30年ぶりに松竹新喜劇トップが交替、渋谷天外「代わりたかった」

2023.3.2 20:45

新しい松竹新喜劇を作るため「先輩のいうことなんて聞いたらあかん!」と若手5人に話す渋谷天外(1日・大阪市内)

(写真8枚)

『松竹新喜劇 五月新緑公演』の製作発表記者会見が3月1日に開催。4月に同劇団代表を勇退する渋谷天外が出席し、「わたし自身は早く代わりたかった。7、8年くらい前からバトンタッチできないかとお願いしていた」と胸の内を語った。

■ 「松竹新喜劇は父が作った劇団」

1991年から約30年間劇団代表を務めてきた天外。会見では勇退の理由について「松竹新喜劇は父が作った劇団で、僕がやるときに親父の1ページを俺が閉じればいいやんと思って戻ってきた。60歳くらいで、これは引っ張っていったらあかんでと思い始めた」と語る天外。

続いて「どこの劇団でもはじめはった年齢の人がついてる。お客さんが歳をいったらおいでにならなくなる。やっぱり若い人に引っ張ってもらわないといけないと思った」と、胸中を明かした。

■ 「あなたたちの新喜劇を作って欲しい」

今回の会見では、天外の勇退後に同劇団をけん引する若手5人も紹介。彼らは、「責任を感じている。次の100周年まで私たちが元気にやらないといけない(曾我廼家一蝶)」や「若くなったのでお客さんの世代も若く、僕らと一緒に年を取っていただくことがしたい(渋谷天笑)」と、コメントし真摯な姿勢を見せる。

また、曾我廼家桃太郎は「昔、天外さんから『どんなにお芝居を長いことやろうとも、その日、初舞台の子と同じお芝居をすることはできない』と言われ、そこで僕は自分なりに自信を持って好きにお芝居をやればいいと思った。本当にダメなところはダメだと先輩方にコントロールしてもらいながら自由奔放にやらしてもらいたい」と、師である天外への恩を見せつつ、今後への期待を膨らませた。

『松竹新喜劇 五月新緑公演』の製作発表に登壇した曾我廼家桃太郎(1日・大阪市内)

これに対し天外は「先輩のいうことなんて聞いたらあかん! 新しいことをするのだから先輩との戦いをバンバンするべき!」と意外な反応。続けて「若い子は生きること、生活すること何もかも下手なんです。(でも芝居では)一生懸命しゃべってくる。そこに初々しさや若さ、すごくパワーがある。長い時間がかかるが今度は松竹新喜劇の枠をいっぱい破って、あなたたちの新喜劇を作って欲しい」と背中を押した。

松竹新喜劇を引退する渋谷天外(前)と新たに松竹新喜劇をけん引する若手5人たち。右から曾我廼家いろは、渋谷天笑、藤山扇治郎、曽我廼家一蝶、曽我廼家桃太郎(1日・大阪市内)

同公演の演目は同劇団の十八番となる『花ざくろ』と、1980年に上演されて以来43年ぶりの『三味線に惚れたはなし』の2本。チケットは1等席1万1000円、2等席5500円ほか、4月7日より発売。

取材・文・写真/岡田由佳子

『松竹新喜劇 五月新緑公演』

会場:大阪松竹座(大阪府大阪市中央区道頓堀1-9-19)
期間:5月13日(土)〜5月25日(木)
料金:一等席1万1000円、二等席5500円、三等席3300円

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