マジックが詰まった新作、スカートが目指す「ポップ」の境地

2023.1.14 21:15

アルバム『SONGS』をリリースした、澤部渡のソロプロジェクト・スカート

(写真5枚)

■ コロナ前後の曲も「すべてが一直線に並んだ感じがした」

──コロナ禍のなかで、しばらく曲が書けなかったという発言もされていましたが。

そうなんですよ。コロナ禍でスランプになっちゃって、書けないというよりかは「書きたくねぇ」くらいになっちゃったんですよね。でも、そのなかでタイアップの話には「いやいや、そんなこと言わないで、澤部さん」と背中を押されたような気はしました。それはすごく助かりましたね。

──それぞれの曲が出来た時期は結構バラバラで、2曲目の『駆ける』はシングルリリースされたのが2020年3月でした。

録音してたのは2019年でコロナ前だったんですけど、ああいう時期に出してちゃんと受け止められた気がしなかったんですよ。だから、そういう意味で今回アルバムとして流れで聴いたときに、過去の曲だろうが新曲だろうが、全部がホントに一直線に並んだような感じがして。それは非常に手応えがあるんですよね。

自分で聴いていてもあるんですけど、好きなアーティストのアルバムが出たときに、コレはシングルで出たときに聴き過ぎたからなんか変な感じがするな・・・とかあるじゃないですか? でも自分で聴いてもそうならなくて、一体何なんだろうな、と自分でも不思議に思う部分ではあります。

──アルバムとして、一定の期間で集中して作っていく感じではなかったと思いますが。

あ、でも、スカートは今までもそうですけど、コンセプトを持ってアルバムを作ったことって1度もないんですよ。(すでに)ある曲をアルバムとして固めるという作業をずっとしてきたので、そういう意味では変わらないですね。

もともと自分のなかのアルバム観って、悪い風に聞こえるかもしれませんけど、本来寄せ集めだと思うんですよね。だから、そういう意味では今回は強い曲が集まってしまった気がします。

──確かに、今回は強い曲が集まった印象を受けます。インパクトという点では、やはりラッパーのPUNPEEさんとコラボした『ODDTAXI』がズバ抜けていると思いますが。

最初はホントに、ボーナストラックに入れようかなって思ったんですよ。でも、実際に録り始めてみると、だんだん思っていたよりもアルバムのなかで変な浮き方はしないなって気付いて。じゃ、3曲目に置いてみようかな、みたいな感じでしたね。

──バラバラのようで、実は澤部さんのなかでは統一された何かがあった?

いや、自分ではバラバラのつもりでやっていたんですけど、いざまとめてみたらバラバラにならなかった感じなんですよね。最初はホントにいろんな方向に散らばったタイアップ曲を1つの箱に入れて「『SONGS』です。ちょっとバラッとしてるけど聴いてください」みたいな感じのタイトルとパッケージだったんですよ。

パッケージもいわゆる「メトロトロンの箱」って言ってわかります? 最近の箱に入ってるCDってフタと身が離れないようになってるんですけど、フタと身が独立してるタイプです。そういうつもりで選んだんですけど、結果的にはメロンを桐の箱に入れるような感じになった気がして。それはとてもうれしかったです。

『SONGS』ジャケットデザイン
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