換がそんなに多くないから『なるほどな』と思いました」と振りかえり、「世界中で評価されている作品なので、プレッシャーを感じながらここにいますが、すごく楽しみでもあります」と力強く語った。

■ 「格差の問題をネガティブすぎずに見事に描く」

脚本・演出は、映画化もされた『焼肉ドラゴン』など、在日問題を扱った多くの傑作を持つ劇作家・鄭義信(てい・よしのぶ)。宮沢は「初めてご一緒しますが、格差の問題をネガティブすぎずに見事に描くし、役者への愛情が深い方と聞いています」と印象を語ったうえで、舞台版の脚本を「元のストーリーに劣っていない」と言い切る。

日本版『パラサイト』の台本・演出は映画『愛を乞う人』『焼肉ドラゴン』、舞台『泣くロミオと怒るジュリエット』などを手がけた鄭信義が担当

「映画を観て『次はこうなるんだろう』という予想と違うところもあるし、クライマックスも違う描き方をしています。『こういう風に変えたんだ!』と驚いたけど、それがおもしろくもあるし、期待してほしいです」と、その完成度の高さを語り「稽古が始まったら、それはさらにパワーアップすると思います。映画の世界観を参考にしつつ、自分にしかできない純平(注:舞台版の長男の名前)を作っていきたいです」と抱負を述べた。

宮沢と古田のほかには、伊藤沙莉、江口のりこ、キムラ緑子などが出演。6月の東京公演を経て、大阪は7月7日~17日に「新歌舞伎座」(大阪市天王寺区)で上演。チケットはS席1万2500円、A席9500円で、5月7日から発売開始。

取材・文・写真/吉永美和子

舞台『パラサイト』

会場:新歌舞伎座(大阪府大阪市天王寺区上本町6-5-13 YUFURA6階)
期間:7月7日(金)〜17日(月・祝)
料金:S席1万2500円、A席9500円

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